DEFT PRO
- M-DPT1MRBK
M-DPT1MRXBK
- 44㎜
- 8
- 有線接続(USB)
無線(2.4GHz)
無線(BT4.0 Class2)
- 単3電池∗1
- 500
1000
1500
- 3年
操作球径44㎜、右フィンガー型。無線2種に有線接続まで1台に詰め込んだ接続方式全部入り仕様。「PRO」を冠して大きく出た感。そして驚愕のメーカー希望小売価格。遂に出た出たやっと出た。DEFT PROさんの登場です。
型番が「M-DPT1MRBK」と「M-DPT1MRXBK」の2つありますので、なんか違いあるのとエレコムさんに訊ねてみたところ、販売方式の違いで中身は同じ物だそうです。例えば店頭販売型のMRBKにはチラシが同梱されてたりとかそういう違いはあるかも知れませんが、トラックボール本体に差はないとのことでした。
2010年代後半を共に過ごした機種です。ELECOMさん、DEFT PROを発売するまでにEX-G、DEFT、HUGEと3機種を扱ったことで色々と調整すべきポイントも押さえたんでしょうか。個人的にはELECOM製トラックボール群の中で一番のお気に入りです。参考までにこのサイト製作時のポインタ操作はほとんどDEFT PROで行っており、サイト内の自作の図や挿絵もDEFT PROでベジェ曲線を弄りながら作っていますが、快適に作業しています(21年9月迄。以降GameBallがメイン機となりました)
まず本機の外観を動画で。回転台に乗せてただ回しているだけの動画で、視点も固定ではありますが360度見られます。静止画よりこの方が伝わる情報もあると思うので参考にどうぞ。所有している3台のDEFT PROの中でまだ一番外装がヤれていない個体です。
DEFT PRO 操球感覚
一般的な親指型トラックボールが搭載している34㎜操作球と比較して10㎜も大きな44㎜操作球を搭載したフィンガー型、人差し指型とも呼ばれるタイプのトラックボールです。
あくまでネット上の情報からですが、おそらくは日本国内での俗称であるところの「人差し指型」という印象が先走ってなのか、本当に人差し指だけで動かそうと試みている(試みた)人も居られるようです。そんなことはなくてですね、人差し指が中心になるとは思いますが、基本的には複数の指で弄るものだと思っています。私の感覚では、操作するにあたってもちろん人差し指も使いますが、中指薬指のみで扱うことも多く、指先全体で扱っている感じですね。
その昔、大玉がトラックボールの主流だった時代には当然過ぎて話題になることもありませんでしたが、親指のみで操作球を扱う親指型が主流であろう現在では「え、トラックボール操作に指を複数使うの?」みたいな感覚の人も増えているのでしょう。常識ってな時代で変わるもんですからね。そのへん考えると、複数指型と呼んだ方が誤解を生まないかなぁ。どうだろう。
人差し指+中指
なんとなくですが、標準的な指の配置はこれじゃないかなと思います。野球で言えばストレートの握り。ここから素早くフォークに握り変えることで左右同時クリックも可能ですが、そんな使い方してる人はそうそう居ないでしょう。
人差し指+中指+薬指
私の基本形はこれ。野球で言えばパームボール/チェンジアップの握り。大玉を扱う時はこの形になることも多いですが、DEFT PROも操作球はそれなりに大きいので三本指でも行けます。薬指は右クリック操作も兼ねています。実際のところは上の「人差し指+中指」操作の変形型という感じでしょうか。
中指+薬指
野球で言えばサークルチェンジの握り。実はこの形でも結構握ってまして、正確な作業が必要ない時はこれで動かしていることも多いです。ボタン操作との兼ね合いもあり、この形で込み入った作業に臨むことはありませんが、操作球制御だけなら案外正確に扱えたりします。
人差し指のみ
ELECOMが公開している製品写真群の中にある形。完全な人差し指ソロ制御で、これこそ「人差し指型」を表した姿だとは思いますが、これで制御出来るんだろか? 私はこの握り方では操作球の大きさを持て余すので、正確には扱えません。ELECOMもあくまで一例として挙げただけかも知れませんね。
だいたい上3パターンのどれかで弄っている感じです。
とは言えですね。私の握り方のどれかが正解という話でもなく、写真には写っていない前腕や肘のポジションも人それぞれでしょうし、それによって具合のいい手の置き方も変わってくると思いますので、あくまで参考、沢山居るであろう、沢山居て欲しいDEFT PROユーザー群の中の一頭がこういう持ち方をしていますという一例です。ネットの情報を漁ると「人差し指一本で制御している」人も居られるようです。
いずれにせよ、メーカーが想定しているように握らなければ牢屋にぶち込まれるわけでもありませんから、自分に具合のいい握り方をすればそれでOKだと思います。私はかなり適当に握っています。
多ボタン駆使派? 操作球制御派?
