静音トラックボール特集

Silent Trackballs
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近年人気の静音型ポインティングデバイス。トラックボールもその御多分に漏れず、静音ボタンを搭載した機種もぼちぼち揃って来ました。このページでは22年12月現在、入手可能な静音型トラックボールを特集しています。

静音型トラックボールの代表4機種

静音型トラックボール(マウス)は最初にモバイル用途で発生したようなところがあります。静かな場所、例えば図書館などへ持ち込んで使用する際にカチカチ鳴ると困る。そんな要求が出発点だったのかも知れませんね。それが深夜の屋内でとか、在宅勤務でカチカチ鳴らしたくないとかそういう需要も掘り起こしたような感じなのでしょうか。スマホの普及でタップ(クリック)にいちいち音が鳴るのはやかましい、という向きもあるのかも知れません。

で、どう選べばいいの?

ご新規さん

そもそもトラックボールが初めてで、購入条件として静音型が欲しいという場合、現在使用しているマウスの持ち方だとか大きさだとかそれに対する自分の感覚だとかいろんな要素を挙げた上であーでもないこーでもないと検討しようと思えばいくらでも出来ますが、そうして行ったり来たりすることが楽しい人も居れば苦痛な人も居ます。楽しく悩みたいという方は、各機種個別のレビューもやってますので併せてご参照下さい。

そういう面倒臭いのはいいよという方は、もう見た目の好き嫌いで選んでいいと思います。ここに挙げている機種は、基本的にどれもいい機種です。


ご贔屓さん

既にトラックボールを使用されている(使用した経験がある)上で静音型が欲しいと思い、乗り換えを検討されているのであれば、現在ご使用のトラックボールの型に近いものを選んだ方が無難ではないでしょうか。相性問題はデリケートなので絶対の正解はありませんが、感覚的には自分が「これなら行けそうだ」と思えるかどうかが重要な気はします。

もちろんもっと色々とチャレンジしてみるのも楽しいというか、その快楽に浸った成れの果てが作ったページがここなんですが。でもそういう人はうちのサイトなんかには流れ着いてこないよなぁ多分。

ただ、冒頭で述べた通り静音型には小型なトラックボールが多いです。実際に慣れてしまえば大型小型を問わずある程度自由に乗りこなせるものですが、自分が据え置きで使うつもりであれば大きめのものを、モバイルも考えているのであれば小さめのものを「気持ち優先的に」検討した方が絞りやすいかも知れません。

以上のようなことを大まかに念頭に置いたうえで、以下の機種紹介を参照下さい。

完全無欠の静音機

Digio2 Q
MUS-TBLF134P 斜め上から

トラックボール界で静音型といってまず名前が挙がるのは、ナカバヤシさんDigio2ブランドの「Q」でしょう。発売は2016年。トラックボール界でも恐らくは最初に静音機能を盛り込んだ機種ですが、元祖にして究極とでも申しましょうか。採用されたスイッチは全て静音型、のみならず、スクロールホイールもノッチのないスルスル型で、ホイール回転にまで及ぶ徹底した静音仕様。「クリック音だけでなくホイールを回す音も嫌!」という方にはもうQ以外に選択肢はありませんし、Qですらうるさいと感じるようなら聴力をOFFにするか、病院に行った方がいいまであります。

加えてトラックボールはマウスと違い本体を動かしませんから、聴きようによっては衣ずれのエロスティックサウンドにも思えるマウスパッド上の滑走音もしない。出てくるのは操作球を回す「スリスリスリ」という微かな音と、静音ボタンクリック時の「コトっ」という音だけ。トラックボールだけではなくマウスを含めてもトップクラスの静音性ではないかと思います。騒音に厳しい司書のおねえさんもQが相手ならニッコリ。

Q、大きさの参考に単三電池と比較
本体サイズの想像用に単3電池と並べていますが、Qの動力源は単4電池ですのでお間違えのないよう。昔ならタバコの箱だったけど今はなかなかいいサンプルを思いつかなくてねぇ

