Orbit Trackball with Scroll Ring
Orbit Trackball with Scroll Ring
Orbit Wireless Trackball with Scroll Ring
Orbit Wireless Trackball with Scroll Ring
- KT-2337 / 72337JP
- K72500JP
- K70990JP
- K70991JP
- 40㎜
- 2(3)
- USB有線接続
- USB有線接続
- USB独自無線/Bluetooth5
- USB独自無線/Bluetooth5
- USB給電
- USB給電
- 単3電池×2
- 単3電池×2
- 未公開
- 未公開
- 400
800
1,200
1,600 - 400
800
1,200
1,600
- 5年
- 5年
- 3年
- 3年
病める時も健やかなる時も、市場にひっそりと、しかし確実に咲き続けたトラックボール界の保守本流、Kensington社の入門機、Orbit with Scroll Ringです。
いつまでも新顔なイメージでしたが気がつけば10周年も越えたそうで、嗚呼このトラックボール時間と来た日にゃ、ロン・ウッドがいつまでも新顔に見えるのと同じようなもんですか。2009年の発売以降特に動きもなく淡々と販売され続けていましたが、2020年にカラーバリエーションが登場、21年には無線版も発表されました。
上の動画では、Orbit ScrollRingを使用してベジェ曲線で絵を描いています。使い方の一例として撮影しましたが、特段難しい操作を行っているわけではありません。ベジェ曲線の扱い方はまた別のスキルですが、ある程度フィンガーオペレート型のトラックボール操作に慣れた人であれば、誰でも出来る作業だと思います。腱鞘炎に悩まされているデザイナーさん、どうですか。コツはたったひとつ。「(既に操作に慣れている)マウスの存在を、一度完全に忘れてしまう」です。
ちなみに動画内のOrbit、操作球は初代Orbitのクリア青球に入れ替えてますが、この程度の作業であれば特に問題なく動かせます。
Orbit Wireless Trackball with Scroll Ring 登場
2021年夏、Orbit with Scroll Ringに無線版登場の運びとなりました。基本的に筐体は変わらず無線化して、あとは解像度変更機能がついた感じですね。しっぽがない? あんたも好きねぇ。完全新型ではなく既存機種の変更拡張版ですし、情報こそ出ましたが、いつからどこそこで買えるよみたいな話はようわからんまま。なんというか相変わらずマイペースなKensingtonさんです。
ただ無線版の登場によってオールドタイマーとなった有線版、こっちどうすんだろ。Kensingtonさん普段ノリからするに有線版も継続するとは思うんですけど、有線版にも解像度切替機能つけないと、無線版との機能的な差が。それでなくてもボタン数少ないわけだし。
私は2ボタンでもそんなに苦労しないのでいいんですが、他の人にオススメする際、せめてあとひとつふたつ、全部で5ぐらいボタン機能があってくれるとより推しやすくなるのに、結局筐体はそのままで球の色が変わるぐらいのもんですし、これでまた10年売るつもりなのかな。それはそれで凄いけど。いずれにせよ発売されたら入手して、今度こそはレビューを名乗れるページにしたいと思います。
海外の比較レビューなんかをたまに目にすると、だいたいOrbitはランクインしてて、価格面で有利だからという理由が大きいでしょうが、慣れるのも早いと言及されていることもあるよう記憶しています。自分に都合よく記憶を改竄してる可能性もありますが、私もそう思うんですよね。左右対称で真ん中に球があるってことは、ポインタの前後左右移動も見たままだからさ。
- 有線黒青
- 有線白銀
- 無線黒赤
- 無線白銀
Orbitと私
個人的な話で恐縮ですが、私をトラックボール好きにしたのが、このOrbitの初代機でした。恐縮もなにもこのサイトのすべては個人的な話で出来てるんですが、初代機と比較してスクロールリングという大きな機能追加があったものの基本的には形もボタン数も変わらず、優秀な入門機として今日も健在です。音楽制作や映像制作など、横に流れて行く画面上の作業との相性は抜群。また、左右対称型でもあるので、左手側に置いてサブとして使うことも可能です。