これは想像ですが、多ボタンを余すところなく駆使することに重点を置く人は、あるいは操作球の制御に使う指の数は「少ないほど良い」「複数の指を操作球制御に割くなんて想像の埒外」なのかも知れませんね。操作球制御に割く指が少なければその分ボタン制御に回せますから。
私は操作球の制御に重点を置くので、2〜3本の指をそちらに割きます。その分、多ボタンはまったく使いこなせていません。DEFT PROを操作する上でも使っているボタンは左右のクリックだけ、みたいなもんです。
DEFT PRO 私の持ち方
周辺機器のページでも触れていますが、私はDEFT PROを使う際、ELECOMのCOMFYというリストレストを併用しています。「あったほうが少し具合がいいかな?」ぐらいのノリで使い始めましたが、今となってはこれ無しでは上手く扱えないぐらい馴染んでしまったと思います。ということは、DEFT PROの設置面積を考慮する際は機種本体の全長のみでなくリストレストも込みで考えなければ不公平なので、私にとってDEFT PROはかなり大きめのトラックボールに相当すると思います。後段でHUGEとの比較を行っていますが、HUGEは言うほど大きくなく、DEFT PROも決して小さくはない。
当初、人差し指付け根の「指尖球部」を支点にしていると書いていました。2枚目の写真がそうで、その形で弄っている時もありますが、込み入った作業を行う際は、指と掌は本体からは完全に浮いた状態になります。この場合の支点はリストレストに乗っている掌底部〜手首。要は左右対称型、昔からのトラックボールを弄る形になっていると。イメージとしては魔球ナックルボールの握り。というか、写真撮って改めて思いましたが、私の場合マウスの持ち方も基本はこの写真と一緒。マウスの場合はこの写真からリストレストが無くなるだけです。
繰り返しになりますが「こう持つのが正解」という話ではありません。自分が動かしやすいように持てばいいことなので、正直こんなの一々掘り下げるような話でもないだろと思っていたのですが、意外とどう持てば良いのか迷っている人も居るようなので…‥。私はかなりテキトーに握っているという自覚がありますので、こんなのでも動かせて、操作感覚に大満足している人が居るよという一つの参考にどうぞ。
DEFT PRO 操作作業実演
上の動画はDEFT PROを使用し、ベジェ曲線で絵を描く作業を撮影したものです。「トラックボールで具体的にどういう作業が出来るのか」の参考用にと思い撮影しました。手の置き方の参考にもなるかと思いますので、興味のある方はどうぞご参照下さい。
DEFT PRO 接続方式
接続方式は有線/無線の両対応。無線はレシーバ型の2.4GHz独自無線方式とBluetooth4.0(Class2)の両対応で、20年現在一般的な接続方式は全て抑えてあります。有線接続用にmicro USB Type-B 〜 USB Type-Aのケーブルが付属。DEFT PRO側への接続端子がmicroUSB。
- DPI切替スイッチは3段階で500/1000/1500カウント、一方通行のロータリー式。
- 電源スイッチ兼電波強度スイッチ。私はL(弱)で常用していますが、例えば鉄製の机なんかを使っている場合は電波干渉が起きて安定しない場合があるかも知れません。そういうときはH(強)を試してどうぞ。
- 写真中央、電池ボックス。最近良く見る蓋です。私は「あの壊れそうな蓋」と呼んでいます。窪みに指先を突っ込んで、上に持ち上げるのではなく、押す感じに力を入れると開きます。もぎとるようにして開けちゃ駄目よ。壊れます。
- Bluetoothペアリングスイッチ。これ押すと本体側面のステータスランプ(後述)が光って、ペアリングが開始されます。「私、ここに居るから見つけて!」という信号をDEFT PROが放ち、それをホスト(PCやスマホ)側で見つけることでペアリングが完了します。近所のお見合いマッチングおばさんみたいな気持ちで作業に臨みましょう。あと、私のことも早く誰か見つけてくれませんか。