トラックボールとしては、本体形状に個性がある機種です。というのも掌全体が機種の背中に乗らないという一風変わった形で、その分小型なのでモバイル用途も余裕でこなしますが、普段、マウスの背中にべったりと掌を預けて操作するのが普通だと考えている方だと、その考え方、感じ方を多少変える必要はあるかも知れません。触ってりゃ慣れる程度だとは思いますけどね。

Qと他4機種

私個人的には大変気に入っている機種なので、静音云々は抜きでも割と推すことの多い機種ではあります。カラーバリエーションも接続方式も豊富に揃っているので、色々と自分好みの装いを選べるのも利点。ただし、生産終了して流通在庫のみの色(機種)もありますので、それらを購入しようと思っても物が無かったり、あっても高くつく可能性がありますので、そのへんご注意ください。Qの販売終了した機種がどれなのかといった話は正直私自身も把握出来ていませんので、いきなり探そうとしても混乱すると思います。わかんなけりゃページ下に据え付けてるメールかTwitterで訊いてくれれば、出来る限りのことはしますよ。

ジェネリック親指型その1

EW-WL159S
159S 斜め上から

22年秋ごろAmazonにそっと並んでいた中国は広東省深圳発のブランドEwinさんの、極めて一般的な外見をした5ボタントラックボール。業界を代表する機種M575に外見はよく似ていますが、中身は今時のデバイス。独自無線接続に加えてBluetoothのマルチ接続にも対応。大陸製としては珍しく乾電池駆動。そしてこのページで取り上げた理由としてメインの左右クリックと進む戻るに静音スイッチが採用されています。

また操球感も良く、そこだけ見れば本家を上回る滑らかさを誇り、それでいて価格もお手頃と、ジェネリック球としては文句のつけようがない完成度。静音型としての実力も高いので、予算が限られている中でマルチペアリング対応で静音タイプの親指型が欲しい! という方にはお薦めの機種です。普段はギリギリ3千円台後半で販売されていますがタイムセールなどで3千円台前半まで下がることがあり、そこが狙い目でしょう。

159S 真上から撮影、単三電池と比較
本体サイズの想像用に単3電池と並べています。実際に駆動に使用する電池も単3型です。コストダウンのためか製品に単3電池は付属していないので別途ご準備ください

質感等も価格の割に決して悪くはありません。もちろん高級感はありませんし細かく見れば安っちいところもありますが、この価格ですからね。贅沢言っちゃいけません。それよりも、削れるところは限界まで削り、削ってはいけないところは残す方向でまとめた機種と見るべきで、本当に取捨選択のバランス感覚に優れた機種です。M570(現行機M575のひとつまえ)から移ってくるのであれば、このスペックでも十分です。

EW-WL159S

赤球

159S(赤球)上から

紫球

159S(紫球)上から

黒球

159S(黒球)上から

ジェネリック親指型その2

EM04
EM04 斜め前方から

近年のトラックボール界注目のブランド、オレンジのワンポイントが目印ProtoArcさんの5ボタン+上下ホイール式の標準的親指型機、EM04。こちらも近年のポインティングデバイスらしく、独自無線ドングルとBluetooth2チャンネルの計3つまで接続先が選べるモデル。もちろん左右クリックは静音仕様です。他のスイッチは音しますのでその点はご留意ください。

上の写真にUSB Type-Cポートが写っていますが、こちらEM04は内蔵充電駆動。先に紹介した159Sが電池式ですので、この両者で悩んだ場合は駆動形式の違いで選んでも良いかも知れません。どちらも価格以上の完成度はあると思います。

159S 真上から撮影、単三電池と比較
本体サイズの想像用に単3電池と並べていますがEM04は内蔵充電式バッテリ駆動です。充電は必要ですがちゃんとType-Cポートですのでその辺は安心

全体のシルエットも一見するとM575ですが、細々違うところもあって、裏面から見ても判りますが薬指付近に段差が設けられています。結果、本体右側は綺麗な半月状になっていません。

本体を裏返すと電源スイッチと、接続先切替スイッチ&インジケータ、そしてこれがちょっと可愛いんですが、独自無線接続用のドングルを収納する専用の小部屋が設けてあります。一般的には単にドングルが入る大きさの穴に差し込み収納で、電池式のモデルであればドングル収容穴を電池室と兼ねることで不意の脱落紛失を防止していますが、EM04は内蔵充電式ですのでその手は使えない。そこでどうしたか。EM04はわざわざ専用の蓋付き小部屋を完備。収納時に中でドングルが暴れて音がしないようにクッションまで貼ってあるという贅沢仕様。コスト削減を大命題に掲げたような機種だと思うんですが、こういうとこは拘ってありますね。