ただ、ひとつ注意点がありまして、Kensington社のトラックボールは伝統的にボタン数が少なく「多ボタンでもねぇのにわざわざ別売りの入力機器なんざ買わねぇよ」という人からすればハナからお呼びでない存在なのも確かでしょう。実際このご時世に2ボタンですが、そこに不満を覚えない人であれば、価格もお手頃ですし安心してお薦め出来ます。
右フィンガー型の場合、馴染まなければお蔵入りすることになりますが、左右対称型は左手用として使うことも可能で、左手で使っているうちに身体が馴染んできて、気がつけばメインの座を奪取していた、なんてことも起こり得ます。そういう意味でも入門機として相応しいトラックボールです。
今更レビューもあるものか
ここは、初代Orbitから始まったトラックボール人生を満喫中のオービターが作ったページですから、仮に現在は利用していなくても心は常にOrbitとともにあります。バッカじゃないの。
ともかく、いいもんはいいんだから触れておけということで、レビューめいたことを書きます。ちなみに私が現在Orbitを利用していない理由は「有線」これに尽きます。同じ筐体の無線版が出たらすぐにでもメインをOrbitに戻す覚悟がありますが、電池収めるスペース……あるような、ないような。
ボタン構成は上でも触れましたが2、あとはスクロールリングがひとつ。一応ソフトウェア的にボタン同時押しを3つ目のボタンとして働かせることは可能なものの、今時、安物のマウスですらそうそう無さそうなド簡素構成は、10年前の発売当時ですら数字だけでダメ出しされかねない状況でしたが、そこはそれ、機能が少なくても使い方次第。私の場合「戻る進む」機能はゼスチャで制御するので、ボタン数が少ないのを苦にしたことはあまりないですが、MacOS育ちでそっちにあまり興味がないってのも影響あるからなぁ。
もちろん他の機能に振って使う人も多いでしょうけど、戻る進む機能に物理ボタンを振る。Netscapeは草葉の陰で喜んでいるのか、それとも哀しんでいるのか。どっちだろうね。
本体を眺めると、特にスクロールリング周りがしっかり作られており、製造コストの大部分がここに費やされている印象ですが、まぁそりゃね。「ウィズスクロールリング」って大々的に名乗ってるんだし。
スクロールリングは、TurboRingに搭載され世に出て以来「使用した人間は誰もがその素質を認めるものの、永遠に完成に達しない機能」と疑う向きもありますが、本機のスクロールリングは歴代で最も扱い良く仕上がっていると思います。2020年には後輩のOrbitFusionも誕生しましたが、スクロールリングだけ見ればまだまだ本機に分があると評価する人も決して少なくないでしょう。はい!(挙手)
操作球とスクロールリング部は本体から一段低く埋め込まれるような形で設置されており、機種全体の背を下げるべく努力した感じですね。スクロールリングが挟まっているおかげで歴代機の中で最も操作球部が露出した機種になりましたが、操作感覚には特に違和感ありません。スクロールリングにはゴムっぽいような独特の感触がありますが、樹脂製です。筐体もサラサラした質感のプラ素材で、感触良好。いいでしょ、このマットな感じ。
ボタンには角度がついていることと、コーナーがあるおかげでうまい具合に指先がひっかかり、上からでも、握るように横から押してもどちらでも反応するKensington的お約束をきっちり踏襲しています。この辺りは最早名人芸ですが、ボタンそのものに角度があるので、折り目をつけることで握る押すに両対応していたEM5以降のボタンよりも、下手するとこっちのほうがTurboMouse4までの感覚に近い気がします。
便宜上「押す」と言ってますが、私は「指の重みを預ける」感覚で扱っています。例えば左クリックを親指で押してドラッグする際「押し続けなきゃ」と思うと余計な力が加わってしまい、フィンガー側3本指の可動を阻害したり、やがて指にプルプル来たり、肩こりを招いたりますが、少し指の形を変えて「載せ続ける」と思って扱う。または、指先は完全に固定するイメージで手を置き、手首を軸に掌を左右に傾けるイメージででクリック、ドラッグ。そんな感じで色々試して下さい。私個人的には、多少の向き不向きはあれど「誰でも扱えるはず」と信じています。
操作球は逆さまにしても落ちないよう程よくホールドされているので、往時はまるっとかばんに放り込んでモバイル用途で利用していたこともあります。裏側にはゴミ排出用の穴がありますが、操作球は裏から押さなくても表面から摘んで取り外せるのでメンテナンスはとても楽です。
