Bluetoothと独自無線

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サイト本体でも頻発する言葉ですが「2.4GHz独自無線」と「Bluetooth」について少し説明を。

独自無線接続

2.4GHz独自無線は、呼び名の通り、各製品メーカーが「独自」に設定した無線接続で、専用の受信機(レシーバー)を介することで初めてPCと繋ぐことが可能になるので、当たり前ですが受信機が付属しています。その受信機をPC側のUSB端子にプスっと差し込むと準備OK。お手軽です。

考え方としては、トラックボール本体とUSB端子間はケーブルではなく独自無線で繋がっていて、そのUSB端子(受信機)をPC本体に繋ぐことで、PC上でのポインタ操作が可能になります。トラックボール本体と受信機は出荷時点でお互いがペアであることを認識済みになっているので、箱から取り出してPCに繋ぐだけで設置完了ですが、仮に同一製品を2つ購入しても受信機を入れ替えて繋ぐことは出来ません(メーカーが独自に拡張して繋げるようになっている場合もありますが、それは例外です)

有線接続図
独自無線イメージ図

ですので、トラックボール購入時、本体に付属してきたレシーバを紛失すると、そのトラックボールは使えなくなってしまいます。えらいことです。少々の電気工作を齧ったぐらいでは直しようもないと思います。ただ、最近のトラックボールやマウスで独自無線接続式の製品は、製品側に受信機を収納可能になっている機種が多いので、例えばトラックボールを別の場所に持ち運ぶとか、一時的にしまっておく場合に受信機を本体へ収納することで紛失リスクは減ります。これは地味ですがとてもいい機能だと思います。

基本的に修理などは大変難しいので、絶対に紛失しなさんな、というモノだと思った方がいいと思います。

Bluetooth接続

Bluetoothは近距離無線通信「規格」なので、入力機器に限定されず様々な周辺機器が無線化されているのですが、当ページの場合はトラックボール(かマウス)に限定して説明するとして、PC(あるいはスマホ)本体がBluetooth受信機能を持っている場合、受信機なしで接続することが可能です。というかPCやスマホ本体に最初からBluetooth用の受信機能が仕込んであると言えばいいかな。Bluetoothの場合、PC本体側の受信機能(ホスト)ひとつにつき複数台のBluetooth機器(ゲスト)を同時に繋げることが可能です。

Bluetooth接続イメージ図

独自無線と違って接続の際には「ペアリング」と呼ばれる操作が必要になりますが、技術の進歩とともに簡略化され続けていますし、そもそもが大した手間でもありません。一度ペアリングを済ませてしまえば以後は放っておいても勝手に繋がってくれます。基本的に受信機は存在しないので紛失の恐れもありません。最近のスマホOS(iOS,Android)は外部入力装置をサポートしていますので、スマホにトラックボールを繋ぐことも可能な場合があります。また、単に周辺機器を繋ぐだけでなく、簡単なファイルのやりとりなども可能です。大昔の携帯電話やPDAにあった赤外線通信機能をもうちょい汎用にして性能を高めたものだと思えばいいですが、今となってはこの例えが通じる世代も限定されてしまい全く汎用的な説明じゃないという本末転倒な事態。

実はBluetoothも2.4GHz帯を使用した無線規格なのですが、同じく2.4GHz帯を使用する独自無線と同じ帯域を使っているので、部品的には似通ったものとなり、両立させやすいのでしょう。最近はBluetoothと独自無線、両対応の製品も増えて来ました。私は電気系はよく知らないので適当に喋ってますけどだいたいそんな感じだろうと思います。

最近はスマホであればまず間違いなく、PCでもかなりの機種が最初からBluetooth送受信機能を持っていますが、もしBluetooth対応のトラックボールやマウスを買おうと思った際は確認してからにしましょう。特にPC本体側(ホスト)のBluetoothが古いと新しいバージョンのゲスト側が繋げなかったりしますので、下にリストを出しますが、Bluetooth接続式のトラックボールはそのほとんどがBluetooth4以降を搭載しており、ホスト側がBluetooth3だったりすると繋げずに泣きを見ます。

Bluetoothはバージョン3と4の間に大きな断絶があり、ホスト側が3だと4以降のBT機器は繋げないと思ったほうがいいでしょう。4以降はホストが4でゲストが5でも繋げます。

  • 2.4GHz独自無線を端末に繋ぐには受信機が必要
  • 「2.4GHz独自無線」と「Bluetooth」に互換性はない
  • 端末がBluetoothに対応していれば受信機は必要ない
  • ホスト側のBluetoothが古い場合は要注意