EM04 底面にあるドングル部屋 EM04 底面

外装は普通のプラですが半端にテカらせるようなこともなく、極々普通に仕上げてあります。価格相応からもうちょい上ぐらいの質感はあると感じます。EM04も実売価格がかなり安いので、それを考えれば十二分以上の出来でしょう。これまでの例で最安時には「ここだけ2000年に時間戻ったのかな?」みたいな価格で出たこともあります。低価格帯でも必要なところは手を抜かずに作ってある感覚が先に紹介したEwinさんの159Sと似た雰囲気を感じて、この両者は良いライバル関係だと思います。

EM04

EM04さんも初登場以後順調に球色バリエーションが増え、ついには有線版まで登場しました。有線接続方式の根強い支持者も居られると思いますが近年は決して多くありませんしそもそも本家のLogiが有線なにそれ状態ですから、有線式をお求めの方にとっても福音となるのでは。ただでさえ価格安いモデルの有線式いいですねぇ。

EM04(黒球)
EM04黒 製品写真
Amazon
EM04(青球)
EM04黒 製品写真
Amazon
EM04(紫球)
EM04黒 製品写真
Amazon
EM04(有線版)
EM04黒 製品写真
Amazon

フィンガー型静音機の筆頭

GRAVI国内版
GRAVI 斜め上から

22年晩秋にデビューしたGRAVIさんは色々な意味で注目された機種でしたが、静音性能も相当なものです。従来の静音型は音を抑える代償か、クリック感、感触も控えめで、その点がどうにもお気に召さない人も少なからず存在しましたが、GRAVIのスイッチは静音な上に感触も良く、従来型の弱点を補って余りある出来。

特に国内版は若干価格がお高いものの、直販版と比べてホイール部の静音性能にだいぶ差があります。国内版GRAVIのホイールは軽い力で回転し、ノッチの感触も弱めながらちゃんと存在しているのに、先に登場したスルスルホイールのQとも五分張る勢いで静かで、あらこりゃ凄いですねという感じ。

Q、大きさの参考に単三電池と比較
本体サイズの想像用に単3電池と並べていますが、GRAVIの動力源は単4電池ですのでお間違えのないよう。他の機種と比べると大きい据え置き型のトラックボールですが、いいですよGRAVI。全体的に小型なものが多い本ページの中でしっかり手を載せられる大きさで、静音型をメインで使用したい方には本当におすすめ

国内版と比較すると……ですが、直販版もホイールを回した際のジリジリ音さえ許容できればボタン部の静音性能は国内版と変わりませんので、モデル全体で基本的には静かな機種と見て良いと思います。参考に動画出してますのでご参照ください。

GRAVIはモデル数が多く悩みどころも同じ数だけありますが、静音トラックボールとして考えるなら、お薦めは国内有線版の181、国内無線版の182。それからちょっと後退して国内BT版の183。直販版はホイールの動作音が結構はっきりしているので国内版で条件が合わない場合にご検討ください。

このページに掲載している静音型トラックボールは、モバイル型も兼ねているような小柄な機種が多い中、GRAVIは立派な据え置き型です。つって私は必要なら持ち歩きますけど、据え置き型のメイン機としてバリバリ使用するのに向いたトラックボールでもあると思いますので、その点でもお薦めです。静音型に限定せず、23年1月時点で私が一番推している新型トラックボールでもありますので、よろしくどうぞ。ただ、たまに初期不良品も混じっている可能性があるので、球の回転がおかしいと思った時はサンワさんに連絡して交換してもらって下さい。これはGRAVIに限らず全部そうですけどもね。

ここは静音トラックボールの特集ページですからその意味では国内版がホイールの動作音も含め全機種でもトップクラスです。私のオススメ順は181、182。183(BT版)は消費電力にちょっと難がありそうなので、購入を検討される方はそこは覚悟の上でどうぞ。
静音性を考慮しなければ価格と機能面で有利な直販版を推したいところですが、直販版もボタンは国内版と同等ですから、ホイールの動作音に目を瞑れるなら直販版も静かな部類ですよ。

