• nino

    SANWA SUPPLY
    MA-WTB180WMA-WTB180BK400-MA-BTTB181W400-MABTTB181BK
    型番
    400-MAWTB180W
    400-MAWTB180BK
    400-MABTTB181W
    400-MABTTB181BK
    操作球径
    32㎜
    ボタン数
    5
    接続方式
    USB(TYPE-A)独自無線
    USB(TYPE-A)有線接続
    Bluetooth5.0
    Bluetooth5.0
    電源
    単4電池×1
    読取精度(cpi)
    400
    800
    1,200
    1,600
    保証期間
    1年

地道にラインナップを拡充し続けて幾星霜のサンワさん。「初心者や手の小さい人にも使いやすくあれ」と、決して簡単ではない使命を与えて、小型親指トラックボールninoを送り込んできました。

外観を確認したい方は上の幸塚名物全周動画でぐるっと全体をどうぞ。なかなか質感いいですよ。あとの動画は、ninoを使ってGetting Over It with Bennett Foddyをプレイしている様子を撮影したもので、ゲームを遊びながら本機についてグダグダと喋っているのが他でもない私です。大変お聞き苦しい内容で恐縮ですが興味のある方はどうぞ。加えてチャンネル登録や高評価等頂けると幸塚感激します。

いそがしい現代人向けの

nino 幸塚寸評

ninoは、大雑把に言うと親指型の小さいトラックボールです。5ボタンのうち4つは静音ボタン。特にモバイルと銘打たれているわけではありませんが、小型ですので持ち運びも容易でしょう。製品には布製の簡易なものですがポーチ(巾着袋)も含まれています。

ninoと付属の巾着袋

接続方式がUSBドングル型の独自無線式とBluetooth5.0の2種に、それぞれカラーバリエーションが白と黒の2種。私は黒のBluetooth版を購入しましたので、掲載写真は基本的に黒版のものになります。

USBドングル型の独自無線はTYPE-A端子接続の極々平凡なもの。対してBluetooth版は5.0で3チャンネルのマルチペアリング対応です。その分500円ほどお高いですが、ドングルを挿す必要がないのでUSBポートの空きが少ない、あるいはそもそもUSB Type-Aポートがない端末に繋ぐ場合はBluetooth版をどうぞ。

nino、左斜め後方から撮影

製品写真を眺めて最初に目を引くのが操作球下部に設けられたボタン。標準では戻る/進む機能が割り当てられています。余程のことがない限り親指で制御するボタンなので、ポイント操作(操作球制御)との排他利用になりますが、機能割り当てに工夫のし甲斐を感じるボタンです。本体を動かさないトラックボールですので、暴発の心配もほとんどありません。

32㎜操作球

ninoの操作球は珍しい32㎜径で、一般的な34㎜球からすると微妙に小さい。球径が小さいことは当然機種全体の小型化にも貢献しているでしょうが、操作感覚は良好で正直34㎜球との差は私にはわかりません。とてもいい球だと思います。

左右戻進クリック静音

左右クリックと戻る進むボタンは静音型、センタークリックのみ音がするボタンです。左右クリックは若干「ぐにゃっ」とした押し心地で、感覚的にはもう少し押し込めるはずのところが途中までしか受け付けてくれないような感じなので、スイッチの感触を気にする方は要注意。その代わりと言ってはなんですが、音の発生は相当に抑えられています。従来の静音型よりもう少し静かな印象。

マウスっぽい?