トラックボールを繋ぐ場合は、大雑把にこのぐらいのことを覚えていればいいと思います。「うっかりBluetooth機器を買っちゃったけどウチのパソコンBluetooth対応してなかった!」となってしまった場合も、慌てない慌てない。後付式のBluetooth受信機も売られています。これ使うんだったら独自無線の受信機と変わらんじゃないかって? いえいえ。Bluetoothの場合は汎用規格ですから、この受信機がひとつ付いてさえいれば、対応したバージョンのBluetooth機器は何でも繋げます。理論上はね。理論の通りに行かないのもこの世界の常ではありますが。

Bluetoothのバージョン

出ました。バージョン。もうホント最近のデジタル機器は何やるにしてもバージョンがうんたらかんたら煩いですが、Bluetoothにもバージョンがあります。20年3月現在、最新の規格はBluetooth5ですが、これに対応しているトラックボールはまだ少ないですね。私が知る限りSANWA SUPPLYのMA-BTTB130だけです。

Bluetoothはバージョン4.0とそれ以前とでは別物みたいになっているのですが、後方互換性もある程度確保されているので、よほどプアなBluetoothを積んでいない限り、例えば4.0を搭載したPC本体(ホスト)にも3.0対応のトラックボール(ゲスト)を繋ぐことは一応可能です。うちのPC、BT4だけどBT3のトラックボール繋げるし動いてるし。一昔前はSmartReadyとか妙な区分けがあったと思うのですが、この記事を書くにあたって調べ直したら、その呼び名は破棄されてました。めんどくせぇからそういうのやめてくれよな、混乱するじゃないか。

Bluetooth搭載トラックボール

Image機種名Bluetooth Version備考
MA-BTTB1上から4.0別機種扱いで独自無線式も販売中
EMwireless上から4.0LEBluetoothと独自無線の両対応。切替式。
digio2 Q 上から3.0 Class2別機種扱いで独自無線式も販売中
MX ERGO上から4.0 LEBluetoothと独自無線の両対応。切替式。
DEFT PRO上から4.0 Class2Bluetoothと独自無線と有線の3種対応。切替式。
EX-G PRO上から4.0 Class2Bluetoothと独自無線と有線の3種対応。切替式。
bitra人差し指型上から4.0 Class2別機種扱いで独自無線式も販売
bitra親指型上から4.0 Class2別機種扱いで独自無線式も販売
MA-TB130上から5.1別機種扱いで独自無線式も販売
Pro Fit Ergo上から5.0Bluetooth*2と独自無線の両対応。切替式。
MATB155上から5.0Bluetoothと独自無線の両対応。切替式。
m575上から?? LEBluetoothと独自無線の両対応。切替式。
m575上から5.0 LE別機種扱いで独自無線式も販売

少し古いWindowsとBluetoothは不仲

Bluetooth接続の入力機器は、2020年現在でもたまに接続断が頻発する症状に悩まされたというレビューを目にします。その多くの場合、恐らくはマウス側ではなく、PC側に何らかの問題があるのではないかと推測します。経験上。特にWindows7を利用している方は、まずWin7を疑うべきかと。まぁもうサポートも終わったのでさっさとWin10にアップグレードした方が良いと思いますけども。Win10であれば今のところBluetooth関連の不具合に出会ったことはありません。

Windows 10でようやくまともになったBluetoothのサポート

Win7時代の経験

私が最初に購入したBluetoothマウスはLogiのM555bというやつでした。恐らくこれが日本国内で手頃な価格で発売された最初のBluetooth対応マウスだったと思います。

それ以前にもLogicool社はBluetoothマウスを発売していましたが、日本では売れないと判断されていたのか技適マーク取得が面倒だったのか、国内未発売でした。確か2007年ごろの話です。当時、台湾に旅行する友人に買ってきてと頼もうかと思っていましたが、なんだかんだで機会を逃しているうちにM555bが国内発売されます。喜び勇んで入手し、Windows7を搭載していた当時のPCに接続。ところが、一旦繋がっても接続がまったく安定しません。ブツブツと切れるのです。切れたらマウス側の電源をOFF/ONして再接続にトライ、それでも駄目なら一旦ペアリングを解除して再ペアリング、動き始めたと思ったまた10分ぐらいで切断。これの繰り返しで、とてもじゃありませんが使い物になりませんでした。