- 独自無線接続用レシーバはここに収納が可能となっています。これは地味だけど大事な機能だと思います。あっちこっちで言ってますけど。
- エレコムジャパンデザイン。
無線接続切替
独自無線とBluetoothの切替は本体左側面下部にスイッチが設けてあります。下の写真、青がBluetooth、赤が独自無線となっています。またこの左側面、ホイールの横に、ボタンに埋もれるようにして各種接続時や警告用のステータスランプがあります。
電池残量が少なくなるとここがウルトラマンのカラータイマーのごとく点滅し始めるのですが、私の持ち方ではこれがなかなか絶妙な位置にあって、DEFT PROを握っていると点滅は見えなくなり、手を離すと見えます。おかげで作業中に点滅のせいで気が散ることはなく、我に返って手を離すと「あ、そうだった」と電池残量が怪しかったことを思い出します。
アルカリ乾電池利用の私の場合、警告灯が点滅を開始してから完全に切れるまでに長いときで4〜5日かかりますので、これは地味にありがたい配慮です。まぁ、悪目立ちさせてさっさと交換を促すのも、それはそれでアリな考え方だと思いますけど。
DEFT PRO 電池寿命
電源は単3形乾電池1本での駆動。折角なのでキッチリ記録を取ってみたところ、あくまで私の使用環境下でではありますが、4月7日に新品の単3形乾電池に入れ替え、5月の15日に電池容量の警告点滅が開始、5月の20日早朝に切れました。以下に挙げる私の使用環境下では単3乾電池1本/一月半といったところで、これまで使ってきた感覚でも多少の差はあれどだいたいそんな感じで電池交換しているイメージがあります。
- 単3乾電池(三菱製アルカリ型)1本
- 4月7日〜5月20日迄
- Bluetooth接続
- 分解能は1000固定
- 電波強度はLow固定
- 期間中電源は入れっぱなし
ただし、私の場合世間一般からすると恐らく酷使している方だろうと思います。PCの前に座らない日はなく、一日中座っている日の方が多い上にこの期間はコロナ禍でほぼ自宅から出ませんでしたので、一般的にはもう少し、2ヶ月ぐらいは持つんじゃないかと思います。今回はコロナ禍もかぶったので継続して記録を続けることにします。
そして追記。5月20日に新品交換した単3乾電池は6月28日に警告点灯が開始、7月7日午前、鬼籍に入られました。私の使用環境下での寿命は1.5ヶ月という感じですか。M570並までは望みませんが、もう少し持ってくれるといいんですけどね。
DEFT PRO 各種ボタンと設定
恐らく最も酷使することになるであろう左クリックが割り振られている筐体側面下側のボタン(1)は、きっちりと親指が来る場所に設けてあり、押し心地も文句ありません。恐らくここに高耐久スイッチが使われていると思います。
筐体天面には3つのボタン(8)(9)(10)が設置されています。いずれもボタン部品は別パーツで、さすが高級機という感じでしょうか。操作球左のボタン(8)は、マウスしか知らない人が見たらこれが左クリックボタンだと思われそうですが、人差し指を操作に使うためあまり使う機会がありません。クリック音も先に述べたボタンとは違う気がするので、ここは普通のスイッチが使われているんじゃないかと思います。そのうち開腹して調べてみようとも思いますが、保証が残っているうちはやらない。
参考までに一応記載しておきますと、私が使うボタンは(1)(9)。基本的にはこの2つと、あとはスクロールホイールですね。ホイールクリック(5)、チルト(6)(7)は使いません。