なんとも味のあるカタチをした機種で、業界的にそのニックネームを持った機種が過去にいくつか存在したため採用されなかったでしょうが、スティングレイと名付けられていても不思議ではない見た目です。外人さんスティングレイ好きだもんね。Orbit Stingray。悪くないけど、ちょっとカッコ良すぎるかな。その場合、国内の俗称は「エイ」か。うん。
EMシリーズが業界の顔として確固たる地位を誇っていたころ、初代のOrbitも、単なる入門機と切って捨てられない魅力を持っていました。初代Orbitは読取り方式こそ旧式のロータリーエンコーダーでしたが、ロータリーエンコーダにはゴム巻きシャフトを操作球で回転させる際の独特の抵抗があり、そのおかげで精細な操作を苦にしないという特徴がありました。その後、光学読取式へ移行したことでその独特の感覚は失われたものの、40㎜操作球と人工石支持の構成は変わらず、初代機の時代よりも遥かに広大となったモニタ解像度への対応も果たしつつ、使い勝手の良さ、手軽さ、軽快さは変わらず持ち続けています。
ま、なんぼ贔屓の引き倒ししてみたところで所詮は入力機器ですから、入力作業に当たってより自分の求める感覚に近い製品に出逢ってしまえば、乗り換えるのも当然だと思っています。ですから最近はトラックボール入れにしている段ボールの中で眠っていた我が家のOrbitですが、久しぶりに引っ張り出してきて写真撮影したり、少し繋いで使ってみて、改めてその良さを再認識したところです。もし無人島で生活することになり、トラックボールをひとつだけ持って行って良いと言われたなら、私はOrbitを持って行くでしょう。
良いことばかり挙げて来ましたが、あまりよろしくない点も勿論あります。最初にも述べた通りスクロールリング周りに製造コストが全投下されている雰囲気のためか、ボタン(スイッチ)周りはペコペコした押し心地で、感触にこだわる人には、嫌われるまでは行かないとしても、決して愛されもしないでしょう。また、センサーの赤色発光が部品の隙間から漏れます。雑だなぁ。まぁKensingtonって結構そういうとこありますけどね。
リストレストも付属
長いことオーナーやってる割にいっつも存在を忘れるんですが今回は撮影できました。製品付属の純正リストレスト。かなり柔らかいゴム風の素材、TPEと記載があるので調べたところ、サーモプラスチックエラストマーなる樹脂のようです。
一度取り付けたが最後五体満足での分解が難しいエキスパートマウス純正リストレストと違い、このリストレストは樹脂の弾性を利用して本体の尻に噛ませる感じで、結構いい具合に食いついてくれますが、写真のとおり、設置面積を取るようになります。特にこれがなくても苦労せず扱えますし、日本国内でこのリストレスト噛ませて使ってる人って居るのかなぁ、という代物でもあります。私は使用したことありませんが、まぁそれでも選択肢があるのはいいことですし、これを取り付けることが可能な空間を確保出来て、かつ載せた感じが具合良ければ、積極的に使って良いものでしょう。感触はいいですよ。
Orbitを使う人
Orbitに限りませんが、ずっとマウスを利用してきた人が、初めてマウス以外の入力機器を扱う際に覚える違和感のようなものがあるとして、私の場合のそれとして強烈な違和感が刻まれているのが、ペンタブレットを初めて利用した瞬間です。トラックボールより先にそっちの違和感を経験しているので、もしかしたらトラックボールとの初邂逅時にほぼ違和感を覚えなかったのかも知れません。実際、Orbitを最初に購入した際になにか苦労したような記憶がまったくないのです。
ペンタブレット、最近は板タブなんて言われているようですが、タブレットがそもそも板って意味やないんかという無粋なつっこみはさておき、手元でペンを動かして描いた線が、その場ではなく少し距離のあるモニタ上に、しかも垂直に表示される。ここに強烈な違和感がありました。昔の板タブでの話ですので描き心地もツルツルした板面上をペン先が滑るような妙な感覚もあって「こんなもんで描けるわけねぇだろ!」と悪態をつきながら弄っていたものです。
ま、すぐ慣れて当たり前に描くようになるんですけどね。人間って凄い。