ホイールはちょっと音がする直販版

伝統的親指型+静音ボタン

MA-BTTB130BKシリーズ

サンワサプライ社のMA-BTTB130BK。最初に紹介したナカバヤシさんのQからすると随分と地味な出で立ちですし、ボタンもシンプルなことに3ボタンですが、この3ボタンはすべて静音型です。

ホイールだけはノッチの感触が割とハッキリしているタイプですので、どうしても「カタカタ」という感触は伝わって来ますが、静音型を求める方は主にマイクロスイッチの「カチッ」という音を嫌うのでしょうから、それからすれば別種の感触。音ではなくあくまで感触です。微妙にカタカタという音も出ているのかなという気はしますが、これはQを除くすべての静音型トラックボールに共通した仕様です。

ホイールすらスルスル型でほぼ完全な静音仕様のQと比較するとこの点わずかに劣りますが、基本的には静かで黙々と仕事をこなす出来るやつという印象。いつもクールな司書のおねえさんも珍しく微笑を向けてくれることでしょう。勘違いするなよ。その微笑はあくまでMA-BTTB130の静音性に対して向けられたものだ。

MA-BTTB130、大きさの参考に単三電池と比較
本体サイズの想像用に単3電池と並べていますが、MA-BTTB130の動力源は単4電池ですのでお間違えのないよう。Qと比べると大きいですが、トラックボール全体でいうと標準〜少し小型の部類だとは思います

私、こちらMA-BTTB130もかなりお気に入りの機種でして、私自身、静音性で評価に加点することはありませんが、それ以外の点、手の置き心地や全体的な造りの良さなどを高評価している機種です。

MA-BTTB130BKと他4機種

親指型トラックボールとしても基本に忠実な形と性能ですので、M570やM575等、親指型の鉄板機を使用している状況から静音ボタンを求めての乗り換えを検討されている方や、Qの若干特徴的な本体形状に馴染めるか不安がある方にはこちらをお薦めします。ただし3ボタン式であることはお忘れなく。本体色は選べませんが接続方式は有線/独自無線/Bluetoothと主要な接続方式が揃っていますので、ご入用のものをどうぞ。

親指型モバイル機+静音ボタン

bitra親指操作タイプ
販売終了

エレコム社のbitra(親指操作タイプ)。最初に紹介したDigio2Qより更にモバイル向けというか、全長方向こそbitraのほうが若干大きいですが幅が狭いので全体としては一回り以上小型な印象の機種です。当のエレコムさんもモバイル用として販売しており、製品に専用ケースまで付属してくるという状態ですので、確かにモバイル用途が一番活きるだろうと思いますが、据え置きで使っても決して悪くはないです。まぁ、それってマウスでもそうですよね。よく出来たモバイル機は据え置きでも使える。そういうもんだと思います。

搭載している操作球も25mmとかなり小さいのですが、私は結構普通に使えているというか、操作感覚は割とお気に入りです。ただし、私はそもそも親指型が不得意な人間なので、球の大小で操作感覚の良し悪しを語るほど感覚が発達しておらず、そのいい加減な感覚の上で「気に入っている」ので、感覚が鋭い人がどう感じるのかまでは、なんとも。まぁそれはこの機種に限った話ではなく総てそうですけどね。

bitra親指型、大きさの参考に単三電池と比較
本体サイズの想像用に単3電池と並べていますが、bitraの動力源は単4電池ですのでお間違えのないよう。じゃ最初から単4と比較しろと言われそうだけど、それはそれで悩むとこなのよ。一般的な電池のイメージって単3でしょやっぱし。「乾電池を手にとって想像して下さい」って時に、単3と単4どっちが手元にありそうかって考えたら。
bitra親指型、純正ケースに収納
bitra親指操作タイプ、付属の専用ケースに収納したところ。外装はマット処理されたセミハードケースでなんかちょっと贅沢な感じです。私は持ち運び用途では使いませんが収納時には重宝しています。