あくまでクリック時のスイッチ音からの判断ですので断言は出来ませんが、この(1)と(9)に高耐久スイッチが使われていると思います。
あとは(4)にesc、(8)にshiftを振っていますが、この2つは滅多に使いません。escはマイクラ用。shiftは、横スクロールが必要な際に押しながらホイールで左右スクロール。チルトスクロールがどうにもしっくりこないのでわざわざこんなことをしています。というか、このページを作ったので多少ボタン割り振りを試してみようと思い、設定してみました。
このとおり私はボタンのカスタムはほとんど使わないので、搭載ボタン数、機能割り振りへの不満はありませんが、そこを重視するユーザーも多いでしょうから簡単に感想を述べておくと……ある程度は自由にカスタム出来るけど、各アプリケーション上で安定して動くかどうかは検証が必要かと。私はゲームはマインクラフトだけ嗜んでおりまして、マイクラやる上ではDEFT PROで不都合を感じたことはありませんが、それだってマイクラの遊び方次第で要求するレベルも変わるでしょうからねぇ。
スクロールホイールは光学式だそうです。へえ、ここも光学式なのか。確かに、読み取ることだけを考えるなら耐久性はありそうですね。その分部品構成なんかは複雑になっているんじゃないかという疑念もありますが。
親指の腹が触れるホイール中心部、ホイールが橋だとすると一休さんが渡る部分ですね。そこはギザギザ付きのゴム素材で、渡ってはいけない端の部分は銅色に輝いています。私が使う範囲で問題が発生したことはないので今のところ不満はありませんが、私、ホイールクリックもチルトもほとんど使いませんから、耐久性を測るという意味ではまったくアテにならんユーザーです。
ホイールの感触は、HUGE等に使われているものと比較して手応えが強めで「カタカタ」「カクカク」と、かなりハッキリしています。私はヌルヌルを採用した瞬間にMicrosoftを見限った程度には手応えがあったほうが好きなので、これで特に問題を感じたことはありませんが、手応えがハッキリしている割に、感触として明らかに1刻み分だけ動かしたはずなのに、画面上のスクロールがズレることがたまにあります。
機械式でなく光学式とのことなので、たまにセンサーが取りこぼしたりタイミングがズレたりでポインタが飛ぶ時みたいになるんでしょうね。まぁでも個人的にはこれぐらいは気になりません。MX ERGOのプレシジョンホイールなんかと比べればかなり荒削りだとは思いますが、あちらはホイール開発にかけてきた年数が違いますからね。私は特に不満はないのですが、そうは言っても上等な比較対象が世に存在する以上、より良いものを求める声は止まないでしょうから、独自の色を模索しながら進化してくれることを期待します。
ホイールクリックも若干堅めかな、という印象。堅めです。ここを気にされる方は要確認のこと。チルトさせた際の感覚も悪くありませんが、ホイール周りは兎に角どの機能もすべて自己主張がハッキリしています。これは間違いないと思います。私自身がチルトホイールそのものに対して未だにしっくり来ていない人間ですので、良し悪しも好き嫌いもなく「ハッキリしてますよ」ということで。
チルトホイールはDEFT PROに限らず他メーカーの高級マウス等でも満足したことがないので、私個人との相性の問題でしょう。
旧機種から乗り換えるなら?
絶版となっている旧機種からの乗り換え先として考えた場合、DEFT PROはTrackball ExprolerよりCT-100の方に近いと思います。TBEに寄せてあるのはHUGEじゃないかな。ただ、どちらから乗り換えるにしても一度試してみる価値はあります。ネット上には、TBEユーザーがDEFT PROに乗り換えて満足しているという声、CT-100ユーザーが乗り換えて良かったという声、どちらもあります。
ちょうど中間ぐらい?