板タブ上を走るペン先と、モニタ上に描き出される線との間には、物理的な距離と、極わずかとはいえ時間的なズレもある。しかしヒトの脳ってのは優秀なもので、やがてそのズレを吸収してくれます。
自分の脳内にそのズレを吸収する能力が備わった人であれば、Orbitに限らず、トラックボールを扱うのはそう難しいことではない気がします。Orbit愛用者はなんとなくですが絵描きさんが多い気がしたので、こんなことを考えました。絵描きさんの場合利き腕には間違いなくタブレット用のペンが握られているでしょうから、利き腕ではない方、オフハンドにOrbit(に限りませんが左右対称型が多いでしょう)を置いて、ペンタブレットで制御しにくい作業はそちらで、という作業形態は決して珍しいものではないと思います。そもそもは大手ペンタブレットメーカーが昔、自前でトラックボール搭載の左手用入力機器発売してましたしね。
逆に言うと、その違和感を乗り越えなければトラックボール……に限りませんが、PCの入力機器を扱うには至れないと。皆さんお忘れでしょうが個人差はあれどマウスにだって最初はその違和感があったはずなのです。昔の笑い話で「マウスを動かしてアイコンの上に持っていって下さい」と指示したら、本当にマウスを持ち上げてモニタ上のアイコンにくっつけた人がいた、なんてのがありましたが、それだってマウスに代表される入力機器とポインタの概念が薄い世界であれば、特におかしな行動とも思いません。それは指導員の言い方が悪い。
マウスを使用してある程度PC(OS)を使えるようになり、ゼロが1になってしまうと、ゼロだった時のことを忘れてしまう。新たな操作方法、当ページの場合は主にトラックボールを指しますが、その習得に挑んでいる最中、なまじ1の経験を持っているせいで上手く扱えずにイライラし、既に身につけているマウスでの操作に戻ってしまう。良くあることだと思いますが、ここを乗り越える苦労は人によりけりで、本当に苦労する人も居ればすんなり馴染める人も居る。私は後者でしたので、本当に苦労して習得した人の気持ちはわかりようもありませんが、ひとつ確実に言えることは、習得すれば色々と出来ることも増えて、楽ですし楽しいですよ、と。なんとか楽しみながら習得に挑んで欲しいと思います。マウスが扱えるようになったのであれば、トラックボールも行けるはずです。邪魔をするのは「1」の部分。
とにかくいい機種ですよ
なんかフラフラと何が言いたいのかよくわからないページになってしまった気がしますが、私がOrbitに触れると大体こういう感じになってしまうようなので、そこはもういいです。自分で諦めてます。とにかく、簡素なトラックボールですが、スクロールリングも搭載していますし、実際には意外と多くの人が「使ってみたらこれで充分だった」と思えるトラックボールだと思っています。調子に乗って最小構成とか究極のシンプルとか言い出すと先代のOpticalがでや顔して出てきますのでそういう表現はしませんが、長い旅路のスタート地点で共に歩み始める最初の相棒として、おひとついかがでしょうか。
Orbit with Scroll Ring群
2009年の登場以降、雨の日も風の日もそこにあったOrbitsですが、19年暮れごろ、思い出したように10周年だなんだ言い始めまして、そんなの一緒に祝う気になるのは私ぐらいのもんで、社員ですら鼻白んでんじゃないの。世間にアピールしたけりゃ新型出せよと思ったものですが、まさかそのまま無線化してくるとは思いませなんだ。さすKen。そこに痺れ……ないし憧れもしねぇよ。
無線型カラーバリエーションも発表時は銀球黒筐体版があったのですが、現在は北米御本家Kensingtonサイトからも抹消されているようなので、立ち消えたのかな。まぁコロナ禍ってのもあるでしょうし、球の組み替えで再現可能ですしね。
ちなみに日本Amazonでの初値は驚愕の¥8,408(21/10/14時点)でございました。Fusionとの価格差もほとんどないという、強気にもほどがある価格設定ですが、これもコロナ禍が影響しているのでしょうか。白版黒版どちらも発売と同時購入するつもりでいましたが、この前にGameBallで贅沢し尽くしてしまったこともあり、まずは赤黒版を購入してお茶を濁すことにします。米国での価格は$49.99。ご時世的にある程度の価格が乗るのは仕方ないと思いますが、それにしてもこの額面では初心者へ薦めるわけにも行かず。せめて+千円ぐらいに納めといてくれよう。
- 有線黒青
- 有線白銀
- 無線黒赤
- 無線白銀