ボタンもホイールのノッチ(カタカタ)感以外は静音仕様という、トラックボール界の静音基準では一般的なもの。ホイールには弱めですがノッチ感があり、早く回すとゴロロロロという感触が指に伝わって来ますが、音が出ているかまでは……私はまったく気にならないですけど。

bitra親指型と他4機種

こんなに小さいのに5ボタン搭載していますし、それぞれのボタンも結構押しやすいです。小さいんですけどいい機種ですよ。繰り返しになりますが、モバイルに限らず据え置きの状態でも意外と行けますので「モバイルする」「据え置きでも使いたい」「ボタンは最低でも5欲しい」等々、要求する条件がある程度ハッキリしている方は、割と守備範囲の広いこの機種、ご自分の要求と照らしてご検討下さい。

bitra(親指指操作タイプ)Bluetooth版

bitra親指操作タイプ 上から

bitra(親指指操作タイプ)2.4GHz無線版

bitra親指操作タイプ 上から

小型静音ながら大型機を相手に回しても一歩も引かない使い勝手を実現した、小型トラックボール界の奇跡、bitraシリーズでしたが、23年に販売終了となってしまいました。不幸中の幸い日本のメーカーエレコムさんのトラックボールですので、細々と流通在庫が残っていることもあるかも知れません。その際は是非救出してあげてください。

んでさ、エレコムさん、bitraの終了はもう一度考え直そ? 世界展開考えているなら尚のこと、他国のメーカーはまず造らないこういう小型機種を武器にした方がいいって。なんぼ勢いがあるったって、大陸も基本的には「大人」が好きなお国柄だからね。

フィンガーモバイル型の傑作静音機

bitra人差し指操作タイプ
販売終了

エレコム社のbitra(人差し指操作タイプ)。エレコム社がこれまで生み出してきた、DEFTを祖とするフィンガー型トラックボールを小型化する方向で煮詰めてひとつの頂点に達した、山椒は小粒でもぴりりと辛いを地で行くような機種です。

bitra人差し指型、大きさの参考に単三電池と比較
本体サイズの想像用に単3電池と並べていますが、bitraの動力源は単4電池ですのでお間違えのないよう。人差し指操作タイプは特に小型なんですが、それでいて操作性は悪くないですからねぇ。いい機種です本当に。
bitra人差し指型、純正ケースに収まる
bitra人差し指操作タイプ、付属の専用ケースに収納したところ。マット処理されたセミハードケースは親指操作タイプと同じ外見。34mmの赤い操作球がいいですね。なんか高級なものに見えなくもありません。

先に紹介した親指操作タイプと共通で、緩めのノッチ感触があるホイールの回転以外はすべて静音ボタン。本体はモバイル機ですし小さいですが、本体比で考えるとかなり巨大な操作球を積んでいるので、気分的には大球と呼んでもいいのではと思うほど。こちらも、据え付けて使用しても問題ない使用感があると思います。

bitra人差し指型と他4機種

静音ボタンが欲しいフィンガー派は他に選択肢ありませんので、こちらをどうぞ。本体が小型なので最初は面食らうこともあるかと思いますが、使っていれば慣れますし、想像以上に良くできたトラックボールだと理解して頂けると思います。なんというか、この小ささ、凝縮された感は往年の日本製品やなぁと思う機種。独自無線型とBluetooth型の2種類有。個人的に、2019年のTrackball of the Yearはこのbitra人差し指操作タイプだったと思います。そんな賞ないけどね。あ。いいや。自分で勝手に作っちゃえ。幸塚トラックボール選:Trackball of the Year 2019の受賞機です。

bitra(人差し指操作タイプ)Bluetooth版

bitra人差し指操作タイプ 上から

bitra(人差し指操作タイプ)2.4GHz無線版

bitra人差し指操作タイプ 上から

小型静音ながら大型機を相手に回しても一歩も引かない使い勝手を実現した、小型トラックボール界の奇跡、bitraシリーズでしたが、23年に販売終了となってしまいました。不幸中の幸い日本のメーカーエレコムさんのトラックボールですので、細々と流通在庫が残っていることもあるかも知れません。その際は是非救出してあげてください。