TrackballExplolerとCT-100(TM-400)。Microsoft社とLogicool社のかつてのフラッグシップ機で、特にTBEはファンも多く難民も沢山居ます。その乗り換え先としてDEFT PROはどうかというと「割と行ける」と私は思います。
実は私、この両機種いずれも「そんなに愛用していない」機種でした。なぜかというと、私は「平置き」型のトラックボールが好きなんですね。遍歴が初代Orbitから始まってますし。一方この2機種はいずれも手が傾く型です。「親指が少し上がる」と言ったほうがいいかな。
DEFT PROはですね、サムレストがないので親指こそ持ち上がりませんが、型としては割とこの両者に似ています。サムレストがないのでまったく一緒ではありませんが、サムレストがないおかげで、私のような平置きスキー人間でも使えるという、狙ったのか偶然なのかはわかりませんが妙なトラックボールです。
もちろん箱から出してそのまま平置きスタイルでとは行かないのでリストレストを併用しています。逆に、サムレスト部品を自作して取り付けたり、傾けたりして使用されている方もいらっしゃるようで、TBEから乗り換えたという方も居ればCT-100から乗り換えた方も居る。千万変化の万華鏡みたいなトラックボールです。
更に言うとですね。私自身「操作球は大きければ大きいに越したことはないと思っている人差し指派」でした。根本を辿ればオービターなので40㎜ジャスト辺りの操作球を好む人間だったのだと思いますが、最近のモデルを色々試してみる中で、操作球はそんなに大きくなくても十分扱える、という実感があります。旧機種の幻影に囚われることなく、新しい機種に提示された操作感覚を試してみるのも決して無駄にはならないと思いますよ。
HUGEとの比較
「右フィンガー型」で「40㎜より大きい操作球」の仲間といえば同社のHUGEが挙げられます。中にはこの2機種で悩んでいる人も居るのではないかと思いますので軽く比較してみようと思いますが、さすがにPROを名乗っているだけあって細かい部分の作りはDEFT PROの方がしっかりしています。特にボタンは、HUGEには一部カチャカチャと浮ついた感覚のボタンがあります(操作球右側の“R”“Fn3”と刻印されているボタン)が、DEFT PROにはそういうボタンはありせん。実際に高耐久スイッチ採用も謳われていますし、保証期間もまったく違いますので「DEFTPROの方が力入れて作られてるよ」と。それは価格が違いますから当然の話です。
しかし、トラックボールってのはそれだけで自分に合う合わないが決まるデバイスじゃないところが厄介で、HUGEにはHUGEの良さが間違いなくあります。
HUGEとDEFT PROを並べて上から撮影。こうして見るとHUGEが文字通り巨大に見えますが、実際に見るとそうでもないんです。不思議です。なんとかその感覚を写真にできないかと四苦八苦してみましたが私の技量では無理でした。今後も無理でしょう。DEFT PROの機種名印刷は掌との摩擦で消えてしまいました。
HUGEとDEFT PROを操作球側から。こうして見るとHUGEが結構平べったいのがわかると思います。最近流行りの垂直型の考え方からすると、DEFT PROの方が掌に角度がつくので楽っちゃ楽かなあ? でもHUGEが疲れるってこともないと思いますよ。操作球に人差指をかけますから、掌の角度は自然と垂直型に近づきますし。
HUGEとDEFT PRO、親指側から。これだとやっぱりHUGEが巨大に見えますが、私の場合DEFT PRO使用時はリストレストを併用していますので、占有面積はほとんど変わらないと思います。HUGEはリストレストも本体に組み込まれていますからね。己の前腕部を切り落として肘と掌を無線接続でも出来ない限り、全長方面が多少伸びたところでねぇ。
HUGEとDEFT PRO、小指側から。DEFT PROは甲高ですね。その一番出っ張った部分に人差し指尖球部が乗って、そこを支点に指を動かす感じで、手首は別に用意したリストレストで軽く支えているような状態。HUGE操作の支点は小指側の掌外周部で、ウレタン製のリストレストがあるおかげで接地ストレスは少ないです。
