私的トラックボール年表
私がこれまで見てきたトラックボールとその周辺環境も含めて年表にしました。
当初はなんとなく作り始めた表でしたがある程度形になってみると見えてくることもあって、自分のサイトで一番面白いもんが出来たと思っているのですが、人気は下から数えたほうが早い位置に。
作成にあたっては一応ネット上で可能な限り事実関係を、特に日付なんかはしっかり調べたかったのですが、なかなか上手く行かず怪しいところもあると思います。悪しからずご了承ください。
- 1986
第五種接近遭遇
TEHKAN 1986少年時代、ゲームセンターで「テーカンワールドカップ」という、トラックボールを採用したサッカーゲームに遭遇。思えばあれが人生最初のトラックボールとの邂逅でした。
正確にはこれより以前にデパートの屋上などでトラックボールが採用されたアップライト筐体のビデオゲームなんかで遊んでそうな気もするのですが、はっきりとボール式の入力機器を認識したのはこれが最初ということで。時代的にはミサイルコマンドにも遭遇しているはずなのですが、近所の駄菓子屋ゲームコーナーには置いてなかったのと、まだ子供過ぎて、不良の溜まり場である危険なゲームセンターには近寄れませんでした。
テーカンワールドカップのトラックボールは操作球を手のひらで転がしますが、その操作は腕全体を使う激しいもので、数プレイでヘトヘトになってしまう体感ゲームでもありました。必死でボールを転がしていると筐体とボールの隙間に身が挟まって痛い思いをしたものです。嗚呼、齢がバレます。
テーカン(→テクモ→コーエーテクモゲームス)といえばスターフォースが有名ですね。アルゴスの戦士もこのぐらいの頃じゃなかったかな。テーカンワールドカップが置いてあった同じゲーセンで遊んでた記憶が。1986年。この年には初代のドラゴンクエストが発売されます。Macintosh Plus版のTurboMouse Plusもこの年に世に出ていると思うので、パーソナルコンピュータ界でのトラックボールもいよいよ神話の時代が終わろうとしている感じでしょうか。
- 1989
Macintosh Portable
AppleComputer 1989Rama, CC BY-SA 2.0 FR, via Wikimedia Commons
メリケンさんはピックアップトラックで運べるものは全部モバイル機と認識しているに違いないと偏見を持つに至ったマシンがこちら。Macintosh Portable。私は現役で販売、稼働していた時代には見たことありません。後年、記念碑的マシンとして扱われるようになってから記念展示とかで見たことある程度ですが一応は伝説の機体。写真の通り、入力機器としてトラックボールが採用され、しかも左右どちらにも取り付け可能で、使う人には天国。運ぶ人と財布には地獄。
- 1991
PowerBook 100
AppleComputer 1991Danamania, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
SONYが作っていたことで有名なPowerBook100。ここでキーボードが奥へ移動して、手前にパームレストとポインティングデバイスという現在も続くラップトップの形が完成します。その中心に鎮座するのが我らの、我らのトラックボール!
こののちトラックパッド(タッチパッド)が主流になるまでラップトップの据え付け入力機器はトラックボールが主役を張り、トラックボール中毒患者も多数生まれます。この翌年にはIBMがトラックポイントを世に送り出し、ラップトップ入力機器群雄割拠の時代が到来しますが、その中心に居たのは他でもない我らのトラックボールです。トラックポイントも好きでしたけど。
AppleはApple的にイケてるかイケてないかで機能装備を選ぶところがありますので、トラックボールを捨ててさっさとトラックパッドへ移行しやがりますが、PC/AT互換機界隈ではトラックボール搭載のラップトップは比較的長い間支持され、販売されていました。その後健闘虚しく絶滅機へ突入し、やむなくマウスへ流れた人も多いと思いますが、心の奥底でトラックボールへの思慕の念が燻っていた人も多かったのでは。近年、トラックボールが見直され始めたことで発生した戻りトラックボーラーには、この時代の記憶をお持ちの人も少なくないことでしょう。おかえりなさい!
や、でもこの時代知ってる人となると……こんなとこでも結構な高齢化が進んでるのか。私も例外ではありませんが、なんともコメントしにくいことで。
- 1992
Turbo Mouse4
Kensington 1992現行機ExpertMouse7へ連なるTurboMouse4がこの頃発売されます。パーソナルコンピュータ黎明期からの据え置き型トラックボール、TurboMouseの4代目です。
PC/AT互換機用(ExpertMouse)も併売されていたはずで、eBayなんか眺めてるとたまにEM3なんかも転がってたりしますが、米国市場はともかく、国内ではあまり流通してなかったんじゃないでしょうかね。その頃のPC/AT互換機界隈の話はぼやっとしか知りませんが。
私が基本はMacユーザーなのもあってですが、自分的にはこのTurboMouse4(ADB)が発売された頃を近代トラックボール史の入口と考えています。なんせ、私が初めて目にしたPC周辺機器のトラックボールがこれでしたから。
TurboMouseは4.0までは2ボタンで、この写真の通り上からも横からも押せる構造になっていました。横からの場合は掴む感じで押しますがきちんと反応します。この感覚は後のEM5でもボタンに折れ線を設けることで極力継承され、現行機のEM7にも残されていますが、本当に古くからのユーザーはこのTurboMouse4までのボタンが良かったと言います。私もボタン単体の感触ならこの頃のが一番良かったと思いますが、人はパンのみにて生きるにあらず。
- 1995
Windows95
Microsoft 1995世紀末爛熟
Windows95の発売を境に、パーソナルコンピュータとその周辺機器市場が一気に膨れ上がります。地方都市在住の私がPC系の製品を眺めようと思った際、それまでは狭く薄暗いPC屋に出向くしか手がありませんでしたが、この頃には大手家電量販店に広大なPC売り場が設けられるようになり、地方都市中心部から離れた僻地にも専門店が建つようになりました。