んでさ、エレコムさん、bitraの終了はもう一度考え直そ? 世界展開考えているなら尚のこと、他国のメーカーはまず造らないこういう小型機種を武器にした方がいいって。なんぼ勢いがあるったって、大陸も基本的には「大人」が好きなお国柄だからね。

垂直親指型の静音モデル

MA-BTTB179BKシリーズ

サンワサプライ社のMA-BTTB179。これまでの機種とはちょっと違う、垂直親指型という新種のトラックボールです。こちらも静音トラックボールの標準仕様として、ホイールのカタカタ感を除いてすべてのボタンに静音スイッチが採用されています。縦型ですのでボタンを上からではなく横から押す感覚(あくまで感覚。実際に横から押すだけではない)となり、それも影響しているのかわかりませんが、通常の静音スイッチ採用ボタンよりももう少し静かな印象があります。重力がクリックを手伝わないからでしょうか。

ただ、見ての通りホイールが一般常識からすると変わった場所にあります。これはこれで慣れると楽ですし、普段人差し指でホイールを回している人なら慣れるのも早いかも知れませんが、一応ご注意ください。

MA-BTTB179、大きさの参考に単三電池と比較
本体サイズの想像用に単3電池と並べています。この機種は動力も単3電池x2本です。ようやっと比較用単3と駆動用の電池が一致しました。

静音性に関しては先に紹介した同社製静音トラックボールMA-BTTB130と同等か、あるいはこちらがすこーし上か。それよりも、垂直親指型は2020年に出現した新種ですので、従来型のトラックボールを使用したことがある人でも、いや、使用したことがある人だと余計にかな。多少なりと慣熟時間が必要なトラックボールではあると思います。

MA-BTTB179BKと他4機種

一方で、トラックボールを初めて使う人であれば、条件は他のものを購入する場合と変わりませんので、その辺は気にしなくて構いません。据え付けて使用するのにモバイル型を流用、手を小さく屈めたり、掌を握り込んで扱うのなんてまっぴらごめんだという人は、今回挙げた中では最も大きな本体を持つトラックボールですので、安心して手を預けて下さい。垂直型なのでべったりと乗せるわけには行きませんけど、慣れると楽です。

一段と小型な静音モデル

nino
販売終了

2022年の先陣を切った新型トラックボール、サンワサプライ社の直販、サンワダイレクト限定で販売されているnino。32㎜という一般的な大きさから気持ち小さい操作球を装備し「マウスからも乗り換えしやすい」と大きく出ましたが、これがなかなかどうしていい感じです。白と黒の2色展開で、私は撮影が大変なので黒を購入しました。白ninoは光沢があってとても可愛らしく、黒ninoは艶消しのシックで落ち着いた雰囲気。私は白ninoを所有していないので写真は黒ninoになりますが、興味がある方は是非サンワダイレクトさんの公式サイトで白ninoもご確認ください。

nino、大きさの参考に単三電池と比較
本体サイズの想像用に単3電池と並べていますが、ninoの動力は単4電池ですのでお間違いなきよう。
bitra人差し指型、純正ケースに収まる
製品には収納用の巾着袋も付属しています。

さて肝心の静音性ですが、これまで挙げてきた機種と比較して少し変わった特徴があります。

まず最も使用するであろう左右クリックは、ほぼ「無音」。静音じゃなくて無音。なので左右クリックの音の静かさは、これまで紹介してきたどの機種よりも優れています。ただしそれと引き換えに、スイッチが底付きした感触も返ってこないので、感覚は「ぐにょ」みたいな。音としてはずば抜けて静かなのですが、感触に違和感覚える人も居るかも知れません。

ほぼ「無音」の左右クリックに対して、センター(ホイール)クリックは何故かマイクロスイッチでカチッと音がします。ここは普通ですね。まぁ左右ボタンの使用頻度からすればあまり深く考えるほどのことはないのかも知れませんが、音はします。