HUGEとSBT。並べてみてびっくりHUGEの方がだいぶ大きく見えますが、これも実際にはそこまでないんです。全体的に背が低く作ってあるおかげかなぁ。なんかフォローしてるみたいになってますが「こんなに大きいと感じないけどなぁ?」というのが正直な感想。大きいから駄目って話ではまったくないですよ。HUGEはリストレスト込でこの大きさですから。
HUGEとDEFT PROとDEFTのELECOMフィンガー制御三兄弟。DEFTの操作球は赤に載せ替えてみました。HUGEは大昔の怪獣図鑑に人型宇宙人の足跡として載ってそうな形してますね。この3機種は最近のお気に入りで、と言っても基本的にDEFT PROしか使っていませんが、何かあった時はすぐ使える状態でスタンバイさせています。
HUGEは先に上げた2つのボタンは感触がちょっとアレですがちゃんと押せますし、その他のボタンには問題ありません。ぱっと見た目でわかる安っぽさはないと思います。大型の操作球は見た目の割に軽く動いてくれますし、HUGEのホイールのほうが好みだという人も居ると思います。HUGEはDEFT PROと違って感度切替スイッチも表面に露出していますので、感度切替を頻繁に利用される方はHUGEでなければ駄目でしょう。
ボタンの感触はHUGEの方がいいという人は少ないんじゃないかと思いますが、そこも最終的には個人の感覚次第ですので、あくまで一般的にはDEFT PROの方が良い部品が使われている分は当然ボタンの感触がいいですし、耐久度も高いと思いますよ、ただ、ポインタ制御面では両者の性能に差は感じられず、どちらがいいかは個々人の好み次第ですよ、ということになると思います。
DEFT PRO 気になる点
べた褒めしてるだけでも面白くないので、多少気になる点を挙げてみます。
支持球周辺の処理
DEFT PROに限らず、ELECOM製トラックボールは大体共通して、操作球を収容するプラ製カップ部品の合わせ目に、挟みこむような形で支持球が収められています(合わせ目なのか成形時のパーティングラインなのかは分解したことがないので不明)
トラックボールは扱っている限りこの支持球部分にホコリなどが溜まっていくので定期的に清掃が必要(昔のボール内蔵マウスのメンテと同じこと)なのですが、拭き取ったゴミが少量、合わせ目にはまり込んで残ってしまい、あと一歩綺麗になった気がしないことがあります。溜まるゴミも使用環境次第で質も量も違うでしょうから、私の環境下での話ですが。
とはいえ、これはあくまで気分的な話。実用上はまったく問題ありません。
指で軽くなぞるだけでゴミは十分除去出来ますし、この瞬間は耳かきをして大物が取れた時のような爽快感も味わえ、反応が元に戻ったトラックボールのポインタ操作は購入当初の快適さそのものですから2重に爽快感が味わえます。ただ、若干カスが残ってしまう。
これはDEFT PRO固有の話ではなく、大半のトラックボールが「そういうもん」なのですが、KensingtonにSlimBlade Trackballという優等生が居まして、SBTの支持球周辺部は綺麗に処理されているので、軽く指で撫でただけでサッパリとゴミが取り除けます。引っかかりが少ないということは、普段からそもそもゴミも溜まりにくいんじゃないかと思いますが、同社製品でも旗艦機であるはずのEM7なんかは支持球を固定するためなのか保護するためなのかはわかりませんがやはり突出部品があるので、清掃時には少しカスが引っかかってしまいます。
ここまで書いて思いましたが、これはDEFT PROに問題があるのではなく、SBTが優秀と見るべきですね。ごめんなさい。ついでなので触れておきますが、写真で見る通り、エレコム近作のトラックボールには大きめ(公称2.5㎜)の支持球が搭載されており、こっちを見慣れるとSBTの旧来の支持球がものっそい小さく見えます。ここが大きいとその分カップの縁との隙間の確保が容易なんだろうと思いますし、多少汚れが溜まっても操作性に影響を及ぼさないでしょうし、多少なりと支持球が摩耗したり、長年の酷使で支持球を固定しているプラ素材が削れるなどして奥に引っ込んでしまうことがあったとしても、元々が大きい分だけ長く支持球としての役割を果たしてくれることでしょう。
若干、背が高い
成人男性としては(恐らく)手の小さい私が使うには若干背が高いので、手前にリストレストを置いてます。無くても使えるんですが「あるとより具合が良かった」ので採用。