スタックしちゃうぞ★

色々と原因を探った結果「スタック」と呼ばれる、ドライバソフトウェア的なものが悪さをしているのではないかと目星をつけましたが、これを弄って一時的に接続が落ち着いても、数日するとまた症状が復活するという厄介な代物で、結局のところ何が原因だったのかは未だに判っていません。Win7のサポートも切れた今となってはもうどうでもいいけど。この時点では、Windows7にBluetoothマウスを繋ぐのは難しいという結論になりました。stackのせいでstuckしてるとはこれいかに。

Macでは割と安定して使える

あまりにも接続が安定しないので、マウス側の不具合も疑われた我家のM555bでしたが、Macに繋いでみると拍子抜けするほど問題なく動きました。Macもまぁ色々と面倒くさいところはありますが、こういう時はハードとソフトどちらもAppleが作っている&昔から無線大好きメーカーだけあって話は早い。つまり、マウス側には問題なく、PC側の問題だったと。その後、Windowsも8→10と移行しましたが、その間に問題も解決されたようで、Windows10を搭載している現在の我家のPCではBluetoothマウス(m557に代替わりしています)も安定して動いています。

その代わりとでも言いますか。私の机には、常時メイン利用しているDEFT PRO、左手用のExpertMouse、マウスが必要になった時用のMicrosoftモダンモバイルマウスと3つのBluetooth接続入力機器が待機しており、これら3つを同時に繋ぐと、切断こそされないものの挙動が怪しくなったりします。果たして混線しているのかどうか検証したことはないので正確なところはわかりませんが、複数のBluetooth機器をぶら下げた際の安定性に関しては一抹の不安があります。近頃はBluetoothだけでなく2.4Ghz採用の独自無線電波も飛び交っています。無線が普及したらしたで問題も出てくるもので、なかなか上手くは行きません。

無線か有線か

無線接続のマウスが世に出てきた初期の頃から延々とネタになっている話ですが、有線がいいのか無線がいいのか。マウスの場合は操作する上でマウス本体を振り回す必要があるので、無線であることのメリットも割と理解しやすいのですが、トラックボールの場合、本体を据え付けてしまうと基本的には動かしませんから「無線である必要はない」という意見が昔からあります。当然っちゃ当然の話です。

私は無線好きなので基本的に無線型を最優先で購入しますが、私が感じているところのケーブルがないメリットはですね、私は整理整頓がまったく出来ない人間なので、机上にはいつも書類の地層が出来ています。有線型のトラックボールを利用していると、ケーブルが地層に埋まってしまい、なにかの弾みで古い地層を掘り返す必要が出てきた際、あるいはトラックボールの接続を解除しようと思った際、ケーブルに引っ張られて地層がめくれ上がる羽目に陥ります。これを数回繰り返していると地層が入り乱れて、年代を追って掘り返すことすら困難な状況に陥ります。無線接続であればその恐れがなくなるので、私にとっては本当にメリットが大きいのです。ええ。ちゃんと整理すれば済む話なのですが、それが出来れば苦労はしませんということで。

ネットでは昔から自分のPC周りの写真を晒すという、ある種の余興がありますが、トラックボールは有線でいいと考えられる人は、恐らくああして自分のPC周りを他人に見られても大丈夫な、整理整頓を行える人なのだろうと思っています。私なんか絶対ムリですもの。

実際、ケーブルが人為災害を発生させない環境を整えられる人なら、有線の方がいいと思います。有線なら電源の心配はありませんし、断線の恐れがあるにせよ、それは無線型だって受信機なり送信機なりが壊れてしまえば同じこと、というより部品点数が多そうな分故障のリスクは無線型の方が高いでしょう。

また、有線型のほうが総じて長持ちすると思います。部品の劣化云々とは別で、PS/2接続やADB接続時代の有線トラックボールも、USB変換器さえ失っていなければ、2020年の現在でも問題なく動くと思いますが、無線だとどうでしょう。規格なんかも結構入れ替わったりしますし、電池ボックスが馬鹿になってたりとか、電池抜くの忘れて液漏れで全損してたりとか、壊れる理由はいくらでも想像がつきます。いま、最新型の無線接続機が20年後の2040年に無事に動くかなぁ? どうだろ。

いや、私は無線派ですよ。有線というだけで購買意欲は一桁以下に落ちます。でも、それとこれとは別の話です。有線のほうがメリットは多いと思います。丈夫ですし接続は安定してますし、ほとんどの場合無線より安いですもの。ただその、ケーブルが存在するという一点が私にはどうにもデメリットが大きすぎるということで。

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