操作球下部に設置されたシーソー型の戻る/進むボタンは、クキっという感触が返ってくる静音型です。ごく一般的な静音スイッチという感じ。

上下スクロールホイールは極々普通のノッチがあるタイプですが、先に紹介したエレコムさんのbitra2機種と比べるとノッチの手応えが弱目に設定されているようで、その分静かです。なかなかいい具合に調整されているのではないかと思います。

ninoをぐるっと回しています。外観の確認にどうぞ。

nino。とことん音がしないかと思えば普通にカチカチいうボタンもあったりで起伏の激しい機種のような気もしますが、全体としてみれば「概ね静か」で、特に小型な本体も相まって愛嬌があり、また、マウスっぽさを強く残した機種でもあり。本当に面白い機種です。

サンワダイレクトさんはマウスからの乗り換えにどうぞみたいなことも仰っています。静音型マウスを使用していた人で、静音型のトラックボールを試してみたい人に最適かも知れません。

実際、22年現在の一般的なトラックボールはほとんどの場合でマウスより音を出しません。本体を動かしてマウスパッド上を滑走する音も、持ち上げて戻してでパタパタいう音も、そもそも発生しませんので。その上で、最も音を出す回数が多いであろう「左クリック」に限ってみれば、これはもう満点に近い静音性。ninoはその小さくて可愛い見た目に反して、結構尖った性格も持っているトラックボールだと思います。

nino

サンワダイレクト限定で販売されたninoちゃん。静音、小型機種はコロナ禍中に重要が伸びたようで一時期はお仲間も増え一大勢力化する気配もありましたがが、社会が一定の落ち着きを取り戻すにつれ忘れ去られ、ninoちゃんも実働1年半と短い活動期間を終えました。それはそれでパンデミックに脅かされずに済む社会が戻って来つつあるのだと思えば慰みにもなりますが、あのコロナが最後のパンデミックとは思えませんし。

とまれ、故球生前の功績を偲び、ここに謹んで哀悼の意を表します。

M570似の左右クリック静音モデル

M1
M1 メイン写真

メーカー不明謎のトラックボール、M1。謎は多いですが良いトラックボールで、現在の親指トラックボール界隆盛の立役者、M570をリスペクトした機種です。きっとまだ形を成していない、球だけの状態だったときにM570を知り「僕はああなりたい。なるんだ!」みたいな感じで大志を抱いたのでしょう。

nino、大きさの参考に単三電池と比較
本体サイズの想像用に単3電池と並べていますが、M1の動力は内蔵充電式電池ですのでお間違いなきよう。

そんな健気なM1の静音性能ですが「左右クリックのみ」静音スイッチ採用で、それ以外のボタンは普通に音が出ます。聴覚を頼りに獲物を捕食する怪物に追われているような状況下ではさすがに身の安全を保障できませんが、そうでもなければまぁ普通は左右クリックの音が煩くなければ静音需要の6〜8割ぐらいは満たせるのではないでしょうか。

M1をぐるっと回しています。外観の確認にどうぞ。

M1。静音性能ではこれまで挙げてきた機種より少し劣りますが、なにより世界で最も売れたトラックボールでしょう、M570に似た感覚を持っていること。それから、複数接続方式切替や内蔵充電式バッテリー、Type-C充電ポートなど、ここ1年ぐらいで需要が急増している機能を過不足なく搭載しているという、機種トータルで見た強みがあります。

あんまりにもカチカチうるさい機種は御免だけど、左右クリックが静音ボタンになっているぐらいで充分だよという方なら、このスペックの割に価格も安くお薦め出来ます。M570と比べるとすこーし大型化していることと、解像度の設定が少し速めであることは念頭においた上でご検討ください。価格は、そうですね、クーポンなど入れて三千円台の半ばぐらいで買える時を狙うとかなりお買い得だと思います。いいトラックボールですよ。

M1

M1、一部店舗も取扱あるかも知れませんが、基本的にはネット上で販売されているトラックボールだと思います。その中でもやはりAmazonで群を抜いて安く提供されており、黒球版も登場しました。ただ、23年3月時点で赤球版は解像度の選択肢が5段階に拡張されていますので、赤球版のほうをお薦めします。購入時はそのへん注意してご確認ください。