この頃トラックボールは今よりは世間に認知されている入力機器だったと思いますが、それはPCを弄る人間の数が現在とは比べ物にならないぐらい少ない世間での話。当然、初心者がホイホイ購入するものではありませんでした。普及が始まったとはいえPCそのものがまだまだ高価でしたから、付属しているマウスも相応の品質を誇り、別売りの入力機器を購入する状況も決して多くはなく、この時点で別売りのマウス等入力機器に手を出す人は、PCを自作する人か、不運にも故障に見舞われた人か、よほどヘビーにPCを使いまくる人か、その手のガジェットに興味がある人に限られていたと思います。
当時はガジェットなんて単語知らなかったですけどね私。
TrackMan Marble
Logitech 1995現行機M570に連なるTrackManMarble発売。
Logitechも古くからトラックボールを、特に親指型を推していて、調べているうちにTurboMouseとの比較広告なんかも見つけましたが、今現在我々がよく知っている形になったのがこれ、TrackManMarbleです(現行機のマーブルさんとは別人)最初はスクロールホイール未搭載だったのが後にホイール搭載型となり、TrackManWheelとニックネームを変え、型番もT-BB13→T-BB18→ST-65UPi→TM-250と変化しながらM570へと流れて行きます。私が使っていたのはT-BB18〜ST-65UPiの頃なので年表上ではもう少し後、1999年頃だったと思います。わざわざ「Wheel」と付けるぐらい、ホイールがついていることがアピールになった時代です。
この旧式のTrackManは、現行機のM570等と比べると背が低く(薄く)その分広いですが、私はこっちの形のほうが好きでした。手のひらにぴったり来るタイプの筐体は手のひらに汗をかきますし、持つ形もだいたい一定になってしまいますが、薄い形は割と自由に手が置けるので、後継機のST-65UPiを使い始めた時は、手のひらにピッタリしすぎてシックリ来ないという妙な感覚の下で利用していました。もちろん、しっかり置ける、つかめる方が好きという人もいる、というかそう感じる人の方が多数派だろうとは思います。
- 1996
スクロールホイール
Microsoft 1996Intelli & Glamorous
MicrosoftOfficeが97から正式にスクロールホイールをサポート。同時にスクロールホイールのついたIntelliMouseを発売。「なすび」と呼ばれた名機。
スクロールホイール。実に便利で憎々しい存在。一度覚えると手放せなくなるという意味では本当に麻薬じみた機能だと思います。加えてこのIntelliMouseはマウスそのものの完成度も高く、多くのメーカー製PCにもOEMされており、ファンも多いマウスです。私はつかみ持ちでしたからこの尻がデカく曲がっているIntelliMouseは苦手でしたが、単純に掌の乗せ心地が良かったのはよく覚えています。
登場当時96年頃といえばまだPC画面はせいぜいSVGAぐらいの解像度で、下にながーーくスクロールする必要なんてExcel限定みたいなところがありましたし、基本がMacユーザーな私としては特に必要と感じていませんでした。自分的に必須になって行くのはインターネットを眺める生活が始まってからで、実際それぐらいのころから、トラックボールはいかにしてスクロールホイール機能を取り込んで行くか、という課題を抱えることになります。なんてったって、スクロールホイール自体が「縦の動きに限定したトラックボール」みたいなところがありますから。
Turbo Mouse5
Kensington 1996無スクロールホイール時代の傑作機TurboMouse(ExpertMouse)5がこの頃発売。
大雑把に言うと「TurboMouse」ってのはExpertMouseのMac版。USB普及以前は、MacとPC/AT互換機、ものによってはNECのPC98シリーズにも対応版があって、それぞれ独自の入力端子が存在したので、入力機器も大本は同じながら接続端子が違う形で、これまたものによっては製品名も微妙に変えたりして流通していた、その名残でもありましたね。TurboMouseの名はこの次のPRO(EM6)まで存続しますが、現行のEM7からはExpertMouseに統合されて幕を下ろしています。
Windows版……いや、PC/AT互換機版か。ExpertMouse5も恐らくは同時期に発売されて……るんじゃないかなぁ。
今となってはEM5と呼んだほうが通りがいいのでそうしますが、EM5は無スクロールホイール時代のトラックボールの、ひとつの頂点を極めた製品です。ベアリング支持による独特の回転フィーリングは「官能的」とも表現されます。私もそう思います。折目がつけてあるボタンも、どこを押してもキッチリと反応がある良いボタンで、文句のつけようのないトラックボールでした。その完成度の高さでファンからの要望も多かったのでしょう、00年代半ばだったと思いますが、再販されたこともあります。
- 1997
Orbit
Kensington 1997私的記念碑機Orbitが発売。私もこの97年ごろに購入したように記憶しています。ここからトラックボールとの付き合いが始まるわけですが、割と発売されて間もないタイミングだったのか。購入時既に定番だったような気がしてたけどなぁ。わからんもんだ。
Orbitには、先行するLogiのTrackManVoyagerがあり、名前も、どちらも宇宙開発でお馴染みのボイジャーとオービット(スペースシャトル・オービター)ですから、恐らく意識してるんじゃないですかね。VoyagerはVoyagerで、ラップトップ機搭載トラックボールの外付け式という当時の感覚から出てきた機種で、完全な据置型ではなく、そちら方面ではTrackManVistaという機種があります。
当時のことを思い出してみるに、まだMac売り場とPC売り場は同床異夢空間でしたから、Mac売り場でLogi製品を見ることも少なく、首都圏なら違ったかも知れませんが地方都市ではそんなもので、当時の私はTrackManVoyagerもVistaもその存在を知りません。というか、上で触れたMarbleの、まだホイールがついていない3ボタンだった型にMac版が存在したことも、2021年に入ってほんの先日知ったような次第です。
とにかく、Macユーザーの場合、周辺機器メーカーとしてKensingtonが話題になることは珍しくありませんでしたが、Logiは……どうだったかなぁ。当時は専門誌なんかも読み漁っていたと思うのですが、あまり記憶していません。もちろん、私が記憶していない、見落としていただけで相応に取り上げられていたかも知れませんが。
