MATB155
- 400-MATB155
- 34㎜
- 5
- 2.4GHz独自無線
Bluetooth5.0
- 単3電池×1
- ※400
800
1,200
1,600
2,000
2,400
- 1年
サンワサプライの5ボタントラックボールMATB155は、無線接続でBluetoothと独自無線の2系統切替式。ひとつ前のTB130系よりボタン数も増え、多機能に振った機種。直販系のみでの取扱となっているようです。
取り急ぎ本機の外観を動画で。回転台に乗せてただ回しているだけで、視点も固定ではありますが360度見られます。写真よりこの方が伝わる情報もあると思うので参考にどうぞ。
大まかにはこんな感じ
針小棒大早口系ウェブサイト幸塚トラックボール、久方ぶりのレビューでございます。先日、友人から「おまえの記事はクドい」と指摘を受けまして、自覚もあるので今回はある程度まとまった感想から述べます。ここ読んどけばとりあえず大まかには性格が伝わるような感じで。
- 400-MATB155(以下、本機)は、5ボタン、2系統ワイヤレス機能搭載のサンワダイレクト販売トラックボールです。一般的な親指型トラックボールの性能、精度と比較しても遜色のない機種。
- 少し大柄の筐体は、傾けていない状態でのMX ERGOを意識したような造りで、実際、手触りも含めて似通った雰囲気を感じます。接続切替ボタンを本体天面に配置し複数端末への接続・切替が容易で、2台の端末を並べて使用する用途では、本機1台でも快適に操作が可能でしょう。
- 特徴的なのは読取精度の切替機能で、最も遅い400から最高感度の2400カウントまでを右手親指側のボタンで切替ながらの運用が容易で、読取精度変更機能の手軽さを重視するユーザーには、特に親和性の高い機種と思います。
機能面では、上で挙げているとおり、2台の端末に本機1台を繋いで切替しながらの運用や、読取精度変更を頻繁に行う方に相性の良い機種だと思います。他機種の場合、接続先切替や読取精度変更機能は、ホイールの下(手前側)、本体底面や側面に設けられたスイッチで制御する機種が多いと思いますが、この機種は親指側にボタンがあり、大変押しやすい。それでいて普通に操作球を弄っている際に邪魔になることもありません。これらの機能を重視されている方には特におすすめです。
以上、時間に追われる現代人向けの駆け足報告でございました。
購入に際して
さてここからは重箱の隅を突いて回ります。本機は、基本的にはサンワダイレクトと、サンワさんが直接出店しているAmazonや楽天市場での販売となります。公式サイトはこちら。なんちゅうかようわからん扱いの機種で、御本家サイトの製品情報には掲載されていません。どうしてでしょうね。小売との付き合いも大切な御本家と、独りで大きくなった面しがちな直販部とで、血で血を洗う派閥抗争でも起きているのでしょうか。やめて。私(MATB155)のために争わないで。
私(幸塚)はサンワダイレクトさんから購入しました。サンワダイレクトでの買物は今回で2度目。住所にもよると思いますが配達も速く、AmazonPayでの支払いも可能で使い勝手は結構いいです。Amazonで買う場合とそう遜色ありません。Amazonにも直販経由で並んでいますが、半年ほど眺めていた限りでは、週末クーポン併用などでサンワダイレクトのほうが結果的に少し安くなることが多いと思います。とはいえAmazonにはAmazonの安心感がありますしね。お好きな方でご購入下さい。
到着したパッケージはまたえらくシンプル。直販限定機ならではでしょうか。昔の贈答品の内箱みたいですね。いや、悪く言ってるつもりはないですよ。店頭で競合他社製品や他の製品も含めて悪目立ち合戦みたいになってるパッケージより、私はこういう簡素なほうが好きです。
本体について
割と大柄な筐体で、表面はサラサラしていてマットな、なんともいえない処理が施されています。最近ちょいちょい見る気がするけど、これ何て言うんだろ。塗装ではないと思いますが、ラバー塗装っぽいような感触で、同社MA-BTTB130系に一部使われていたものと同じじゃないかな。触り心地いいのでお気に入りです。
特に掌面が広範囲に渡って機器本体と接する時間が長い(であろう)親指型にとって、その触感は重要な気がします。いや、そうでなくても大事ですが、親指型は競争も激しい(フィンガー型比)ので、触覚方面にも工夫した機種なんかも出てきていいですね。適度な競争って本当に大事です。過当競争になると結果ユーザーも得しないのでほどほどがいいですけど。
公表されている寸法、数字はMX ERGOと近いかな。数字だけでなく全体の雰囲気もMX ERGOを参考に設えられたような印象です。本機のすぐあとにロジが発売したERGO M575は、ひとつ前のM570より若干大きくなっていますが、それでもこのMATB155やEX-G PROと比べると一回り小さい。西洋圏で作られ(設計され)たほうが小さく、東亜圏で作られたもののほうが大きいと思うと不思議ですね。普通逆じゃないの。
機種 | 全長 | 全幅 | 全高 |
---|---|---|---|
MATB155(本機) | 133.0㎜ | 109.0㎜ | 52.0㎜ |
MX ERGO | 132.5㎜ | 99.8㎜ | 51.4㎜ |