公式サイト曰く「初めての方にも使いやすいマウスに近い形状」とのこと。実際、かなりマウスに近い形状をしているので、マウスから移行する方に最初の違和感を軽減する効果はあると思います。まったく違う形状のものを扱うことで頭の中のスイッチを明確に切り替えたい人も居ると思うので、マウスに近い形をしていることが最善かはわかりませんが、私個人的にはかなり気に入っています。

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nino 幸塚針小棒大評

突然のデビュー、久々のペットネーム

のほほんとしていたド平日、1月26日の夕刻前、サンワさんのTwitterに突然紹介されたnino。まっっっっったく想像だにしていなかった新機種の登場に驚きながらサイトを見に行くと既に購入可能な状態となっており、なにがなんだかよくわからないまま勘定を済ませておりました。このスピード感よ。サンワダイレクトのみのweb限定商品だそうですが、正式に御本家で扱うにはちょっと挑みすぎている製品を、とりあえず直販限定で扱ってみる、みたいなことも可能になったのかも知れません。

当日の幸塚のツイート

本機はペットネーム「nino」と名付けられています。ニノと読むそうです。サンワさんのトラックボールでは久しぶりの名前つき。FORCE以来ぐらいじゃないかな。昨年末にナカバヤシさんの180系が発売された際、もう型番だけじゃ覚えられないからペットネームつけて欲しいと愚痴を溢していたのですが、偶然か必然かともかく良かった。これ、ペットネームがなかったらアルファベットと数字で構成された型番、色や接続方式で微妙に変化する4種類ぐらいを使い分けないといけないところですよ。可愛らしい名前がついて本当に良かった。

ただ不思議なことにサンワダイレクトさん、製品ページで積極的にこのペットネームを使っていないんですよね。なんでやろ。まぁ、色々あるんでしょう。細かいこと気にしてもしゃーない。

32㎜操作球

左:ninoの32㎜球、右:M575の34㎜球
左:ninoの32㎜球、右:M575の34㎜球

最初にも触れましたがninoの操作球は32㎜。2022年現在トラックボール界で最も普及している34㎜操作球から2㎜小さくなっていますが、操作感覚に大差はなく、転がした感触そのものも良好です。

そもそも34㎜操作球はロジのトラックマン一族が採用し続けたことで事実上の標準になったサイズだと思いますが、トラックボールの御霊である操作球。ここの大きさが固定である限り極端な個性というか差異も出にくいのか、34㎜操作球搭載の親指型はKensington社のProFitを除いて正直どれも微差、似たような大きさに似たような操作感覚から外れていなかったと思います。

そこを思い切って32㎜球を積んできたところはなかなか凄い。親指型の場合、私が知る限りは34㎜と38㎜と40㎜しかありませんでした。ここにバリエーションが出てくると色々感覚の違う機種も出てくるだろうと思いますので、その端緒としてninoの32㎜球はそれだけでも評価して良いサイズではないかと思います。

ninoとOrbitWirelessMobile
現行機で32㎜球を採用しているのは
nino(左)とOrbit Wireless Mobile(右)ぐらい

ninoの32㎜球ですが、裏面の取り出し孔が小さくて困……と思いきや、表面から直接操作球を摘んで簡単に取り外せます。メンテ時も簡単で助かる。

nino バリエーション

独自無線版とBluetooth版の2種類と、それぞれ黒と白のカラーバリエーションがあります。白版の方が可愛いと思いますが、公式に掲載されている写真を見る限り恐らく白版は若干艶のある外装だと思います。私は艶が抑えられている方が好きなので黒版を購入しました。

この白艶あり黒艶消しという構成はナカバヤシさんのQも同じでしたので、恐らく製造もQと同じくAresonさんなのではないかと思います。単なるカラーバリエーションでなく若干外装の質感にも違いがあるということ、気になる方はご注意ください。

nino、底面
nino、黒BT版の裏面。電源は単4一本、中央に電源スイッチ、写真下部はペアリング用スイッチと接続先切替スイッチ。

独自無線は2.4GHz、USB-TypeAのドングルで接続するもの、Bluetoothは5で、最大3つの接続先が選べます。接続先切替は本体底面のスイッチで行います。ここはちょっと惜しいと思うところでもありますが、表面にあれこれスイッチ並べるのも面倒っちゃ面倒ですからね。まぁ仕方ありません。