静音型トラックボール特集・まとめ

静音型トラックボール5機種 後ろから

最初にこのページを作成したのは21年の暮れでしたが、22年に入って大手メーカーが自社製品フラッグシップ機に静音モデルを出してきたりして「静音型」への需要は鰻登りというか、もう普通になりつつあるというか静音型が多数派の支持を取りつけつつあるというか、そのように感じています。そのうちこのページは「“非”静音型トラックボール特集」に変わるかも知れませんね。ふぉざた〜いむずぜいあ〜れちぇいんじぇん。

ともかく。ここに挙げたどの機種も、トラックボールとして最低限以上の完成度はきちんと整えていますので、各機種ごとの静音性の違いと、あとは接続方式だとか価格差だとかで絞る。それも面倒であれば見た目の好き嫌いで選んでも構わないでしょう。どの機種も、一番使用するであろう左右クリックは静音化されています。

ただ、繰り返しになりますが「既にトラックボーラーとしての心得がある人」の方が、選択は慎重に行った方が良いかも知れません。自分の中にある既存のトラックボール感覚が新機種に嫉妬して邪魔をして来ますので、先住猫のご機嫌を伺いつつ新参猫を迎えるような気持ちで臨んで下さい。

そうではなく、初めてのトラックボールで尚且つ静音型が欲しいという方は、あれこれ検討しようと思えばいくらでも出来ますが、やったところで正解が出るとも限らないので、これまた繰り返しになりますが、見た目の好き嫌いや予算で選んで良いと思います。可能であれば実店舗でデモ機を探して手を載せてみる。

とはいえ、実は店舗などで展示機を触れる機会を得られたとしても、自分がPCを使う環境、椅子の高さだとか腕手まわりの障害物だとか、そういう諸々の周辺環境までは整っていない状態です。立った状態で触るか座った状態で触るかだけでも感触はだいぶ違いますし、PCにつながっているかいないかでもまったく感覚は違いますから、最終的にある程度は思い切り(諦め)も必要でしょう。

それでも、試す価値はありますよ。なにより「実際に試してみて具合良かったから」というのは、その機種を購入するにあたり、これ以上なく自分への説得力を持ちますし、自分で「使えそうだ」と感じるかどうかはとても大切なことだと思います。どんとすぃんく、ふぃぃぃゆ。

  • MA-BTTB130 単三電池と比較 正面から
  • bitra人差し指型 単三電池と比較 正面から
  • Q 単三電池と比較 正面から
  • bitra親指型 単三電池と比較 正面から
  • MA-BTTB179 単三電池と比較 正面から
  • nino 単三電池と比較 正面から
  • nino 単三電池と比較 正面から
  • EW-WL159S 単三電池と比較 正面から
  • GRAVI 単三電池と比較 正面から
  • EM04 単三電池と比較 正面から

私が選ぶとしたら……「MA-BTTB130」と「bitra人差し指操作タイプ」の2機種が最終候補かなぁ。この2機種は比較的癖が少ない方かなと。で、あとは親指型にするかフィンガー型にするかで最終決定。

トラックボールそのものが癖の塊じゃないかって? いや、そんなことはないと思いますよ。ポインタを動かしたい方向へ球を転がすだけですからね。理屈は簡単なんです。別に噛み付いてきたりしませんので、構えず、難しく考えず導入を検討して頂ければと思います。

24年現在世界で最も普及しているであろう34㎜操作球には交換球が存在します。最も代表的な交換球が独ペリックス社の交換球で、カラーバリエーションがあるので着せ替え的にコレクションしている人も結構居られるようです。最盛期はもう少しバリエーションありましたが最近は厳選モードに入った模様で一部消えたりもしていますので、詳細はリンク先でよくご確認の上ご購入下さい。
白眉は後ろから2番目の「マット球」。これだけが艶消し処理が施されたざらざらした球で、当然滑りません。が、滑らないおかげで操作精度が上がります。他の色と違い艶消し球だけは使用感が大幅に変わる、ある種の改造グッズみたいなものです。個人的には大昔のゴム巻きシャフトローラー機のような感覚があって、これはこれで十分使える球だと思います。普段扱っていて「滑りすぎる」と感じる方は試してみるのも一興。一度は販売終了になりましたがユーザーの熱い要望に応えて復活しました。やったね!
一番最後の箱入り娘はエレコム純正の34㎜交換球です。色は赤ですがペリックスの赤とはまた色味が違います。

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