これは、私の極個人的な「入力機器に手のひらがべったりとくっつくのは嫌」という感覚から来ていると思われます。恐らくですが私が最初に覚えた機種が初代Orbitで、決して握り方を強制してくるエルゴお節介筐体ではなかったからでしょう。お陰様で皆大好きTBEもそんなに好まなかった程度には「掌は自由にさせろ!」という感覚が醸成されてしまっていますが、特に困っていないのでKensingtonには感謝しています。一応。
DEFT PROに話を戻すと、リストレストを置くとその分手首が持ち上がり、結果として掌が機器本体から離れます。その感覚のほうが私は好きなのです。逆に、掌が機器本体にぴったりとフィットする方が好きという方は(その方が多いんじゃないかと思いますが)リストレストは不要でしょう。設計上は恐らくですが掌がフィットするのを是として造られている気がするので、そういう意味では私の使い方は少しメーカーの想定から外れているかも知れませんが、それでも自分なりに快適と感じるポイントが探せる/存在するのは、誰が使っても形が一定になるガッチガチのエルゴ筐体では考えにくいことで、DEFT PROの懐の深いところだと感じています。
ELECOMのトラックボールレビューなどでたまに目にする「購入当初は操作球の動きが渋い」という点に関しては、私はDEFT PRO2台買ってますがそのどちらでも感じたことはなく、箱から出してBluetoothで繋いでPCが認識して以降は何の問題もなく利用しています。DEFT PRO以外にもELECOM社製トラックボールは複数所有していますが、今のところ操作球に成形不良などを感じたことはないです。
が。当のELECOMが交換用のボール(34㎜)を販売しているぐらいですから、一部、あまり成形具合のよろしくない操作球が混じっているのかも知れませんね。ELECOM製トラックボールの操作球はどれも本体を逆さまにして振っても落ちてこない程度には固定されていますので「破損時の交換用を販売」という状況はあまり考えられないと思いますし。大した額でもありませんのでELECOM純正交換用操作球はそのうち入手して試してみようと思いますが、34㎜操作球の話なので、DEFT PROには関係ありません。
DEFT PROは一応「PRO」を名乗っている機種ですし、操作球の質がどうのこうのいう話は今のところ聞いたことはないです。いつも、いい具合に滑ってくれています。
DEFT PRO 保証対応
実はですね。購入して約1年の間に2度ほど、ELECOMさんに修理交換をお願いしています。1度目は恐らく初期不良、2度目は、出ました。忌まわしきチャタリングというやつです。
誤解して欲しくないのですが、私、とにかくマウスを壊す人間でして、チャタリングなんて当たり前のことだと思っています。ここ10年ほど、利用していたマウスは全部1年強でチャタリング起こして交換してもらっています。使い方が悪いのか体質的に悪いのか、マウスの神に見放されているのか、あるいはそれらすべてが理由なのかはわかりませんが、これは完全な自覚症状なので「DEFT PROが脆い」わけではありません。特に気に入ってしまい、通常より過酷に使用した自覚もあるので、チャタリングが始まったときは「あーやっちゃった」と思っただけです。
DEFT PROにはELECOMさん的に前代未聞の3年という長期保証がついています。手続きに関してはLogiやMicrosoftに比べると面倒ですが、こちらから送っておよそ10日で交換品が届きます。送料がかかるのがちょっとアレですが、ユーザーの自己申告だけで交換品を送ってくるMicrosoftやLogiの対応をいいことに、壊れたほうの個体をオークションやフリマサイトに流す不届き者が一定数存在している以上、致し方ないとも思います。既に2度お願いしていますがどちらも10日±1日という感じでした。2度目の交換依頼時には「10日もDEFT PROなしで生活なんざ出来ん!」と思い、そこで2台目を購入したわけです。
DEFT PRO 関連製品
18年の発売から丸2年が経過し順調に愛用者を増やしている(といいな)DEFT PROに、なんと純正専用ケースが発売されました。凄いですね。トラックボール界は専用ケースが発売されると一人前みたいな風潮は確かにあるような気もしますが、まさかまさか。DEFT PRO用、HUGE用、EX-G親指型用の3種類が準備されているようです。Amazonで9月7日発売となっていたので、取り急ぎDEFT PRO用を購入。軽く紹介しておきます。