特にDTM方面で強かったTurboMouse5は、当時は入力機器というより楽器だったと私は思っています。あとはMac好きのお医者さんが買う高級品のイメージ。それからするとOrbitは庶民派のPC周辺機器。価格も手頃でしたので、サスティナブル貧乏人の私にも購入可能な入力機器として我が家にやってきます。まだ68kのMacを使用していた時代。「ボタンが2つもある」という感じで、右クリックボタンは使いこなせずにいました。
Intelli Mouse Trackball
Microsoft 1997スクロールホイールを搭載した右フィンガー(人差し指)型としては、世界初か、初でなくてもかなり初期のものだと思います。IntelliMouse Trackball。まだ左右対称型に若干の未練を残しているように見えなくもありませんが、その辺の迷いが吹っ切れたからこそ、後継機のTrackball Explorerが名機となったんでしょうか。ここから親指側にホイールを持って行くのは、見慣れた今となってはなんとも思いませんが、結構な思い切りが必要だったのかも知れませんね。
- 1998
初代iMac
AppleComputer 1998今見ても不思議な愛嬌のあるマシンですが、どっこい、その愛嬌ある見た目とは裏腹に、当時既に容量不足感が強かったとはいえ、まだあって当たり前の存在だったフロッピーディスクドライブはついてないわ、外部接続端子がUSBという当時はほぼ無名だった規格しかついてないわの前衛仕様で、早くに飛びついた人であればあるほど苦労したであろう初代iMac。手前にこっそり写っているのが、私は大好きだった、世間は蛇蝎のごとく嫌った通称ホッケーパックマウス。私は翌年B&WのPowerMacG3を購入、その時点でUSB対応機器は入力機器のみならずプリンタやスキャナなどぼちぼち普及が始まっていましたが、肝心のUSBハブがなかなか売られておらず、広い専門店内にひとつだけ売られてた、無線屋の自作部品みたいな金属の箱製USBハブを購入したものです。
しかしこのiMacがバカ売れしてくれたおかげでUSB接続対応の入力機器が一気に普及した、という功績は間違いなくあると思います。それまで端子違いで使えなかった、あるいは余計にお金を払わないと購入できなかったMac版を買わなくても良くなったため、喜び勇んでPC/AT互換機の周辺機器売場をうろつき、結果としてだいぶ散財しました。おかげでひと頃は、製品に付属のUSB←→PS/2変換器が部屋にいくつも転がっていました。まだアップルがアップルコンピュータだった時代の話です。
- 1999
Turbo Ring
Kensington 1999いかんせん古く短命に終わった機種なので正確なところは不明のままですが、Kensington社のTurboRingはこの時期に発売されているようです。なんとなく記憶していた状態よりもだいぶ早い段階でスクロールリングは誕生していました。スクロールホイールに対するKensingtonからのひとつの回答ですね。
この当時、PCを使っての動画リニア編集なんかも始まっていますが、動画編集インターフェイス用にダイヤル式の入力機器がありました。スクロールリングの発想は、そのあたりからの輸入でしょうかね。
- 2001
Trackball Explorer
Microsoft 2001古豪の遺産
右フィンガー(人差し指)型の名機TrackballExplorer(TBE)発売。46㎜というそこそこ大きな操作球に5ボタン+スクロールホイール、光学式エンコーダーを採用したTBEは、2020年現在も、恐らくユーザーの手で多少の修理改修は受けながら、現役で稼働している個体も多いことと思います。01年発売ながらその先進性には眼を見張るものがある、というべきなのかそれともその後20年で大して進化しなかったと見るべきか。
一般的に、操作球は大きい方が細かい作業に適していますが、大きい分だけ重くなるため、小球に比べて軽快感は失われます。操作球の大きさをある程度細かい作業にも対応可能なように確保し、それでいて大き過ぎず、物理ボタンも多く搭載し、Microsoftご自慢のスクロールホイールも搭載している。これだけ盛り盛りでありながら無理のない使い勝手にまとめ上げ、価格も、他2社のフラッグシップモデルは1万円を超えていたところに、発売当時で¥6,800とお安めに設定されており、トラックボール普及に貢献した名機です。
が、良いことばかりでもなく、最早有名な話ですが、スチール製の支持球が削れてしまうため、ヘビーユーザーであればあるほどすぐ操作球の動きが渋くなってしまうという致命的な欠点があります。ここに硬めの支持球が採用されていれば、その後のトラックボール界の歴史も大きく変わっただろうと思わせる、それほど罪深い部品選定ミスでした。
Microsoft社のトラックボールやマウスにはきちんとフェライトコアも取り付けてあったりして、とにかくキッチリ作ってあるのに、何故そんなイージーミスをしたのか。残念無念。
現役当時は量販店で安値で売り出されていることも決して珍しくありませんでしたが、今となっては……。いや、安値で売られてることも多かったから「なんとなく手を出してみて」虜になり、のちに難民化の憂き目を見るユーザーも多かったのか。私も所有していましたが確か¥3,800ぐらいで購入したはず。幸か不幸か私はそこまでハマらなかったのですが、支持球の劣化で賞味期限が短いことを除けば、確かに欠点の少ない良い機種でした。ドハマリした人にとってはその完成度の高さが悲劇を呼ぶわけですが……。
まさか己の代替機を求める「トラックボール探求者」を生み出すことになるとは、Microsoftも夢にも思わなかったことでしょう。
WindowsXP
the Big3 in 2001御三家の時代
ひとつ前のMeがあまりにアレな出来だったのも記憶しているところですし、「Luna」テーマの配色なんかは気でも触れたのかと思う代物でしたが……あ。だからLunaなのか今気づいた。ともかく、WindowsXPは間違いなく名OSでした。開発が遅れたのが原因なので結果オーライ感もありますが、次期WindowsであるVistaがリリースされるまでの間、5年もの長きに渡り第一線のOSとして業界を牽引しました。
開発が停滞したことが結果として安定、枯れることにも繋がり、その間、周辺機器市場などはXPさえ見ていればいいということで開発がやりやすかったのではないでしょうか。お陰様でトラックボール界も華やかな春の時代を謳歌しましたし、前世紀からの遺物であった古いインターフェイスがUSBに統一されて行く過程でも、XPを見ていればいいという安心感の中で順調に移行が進んだ、という功績もあったと思います。