実機試用

nino、箱に載せて撮影

ということで26日発表、同日購入、翌27日サンワダイレクト発、地方在住の幸塚宅には29日朝届きました。週刊少年ジャンプを数日遅れで読むのが当たり前の人生でしたから、この辺は慣れたものです。まずは名物回転動画を撮影してから試用開始。

nino(左)と400-MATB155、箱に載せて撮影

箱から出した印象は……というか、箱がもう小さいです。サンワダイレクトさん限定商品は、店頭に並べる必要がないためかとても簡素な箱なのですが、もう悪目立ち合戦の外箱はお腹いっぱいなので私はこの箱が大好きです。以前購入した同じくダイレクト限定のMATB155も同じ箱でした。大きさは別物のように違いますが。

左nino、右M557、真上から撮影
右はロジさんのマウスM557

実機はですね。小さいですねぇ。bitraも同じぐらい小さかったですから、トラックボール界に前例がないとは申しませんが、公式ページでも謳われている通りマウスに近い形をしているおかげもあってか、bitra2機種と比べるより小型のマウスと比べた方が雰囲気が伝わりやすいような気もします。

nino、手を置いた様子

手を置くと……と言うか、掌がべたーっと触れる感じではなく、指先で支える、という感じでしょうか。モバイルマウスなどを持つ時と似たような感覚です。俗に言うところの「つまみ/つかみ持ち」のような感じ。もちろんこの辺は各人の感覚が作用して人それぞれになると思いますが、例えば私の場合、掌をがばっと機器本体の背中にかぶせると、指先が本体からはみ出します。私の手は成人男性平均より少し小さめですが、それでもこんな調子ですので、人差し指を左クリック、中指を右クリックボタンの一番具合のいいところに当てた状態で保持すると、掌は本体に触れることなく浮いた状態になります。

まとめ

nino、正面から

ninoは、サンワさん曰く「初心者や手の小さい人にも優しい」そうで、実際その条件を満たしている私が試用してみた限りでも、確かにそんな気はします。また、公式サイトではつかみ持ちの人かぶせ持ちの人、それぞれが試用して、どちらの型の人も違和感なく使えたと言及されています。

とはいえ、実際に使いこなせるかどうかは、その人とトラックボールとの間の問題で、どんな機種でも合う人も居れば合わない人も居る。ただ、トラックボールで生まれて初めてポインティングデバイスを使った、なんて人は決して多くはないでしょうから、大多数がそうであろう「マウスから乗り換えて来る人」の場合、マウスの形や握った感覚をある程度模して造られているninoは、最初のとっかかりとしてかなり親切設計だろうと思いますし、ある程度実効性もあるのではないかと感じました。

トラックボールとしての一般的な性能も十分に満たしているので、購入前に気にした方が良い点はひとつ、ボタンの感触でしょうか。「俺はマイクロスイッチのしっかりした感触が好きなんだよ」という人は手を出さない方が無難だと思います。一方で「とにかく静かなのが欲しいんだよ!」という人は、感触を「……げる」した代わりに高静音性ボタンを入手した機種だと考えて頂ければと思います。

小型の親指型トラックボールが欲しいと考えている方には、bitra親指型か本機ninoが候補に挙がると思います。どちらも静音型ですが、静音性能と操作球を滑らせた際の感触はninoの方が良好。ただし静音型でもスイッチが底付きした「コクっ」という感触がちゃんとあるのはbitra、という感じでしょうかね。

nino

サンワダイレクト限定で販売されたninoちゃん。静音、小型機種はコロナ禍中に重要が伸びたようで一時期はお仲間も増え一大勢力化する気配もありましたがが、社会が一定の落ち着きを取り戻すにつれ忘れ去られ、ninoちゃんも実働1年半と短い活動期間を終えました。それはそれでパンデミックに脅かされずに済む社会が戻って来つつあるのだと思えば慰みにもなりますが、あのコロナが最後のパンデミックとは思えませんし。

とまれ、故球生前の功績を偲び、ここに謹んで哀悼の意を表します。

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