さすが純正専用品だけあってキッチリ美しく収納されます。底面にはケーブルとレシーバ(ドングル)収納用の窪みもあるので、どちらも忘れずに持ち運べます。レシーバはそもそも本体に収納出来るので、こっちに収納場所必要だった? と思わなくもありませんが、まぁそう野暮は言いますまい。購入して箱から出したっきりだったケーブルとレシーバも出番が来て喜んだと思ったら結局また収納されただけというね。ああ。レシーバは撮影終えて本体に戻しておきました(野暮)
DEFT PRO レビューまとめ
もう2年からメインの入力機器として働いてくれていますので、私にとっては久しぶりに長い付き合いになりそうなトラックボールです。経験上こういう場合、その製品自体の生産販売が打ち切られてしまったり、モニタ解像度が著しく巨大化したとかスクロールホイールが必要になった等、周辺環境の著しい変化が起きない限り、そうそう乗り換えの必要は出てきません。
ですので「みんな〜DEFT PROええよ〜買おうや〜」と言いたいのは山々なのですが、私にとって最良のトラックボールが万人にとってもそうであるとは限らないのがこのポインティングデバイスの面倒くさいところです。「フィンガー型が好き」な傾向があると自覚している人ならまぁ買っても大損こくことはないと思いますが「トラックボールに興味を持って最初の一台を選定している」人は、ちょっと待って下さいね。ええ。オーナー仲間になって欲しいのは山々ですが、もし最初の一台としてフィンガー型を検討しているのであれば、手が大きい人でない限り、私はDEFT PROよりDEFT かOrbit(ScrollRing) を検討することをお薦めします。「自分は手が大きい」という自覚がある人は、そこにHUGE を加えて下さい。
理由はというと、なんせ価格がそこそこしますからねDEFT PROは。目の玉が飛び出すほど高額というわけではなく、ネットの通販界隈ではだいたい7千円前後ぐらいで販売されていますが、その半額程度で入手可能で、いずれも価格相応以上の出来を誇るDEFTとOrbitの方が、最初に選ぶには適していると思うのです。
決してDEFT PROが高いと考えているわけではありませんが、DEFT PROのコスト増部は主に「長期利用」への担保として割かれている部分にあると思います。高耐久スイッチの採用や、長期保証の付属など。しかし、最初に選定する機種、しかもそれが自分の感覚に合うかどうかまだ分からない段階で、長期利用のためのコストも負担するのは、私は決して悪いことだとは思いませんが、コスパコスパ煩い時代には理解してもらい難い特徴だと思います。私は保証が長い時点でコスパもかなり良好だと思っていますけどもね。
その点が省いてある代わりに、他2機種のほうが初期投資が安く済むので、やはり初心者が買うにはそちらの方が向いていると思うのです。初期投資が安いので、合わなかった際のダメージも少ない。特に入門時、最初に相性の悪いトラックボールを入手してしまうと「トラックボールそのものが自分と合わない」と錯覚しがちです。私としては、それだけは避けたい。
と、その辺を考えてみてもなおDEFT PROへの興味が尽きないという人であれば……ここまで警告したんだからもう十分でしょう。トラックボール畜生道へようこそ。DEFT PROはいいトラックボールですよ。現行品の中で私が一番気に入っているトラックボールです。誰に遠慮することなく買うがいい。
DEFT PRO、AmazonではAmazon公式とマーケットプレイスの2箇所で販売されています。店頭販売用と通信販売用で別の製品として扱われているようで型番が違います。ELECOMに確認したところ、製品は同じものだそうです。
マーケットプレイスはだいぶ安いので、特段の事情がない限りはマーケットプレイスで購入する方がお得です。ただしあくまでマーケットプレイスでの販売ですので、初期不良品への対応や送料等は店によって異なりますから、よくご確認の上でご購入下さい。
保証対応はどのみち自分で直接ELECOMに申請することになるので、その点は購入窓口での差はありません。DEFT PROは3年保証も製品の大きな魅力のひとつだと思いますので、購入証明が長期間保存できるAmazonはこういう時本当に便利です。