この時代、トラックボールの主要メーカーは、Kensington、Logicool、Microsoft。この御三家とでも呼ぶべき一流メーカーが軒を連ね、それぞれにエース級の機種を抱えて鎬を削ることになります。また、旧時代に発売された個性ある機種たちもUSB変換コネクタを同梱することで継続して販売されたため、市場にはド定番製品から固定ファンが居るマイナー機種までバラエティに富み、ユーザーにとっても幸せな時代でした。
一方で、本格的にネット時代が到来し、スクロールホイールの重要性が高まった、というより必須機能になって行った時代でもあります。それはつまり、ホイール機能を取り込めなかった旧機種にとっては厳しい時代の到来を告げることにもなりました。
- 2006
Trackball Explorer 終売
Microsoft 2006迎冬
「御三家」の一角、Microsoftがトラックボール販売から撤退。
MX RevolutionとVX Revolution
Logitech(Logicool) 2006革命の名を冠した鼠
それまでもぼんやりとは存在していた「高級マウス」という製品路線、その輪郭をハッキリと確立させたのがこの2機種だと思います。名前負けしない革命感があったのは私の知る限りこの製品と天龍革命ぐらい。これ以前のフラッグシップ機は、高額マウスではあっても高級マウスと呼べたかどうか。
蓋付きの高そうな化粧箱に入ったブリスターパックでの販売形式を見たのはこの2機種が最初でした。現在でも同社製高級路線品や、DEFT PROのパッケージなんかも、まんまこのスタイルです。当時はまだ量販店巡りをする楽しみがあった時代でしたが、まーこの2機種はどの店舗でも力入れて販売されていました。
2020年現在の目で見ても特に古臭さを感じない、というよりは、この2機種が06年以後のマウスの基本形となり、現在も続いているのだと思います。実際、似たようなマウス、今でもたくさんありますよね。
一方の我がトラックボール界はちょうど大量絶滅が始まった時期。年表にして振り返っても感慨深いですが、この革命の名を冠した2匹の鼠の登場は「マウス以外の入力機器すべての息の根を止めてやる」と宣言されたようにも感じられ、新型が出るどころか逆に次々と市場から消えて行くトラックボールとの落差を思うと、その華々しいデビューと快進撃が本当に眩しかった。実際この2機種は、かなり高額だったにも関わらず売れたと思いますし、現在も続いている高級路線マウスも基本的にはこのMXとVXの子孫です。最近、垂直型とかが出てきて、ちょっと変化の兆しが見えるような気はしますが。
- 2007
Microsoft Natural Wireless Laser Mouse 6000
Microsoft 2007最近流行の垂直型の元祖というかご先祖というか、私が手首を立てるという考え方を知ったのはこのマウスからです。ここから時は流れてMX ERGOやProFitErgoに繋がったと。当時、トラックボール販売から撤退したMicrosoftがその代わりとして提案してきたマウス、みたいな雰囲気もあったんですが、半分正解半分ハズレ、みたいな感じになりましたね、結果的に。
正確には、これより10年前、90年代半ばにはもう、エルゴノミクスキーボードとして中央部が盛り上がった(つまり手首が立つ)製品も世に出てたので、もしかしたらその考え方を取り入れたマウスが、これ以前に存在したかも知れません。確かあのキーボード売ってたのMicrosoftだったような……。ま、そのへんは私が知らない=この年表上には出てこない、ということでひとつご了承下さい。
これも店頭でさんざん試しました。欲しかったんですけどねぇ。どうにもレシーバが巨大で頂けなかったのと、私がヌルヌルホイールが苦手なのと、見るからにすぐダメになりそうな軟質樹脂外装とで、結局見送りました。果たして懸念したとおり無線は弱く軟質樹脂外装の耐久性も軟弱で、というか店頭のデモ機がしばらくするとサムレストの軟質樹脂が剥がれかかったり、ホイールの樹脂がベロベロのブヨブヨに劣化したりしてましたからね。経年劣化ぶりまで包み隠さず見せてくれたあのデモ機はいいデモ機だったと思いますが販売促進になったのかどうか。この頃のMicrosoftは無線化技術もだいぶ遅れを取っていて、他社が小型の100円ライターぐらいの大きさのレシーバを実現していたのに、この製品は小型マウスがおまけで付属してきたかのような状況。同社製マウスにあった絶大な信頼が揺らいで行きます。
とはいえその製品概念的には、前年にLogiが発売したRevolution2機種に負けず劣らずの革命的なマウスだったと今になって証明されつつありますが、軟質樹脂採用とか要らんことせんでいいからカッチリ作っていてさえくれればもうちょい歴史も変わってたかなぁ。一応そのへんの粗を解消した後継機種は現在も継続して販売されています。
- 2008
Logicoolの3機種がリニューアル
Logitech(Logicool)2008Logiさんのドッキリ
Microsoft社が撤退し2強状態となったものの、残った2社に「果たして市場を維持するメリットはあるのだろうか」と、他でもないトラックボーラーズが自問自答し始めていたこの時期、Logi3機種終売のニュースが舞い込み、決して実現して欲しくないと願うことから狙いすましたように実現する無情の世界に、多くのボーラーズが打ち震えます。一方で「やっぱりか……」という、破滅の予感のようなものも漂ってはいたんですよね。
特に、06年のMicrosoft撤退で、こちらも定番として人気のあったTrackball Optical(Microsoftの親指型)を失ったばかりの親指ボーラーズに与えた衝撃は大きく、このうえLogiが撤退する=親指型の定番が完全に消えるということなので、数少ない店頭在庫を巡って取り付け騒ぎが起きたほどです。
私もこの時期親指ボーラーでしたが、このニュースを耳にして親指型からの卒業を決意。Logiの親指型T-BB18をお蔵入りさせ、右手は無線マウス、左手はトラックボールというスタイルに変えることになります。親指型を完全には使いこなせずマウスと併用していた私にとって、このタイミングは、マウス界でぼちぼちBluetooth対応製品が出現しはじめた頃でもあり、ある意味渡りに船でもあったのです。
結果、Logi3機種は終売してすぐに型番を改め、筐体もカラーリングを若干変更しリニューアルという形で継続販売されることが判明します。ほっと胸をなでおろす人、過剰に在庫を抱えてしまい途方に暮れた人、「あなたとはもう付き合えないわ。疲れてしまったの」となった私。短期間に遠近で数多のドラマが繰り広げられたことでしょう。
今日の親指型の隆盛を思うと、たかだか干支一回り程度の過去、親指ボーラーズの脳裏に絶滅の二文字がかなり現実的な状況として浮かんだことがあったとは、にわかには信じがたいような気もします。親指ボーラーズにとってのキューバ危機みたいな事件でした。
- 2009
SlimBlade TrackballとOrbit Trackball with Scroll Ring登場
Kensington 2009大山鳴動して文字通り鼠一匹を経験した08年のLogicoolドッキリを経て、翌09年「なんやようわからんけど新型置いてくで」とばかりにKensingtonが突然新型を投下。その前の新型はEM7なので5年ぶりの新作となります。
この私的年表上ではここから下が「現行品」の扱いに入ることになります。実際にはこの上の時代に登場した機種で生き残っているものもあるのですが、それはまぁ例外というかレジェンド枠というか。詳細は機種個別のページで触れていますので、ここからは発売年の表示が基本となります。この先は、貴方自身の目と指で(現行品を買って)確かめてみよう!
- 2010
M570登場
Logicool 2010Logicoolの伝統である親指型の灯は消えず。新型M570が投下される。この時点で、2010年代の基本となった3機種、親指型M570、フィンガー(人差し指)型OrbitScrollRing、SlimBladeが揃い踏み。ちょうど10年前ですか。なんとなく、納得。
- 2011
Orbit Wireless Mobile 登場
Kensington 2011「なんやようわからんけど新型置いてくで。これからはモバイルやさかいに」とばかりにKensingtonが新型を投下。
- 2012
TM-400 退場
Logicool 2012正確な日時は確認出来ていませんが、この頃、TM-400がひっそりと終売。CT-100、コードレスオプティカルトラックマンと色々な呼び方があった機種です。
Logiさんもここまでは、なんだかんだ言いつつ大玉搭載フィンガー型を旗艦に据えて、中級機に親指型、入門機にマーブルさんというフィンガー型多めのラインナップでしたが、このTM-400の終売以後はM570を先頭に、かろうじてマーブルでフィンガー型も扱ってるけど、という形にラインナップが整理されます。
のち、17年に親指型のフラッグシップとしてMX ERGOが登場しますが、それまでの5年間はM570とマーブルの2機種だけで市場に居座り、それでいてほとんど制圧しちゃうんですから、Logiさん恐るべし。
ともあれ、コードレスオプティカルトラックマン。2021年春現在、Logiさんが発売していた最後のフィンガー型高級機ということになります。果たして後継は出てくるのでしょうか。
- 2014
EX-G 親指操作タイプ 登場
ELECOM 2014ELECOM参戦
KensingtonとLogicoolが散発的に新作を投下こそしていたものの、すっかり見慣れた顔しかいないマンネリ状態になっていたトラックボール界に、久々にやる気のうかがえる新型が現れます。ELECOMのEX-G 親指操作タイプです。
実はこの少し前、厳冬期真っ只中に、サンワサプライさんもちょいちょい新型を投下してたのですが、なんでしょうね、サンワさんってやる気があるんだかないんだかよくわからない感じで、そうは言っても実は結構長いことトラックボールを手掛けているので「可もなく、ちょっと不可」ぐらいの製品を作れる程度には力もあったのですが、KensingtonやLogiの定番を脇に置いて手を出すほどの魅力は正直無かったと思います。私はFORCEやMA-TB38なんかの珍しい型には手を出しましたけどね。
一方でELECOMの新作はちょっと違いました。あれこれ結構力入れて作ってるんじゃないの? という雰囲気が感じられたのです。初期型のM-XT1は改良されて現行機はM-XT2からの型番となりましたが、EX-G親指型はM570にこそ及ばないものの、今日では国産親指型として一定の地位を築いたと思いますし、ELECOMはEX-G親指型に留まること無く精力的に新作を発表し続け、その勢いで冬の時代を吹き飛ばすこととなります。
- 2015
DEFT
- 2017
HUGE
MX ERGO
- 2018
400-MA094
DEFT PRO
EX-G PRO
- 2019
PERIPRO-706
bitra
MA-BTTB130
- 2020
Pro Fit Ergo Vertical Wireless Trackball
400-MATB155
Orbit Fusion Wireless Trackball
ERGO M575 Wireless Trackball
M570(2010-2020)勇退
後継機ERGO M575が発表された翌11月、Logiの公式サイト製品群からM570が消えました。恐らくですがこのまま終売となるのでしょう。Logiさん人が悪くて後になってひょっこり復活なんてこともあるので「おそらく」ですが。
それにしても、あのM570にも終売の時が訪れるものなんですね。
MA-BTTB179BK
MUS-TRIF175
幸塚トラックボールの2020(令和2)年
構想半月弱、19年末から20年年始にかけて作ったのが「幸塚トラックボール」です。天地がひっくり返っても現行機種が100も200も増えることはないだろうということで、ページ単位でじっくり作り込む昔ながらのウェブサイトに回帰したいと思いながら制作。最初にファイルをアップしたのは1月14日でした。
開設早々コロナ禍に見舞われ世間には経験したことのない暗雲が垂れ込めましたが、それ以前からも気配はあったものの、テレワーク需要と給付金が最後のひと押しとなったのでしょう。禍福は糾える縄の如し。10年単位で見ても稀に見るレベルでトラックボールに光が当てられたように思います。
それでも前半こそ穏やかでしたが後半は怒涛の新作ラッシュとなり、年間で6機種も新顔が登場する狂い咲きの年となりました。こんな忙しいサイトになるはずじゃなかったのにとボヤきながらも、いちトラックボーラーとして僥倖に恵まれた年だったと思います。コロナ禍には早々にお引取りいただき、トラックボール界の勢いは継続する来年となることを願います。
開設から時間が経つにつれ多少は認知もして頂けたのか、応援して頂けるようにもなりました。改めまして世界中のトラックボーラー同士に御礼申し上げます。
もうここで燃え尽きて更新を終えたとしても、個人的には大満足の1年でしたが、2021年もトラックボーラーズにとって良い年でありますように。
- 2021
Pro Fit Ergo Vertical Wireless Trackball(White)
Pro Fit Ergo Vertical Wired Trackball(Black)
GameBall(Limited Edition)
Orbit Wireless Trackball with Scroll Ring
- ※2021年秋現在、銀黒は国内未発売
GameBall(Standard Edition)
MUS-TBIF182
幸塚トラックボールの2021(令和3)年
2020年に引き続いてコロナ禍中の年となった2021年ですが、巣篭もり需要がトラックボールの再発見、普及を多少なりと後押しした感は、相変わらずあります。喜んでいいんだか悪いんだか。ユーザーが増えるのはいいことですが、理由が理由だからなぁ。まぁもちろんコロナだけが理由ではありませんが、いつまで続くんでしょうねコロナ禍。最近は流通にも結構深刻な遅れ、ダメージも発生しています。一方でよくここまで持ち堪えたなと思うところもあり、いずれにせよ疫病が相手では仕方ありません。皆でもう一踏ん張り。そのテレワークの相棒にトラックボールはいかがですか、と。
前年の狂い咲きほどではないものの、ほどほどに新機種も誕生した2021年。中でもGameBallは出色の出来。歴史を変え得るトラックボールです。Trackball of the Yearは私の中で満場一致のGameBall。
個人的には、サイト開設時に課した1年間の年季が明けてTwitterを開始。古くからのトラックボール好きなら知らない人はいない伝説のサイトの管理人であり、幸塚トラックボールも完全な影響下にある「猫のトラックボールルーム」の三猫さんに存在を認識して頂きまして、本当に感無量でした。ひょっとしたら猫さんの復活を御存知ない方もいらっしゃるかもなのでリンク貼っておきます。今では普通に猫さん猫さんと呼ばせていただいていますが、2年前の自分に2年後そうなってるよと伝えたら、さぞかし驚くことでしょう。
ここに来て、Orbit with Scroll Ringにまさかの無線版登場という驚きもありました。コロナ禍の影響か入荷が大幅に遅れ随分とやきもきさせられましたが、実際に入手してみると、GameBallを追いやってメイン機の座を奪取するという妙な現象に遭遇。年間大賞を獲得するほどの機種を向こうに回してなぜそうなったのか。私がOrbit贔屓なのを差し引いても不思議な機種だと思う次第。
M575がマウスも含めた売り上げ集計で何度も1位を獲得するなど、息を吹き返した感のあるトラックボール界ですが、一方で着実に侵攻するタッチインターフェイスの影。個人的には「10年後はもう……」と感じてしまうところもあります。まぁ、そうなったらなったでサイト丸ごと遺跡になれればそれもまた本望か。灯滅せんとして光を増す、みたいなことかも知れませんけど、訪れてもいない未来を嘆いても仕方ありません。今は息を吹き返した感をしみじみ楽しもうと思います。
私自身もうそこそこの齢ですので、新しいインターフェイスに着いていけるのだろうかという一抹の不安もあり、できる限りトラックボールには頑張って欲しいと願うところです。とまれ、来年もトラックボーラー諸氏にとって良い年でありますように。
- 2022
nino
- Twitter上で新発売告知。ダイレクト限定ながら即購入可
- 到着
EM01
- 2022年1月末、米国Amazon。日本未発売
- 2023年5月末、日本Amazonにて日本国内発売
M501
- 2022年3月、米国Amazonで販売開始。日本未発売
400-MATB155 終売
- サンワダイレクトさんで終売が告知されました。密かに気に入っていた機種でしたが、販売期間およそ1年半の短期でカタログ落ち。いい機種だったんだけどなぁ。残念。
M1
- 2022年6月、日本Amazonで販売開始。かつてMT50の型番でJerryCombが販売していたものと同じトラックボール
VM06T
- 【左】HDM-06TWBK(HIDISC版)
- 【右】GRFD-MUS VM06T(GEO版)
- HIDISC版の発売日は不明ですが、公式Twitterで6月6日に情報が出されていた模様
EW-WL159s
- 2022年9月下旬、日本Amazonで販売開始
MT1DB
- 米Amazon、AliExpressにて7月ごろに販売されているのを確認。
GRAVI
- MA-TB181BK(有線版)
- MA-WTB182BK(独自無線版)
- MA-BTTB183BK(Bluetooth版)
- 10月上旬→11月下旬と順調に発売延期中
- 10月中旬、中国ではグローバルモデルが既に販売されている模様
- 10月28日、サンワダイレクトさんから発送。翌29日着
NOVA
- MA-TB184BK(有線版)
- MA-WTB185BK(独自無線版)
- MA-BTTB186BK(Bluetooth版)
- 10月上旬→11月下旬と順調に発売延期中
- 10月中旬、中国ではグローバルモデルが既に販売されている模様
- 10月28日、サンワダイレクト、メモリダイレクトさんそれぞれで発売
LUNA
- GMATB39(有線版)
- GMAWTB40(独自無線版)
- GMABTTB41(Bluetooth版)
- 10月中旬、中国ではグローバルモデルが既に販売されている模様
- 12月中旬、日本国内で発売開始
Digio2 Q 人差し指タイプ
- 2022年11月28日、ナカバヤシさん公式のプレスリリース
幸塚トラックボールの2022(令和4)年
振り返ってみれば新機種もたくさん登場して、トラックボール界だけを見れば実に賑やかな1年でしたが、外の世界に目を向けると、手を替え品を替え寄り添ってくる疫病との付き合い方も色々と難しく、2月にはウクライナ戦争も勃発して疫病に戦争と不幸ごとの大盤振る舞いがまったくもって有り難くない限りでございました。
22年中に実機が登場したものについては年表を確認頂くとして、個人的に感じたことは「内蔵バッテリー式が珍しくなくなった」ことと「静音スイッチが主流になりそう」の2点で、この流れは23年も恐らく継続するでしょう。
幸塚トラックボール的には、2020年の開設当初に立てた大まかな予定の最終段階としてYouTubeでの配信を開始。これによってサイト開設当初ぼんやりとですが描いていた先行きはある程度到達し終えて、ここから先は「どうなるかわからない」領域に突入します。個人的には大昔から、個人サイトの寿命は3年と見積もって来ました。その意味で当サイトは既に余生に入ったということです。来年どうなっているでしょうね。
昨年から始めた幸塚の極めて個人的なトラックボールオブザイヤーは、サンワサプライさんのGRAVI選出となりました。恐らく数多のトラックボールエクスプローラー難民を救ったであろう機種というだけでも十分選出に値しますが、その点を考慮しなくても大変よく出来た機種です。22年以降のスタンダードになるだけのポテンシャルも十分持っていると思います。
ただ。どうやら個体差が激しいんですよね。QCの問題ってやつっぽいんですが、これはどうもサンワさんだけの問題ではなく、中国に製造工場がある機種、つまりほぼ全ての機種が同様のリスクを孕んでいると想像しています。実際、22年夏以降に登場した機種は同種の問題を抱えているように見えます。少なくとも私が入手した機種(個体)と、身近なトラックボーラーに聞き取り調査した限りではそうでした。
その個体のばらつきさえなければ初心者さんにも安心して薦められる機種なのですが、ようやっと登場した待望の機種であったにも関わらず、そしてまた、問題のない個体であれば十二分に期待に応えた機種であったにも関わらず、世界情勢の混乱に陰を落とされたようで、なんともはや。製造や流通など、一刻も早く通常に戻ることを願いますが、世間(世界)はそんななまっちろい物言い、聞いちゃくれなさそうですね。
- 2023
SlimBlade Pro
- 2022年11月16日、Redditにて話題に上がっているのを確認
- 2022年11月25日、日本Amazonにて販売(予約)ページを発見。この時点での発売予定日は12月26日とのこと
- 2022年11月28日(米国時間)公式に情報公開
- 2022年12月中旬、米国では少数が流通している模様
- 2022年12月27日、日本では23年1月中旬に順次発送開始とKensington JapanのTwitterでアナウンス
- 2023年1月27日発売とAmazonでアナウンス
- 2023年1月28日着
Bluetooth® wireless & rechargeable
ergonomic mouse with trackball- おフランスで販売されているバーティカルマウス型トラックボール。仏Amazonほか、恐らくEU圏にて23年1月20日ごろ発売。
M505
- 2023年3月13日米国Amazonにて発売。GRAVIの発展型で、22年11月には存在が確認されていた機種。nulea社が販売。3月20日に発見、購入。3月29日着。6月には発光機能つきも発売予定とのこと。
EM03
- 2023年4月26日ごろ、米国Amazonにて取扱開始。上、M505と同じくGRAVI型で発光機能つき。ProtoArcが販売。現地時間4月27日に購入、5月6日午前着。この時点で既に技適にも登録されており日本でも発売される可能性大。
CT575
- 2023年6月5日ごろ、米国Amazonにて発見。PORLEIなるブランドから発売されたGRAVIベースの親指機。独自無線接続のみ対応。販売ページには36mmと記載されているが現物は40mm球とのこと。大球親指型の復権なるか。
CLINE(400-MAWBTTB190BK)
- 2023年6月7日、サンワダイレクトにて発売開始。「CLINE」はシリーズ名かな? 同型のマウスも存在する縦マウス型トラックボール。先に登場したおフランスのものと、恐らく元は同じ。出来はいいんですが、1stロットの呪いとでも言いましょうか、サンワさんやらかしました。7月半ば以降に出荷されたモデルは修正されているそうですが、やれやれ。
EM04
- 2023年6月末、日本Amazonにて発売開始
SB104
- 2023年9月7日ごろ、日本Amazonにて発見。この時ごく少数が販売された模様。基本は22年発売のnulea501型に発光ギミックが仕込まれたもの。この型のトラックボールとしては地味に日本初上陸
Pro Fit Ergo TB450 / TB550
- 2023年1月5日(現地時間)米国CES 2023にて発表。第2四半期発売予定とのこと
- 2023年7月26日 450、Amazonから到着
- 2023年7月26日 550、ヨドバシcomから到着
MBD5
- 2023年10月18日ごろ、日本Amazonにて発見。当初は紫と黒の2色、10月末には桃色が追加されて3色展開。紫を購入するが発送は12月頭予定とアナウンス
- 2023年11月16日 Amazonから到着
F-33
- 2023年11月8日、AliExpressにて発見。Zelotesブランドのゲーミング対応モデル
IST M-IT10xRxx(人工ルビー支持式)
- 2023年11月15日発表。支持球とベアリングローラーの支持方式が選べて、かつ支持部品が別パーツとなっており交換も可能という夢のような仕様で発表される。幸塚さん恐れ多くもエレコムさんから発表会へ招待を頂いており行きたかったのですが遠方のため調整がつかず残念無念
- 15日から順次各モデルが発売されて行き、12月6日、ベアリングモデルの発売で全モデルが出揃う筈でしたが、発売直前でベアリング支持部品の再設計へと踏み切り発売延期
EM04(有線版)
- 2023年12月7日未明、日本Amazonにて発見。発見時には翌24年1月末発送予定とのこと。先に発売されているデュアル無線版EM04の有線版
- 一部12月中に届いたユーザーも居る模様
M511
- 2023年12月30日、米国Amazonにて発見。かつてサンワダイレクトで400-MA094として販売されていた左右対称型
幸塚トラックボールの2023(令和5)年
年明け早々にKensington社新型発表で幕を開けた2023年。今年も末に到達してみれば色々な機種が登場した年ではありましたが、傾向としては前年の総括で述べた通り、内蔵充電式、静音ボタン搭載というトレンドが相応に継続していたように思います。同型機が別経路から登場というケースも散見され、大陸勢の躍進に伴って益々競争激化する親指型に対し、本年は完全新型のフィンガー型は登場せず、21年、22年に比べると少し落ち着いた年だったように感じられました。
幸塚トラックボール的には、ショップさんやメーカーさんから新機種を提供して頂く機会に恵まれるようになり、トラックボールいいですよいかがですか活動家として飛躍の年だったように思います。お世話になった関係各位、また、サイトやYouTubeチャンネルをご愛顧頂いた皆様にも深くお礼申し上げます。来年もトラックボールとともに楽しいポインティングデバイス生活を!
21年から始めた幸塚の極めて個人的なトラックボールオブザイヤー、今年は初の「無」つまり選出なしとなりました。冒頭でも述べた通り今年は少し落ち着いた年で、数こそ相応に登場したものの、目を見張るような新型の登場はなく、なんだかんだでトラックボール史的にインパクトがあった機種を選んでいる気がする個人的オブザイヤーに該当する機種はない、という結論です。残念無念。
裏話みたいなものとして、実はエレコムさんからサンプルをご提供頂いていたISTのローラーベアリングモデルを試した結果がとても良好で「今年の機種」として内定していました。が、直前でローラーベアリングモデルのみが発売延期となってしまい、ローラーベアリングモデルが発売されないのなら他に該当する機種はないなと。
さすがに発売されていないモデルを選出するような真似は出来ませんで、ええ。ただ、私が試しているサンプルモデルはとても具合が良いので、24年に恐らく登場するでしょう、完全体のISTローラーベアリングモデルには本当に期待していますし、ローラーベアリング支持式親指型というインパクトを思えば、年を跨いで来年を代表する機種になれるかも知れません。
IST以外ではCT575がなかなか個性的で良い感じだったんですが、国内での正式な発売がなく、年を代表する機種とするにはあと一歩及ばず。ボディ形状がフィンガー型のGRAVI'sと共用で、親指型とフィンガー型で共通した手乗せ感を持っている、これまでにないユニークな、具合良い機種だったんですけども。
ともあれ、こうして複数機種を並べてあーでもないこーでもないと贅沢なことが出来るようになったのは本当に喜ぶべきことです。一方でコロナ禍以降混沌とする世界情勢下、呑気に球転がす生活がいつまで続けられるかはまったくわかりませんが、今日の快適なトラックボール生活に感謝を捧げつつ、来年も未知なるトラックボールとの出会いを、大いに期待したいと思います。
- 2024
Wired Trackball Mouse TB01
- 2024年1月、米Amazonに登場。登場初期は記載情報が誤記だらけで実態が解らずでしたがどうやら55mmの大球を搭載した伝統的左右対称型のようです。
EM05
- 2024年1月、日本Amazonにページが出現。出荷は3月予定とのこと。23年春頃にプロトタイプが技適を通過していた機種で、その時は真っ黒ボディだったように記憶していますが完成型は銀色だったようです。バーティカル型っぽいですね。
- 2024年3月5日、ProtoArc JPさんのTwitter(X)アカウントから正式に発売開始のアナウンス
M508
- 2月4日、米国Amazonにて発見。かつてサンワサプライの直版サンワダイレクトで日本国内販売されていた400-MATB155と同一モデル。大元は台湾のメーカーiOneのLYNX-W12BTG。サンワ版から装いも新たに北米で再デビュー
F-33
- 3月初旬、日本Amazonにて発見。昨年Zelotesブランドから発売されていたF-33の日本版。日本ではECHTPowerブランドが取り扱う模様で、Aliで販売されてた大陸版とは印刷されているロゴが違います。大陸の流儀がよく判らないので恐らくですが
IST M-IT11xRxx(ベアリング支持式)
- 当初は前年12月に発売がアナウンスされていたベアリング支持式ISTは予定当日に延期され、年を越して年度も変わる直前の3月末に滑り込みで発売に漕ぎ着けました。ベアリング支持式の親指型、すげー良いです
Q(親指型)2024モデル
- Amazonに6月20日ページ掲載で、7月1日発売開始とのこと。恐らくですがBluetoothがアップデートされているでしょう。
- 最盛期はかなりの数を誇ったカラーバリエーションもだいぶ落ち着いていたQですが、2024モデルではアースカラー風味のグレージュとブルーが追加されて再び多色展開に。
MX ERGO S
- 8月28日発表、9月24日発売開始予定。同年2月に米国FCCで登録が観測されていたWireless Trackballの正体はこちらでした。
- USB Type-C充電、LogiBolt接続対応、静音スイッチを搭載した、オリジナルのMX ERGO発売から7年目のアップデート版
M575SP
- 8月28日発表、9月19日発売開始予定。
- LogiBolt接続対応、静音スイッチを搭載したM575のアップデート版。新色というか新しい組み合わせの黒ボディ灰球モデルも追加されています
EM05NL
- 9月7日発売開始
- 3月に発売された無印EM05の非発光&改修版。センサー位置が改修されており挙動が素直になったことで、元々持っていた製品そのものの品質の高さと相乗効果を発揮して同社製品最高の出来と呼んで差し支えないかも知れません
SlimBlade Pro EQ
- 11月8日発表、11月14日発売
- 遂に登場するKensington大球トラックボールの白モデル