ERGO M575 | 134.0㎜ | 100.0㎜ | 48.0㎜ |
EX-G PRO | 135.0㎜ | 108.0㎜ | 47.7㎜ |
エレコムEX-G PROと形状比較しますと、EX-G PROの本体は割とクセのない、素直な山形をしていますが、本機の頂部は親指(左)側へ片寄っており、手を置くと自然、人差し指から小指にかけて下るように傾きます。
本機に手を乗せた感覚は、既存の機種では(傾けない状態の)MX ERGOが一番近いと思うのですが、本機と比較するとMX ERGOはだいぶ細身に感じます。特に本機は横幅が広めで、写真でも判るように手の爪先側も広くなっています。おかげで掌はすべて本体に乗ります。私は全然気にしない、どころかこちらの感覚の方が好きなのですが、世間的にはどうだろうなぁ。
CT-64UPi以降のTrackManWheel群は、本体幅から小指一本分前後、微妙にはみ出すような感じで作られていて、小指の側面を机上に接地させつつ、親指側へ向けて挟むような感覚で本体と手を固定しますが、本機は(よほど手が大きい人でない限り)掌も指も完全に本体に預けます。感覚的には、人差し指と親指の間の水かきを本体頂部の尾根に引っ掛けて、親指側とフィンガー側をそれぞれ谷底へ流すような感じ。
他機種ですとエレコムのEX-G PROも掌は全て乗る感じなのですが、そのせいか大きすぎるという感想も耳にします。EX-G PROが大きく感じてダメだったという人は、本機も相性は良くないかも知れません。ただ、EX-G PROはEX-G PROで、右クリックの右横にもうひとつボタンがある関係もあってか、左右クリックボタン周りが結構狭めの作りなので「EX-G PROが大丈夫だったから本機も行ける」ともならない気が。あくまで比較対象であって、本機は本機で結構独特の造りだと思います。私は本機のゆったりした感じ、かなり気に入りました。ページの更新が終わったら今月のお気に入りで触れるでしょう。
本機はCT-64UPi〜M570が築き上げた「2021年現在の親指型の常識」からは確かに外れていて、それがシックリこない人が居るのもまぁ解るんですが、トラックボールとしては掌がすべて乗っかる本機の型も特に不思議なものじゃないはずなんです。M570の先祖T-BB13もそうでしたし。私はこの形のほうが好きです。なんでって「ならぬものはならぬのです」はM575のレビューで使っちゃったので今回は説明しときますが、元々は私のトラボ歴がOrbitで始まってるからでしょう。Orbitは掌が全部本体に乗るもん。三つ子の魂百までって言うし。だから逆に、掌が全部乗るのに馴染めない人が居るのも解る。三つ子の時にM570触ってたならそうなっても当然。
また本機は、平置きした貝のようなというか、どら焼き型というか、設置面は機種の最も幅広い部分より狭くなっており、外周部の下に指先が少し潜り込むぐらいの隙間があります。地味にこの隙間が効いていて、本体が持ち上げやすい、というのはトラックボールにおいてはそんなにメリットとも言えないと思いますが「テキトーな姿勢でも扱うことが可能な親指型」としては、一時的に小指の先などを引っ掛けて保持するのにとても具合がいいです。
操作球の位置は通常の親指型と大差ありませんし、メーカーもサイトで宣っているように、割とフラットな手載せ心地だと思います。と言っても真っ平じゃないですよ。掌に力を入れていない状態という意味じゃないかな。最近は垂直型なんて新種も出てきましたし、世間的にはチルト需要も相応にはあるとして、チルトしていないから動かしにくいとか手が疲れるとかは感じません。
本体は比較的大柄で背も高いので、手を置く際、肘の場所によっては置き方が上手く定まらないケースも出てくるだろうとは思いますが、それはこの機種に限った話でもないので「まぁなんとか上手いこと自分で調整して、具合のいいところを探しておくんなまし」と。私は肘掛付きのオフィスチェアに座っていて、肘掛は机の天板と同じか少し高い程度の位置にあります。また、普段DEFT PRO使用時に置いているエレコムのリストレスト、カンフィーを使ってみましたが、リストレストがある状態でも問題なく扱えました。手が小さい方はリストレスト置いたほうが扱いやすい場合もあるかも知れません。
本体裏面(底面)。最近の無線対応機種ですとだいたい裏面は賑やかなんですが、本機は裏面にスイッチ類がないので滑り止めと操作球取出孔のみ。このどデカい滑り止めは圧巻。操作球取出孔は驚きの実測9㎜。指どころか太めのペンも通りません。そんなとこまでMX ERGOリスペクトしなくていいのに。
道具を使用しての操作球取出に対する可否は人それぞれ温度差もだいぶあるようで、私は圧倒的に否の側ですが、操作球がそもそも小さい親指型の場合はある程度仕方ないかなぁと思うところもあります。某機レビューで文句言いすぎました。反省しています。
電源は単3電池1本、独自無線用のレシーバも収納可能です。地味にレシーバ側にもシリアルナンバーが振ってあるので、独自無線用レシーバ(ドングル)が沢山刺さっているような環境でも目視確認が可能です。あんま考えたことなかったけど親切ですね。独自無線のみ接続機はレシーバを紛失するとほぼ即死、本機はBluetoothでも繋げるので、仮にレシーバを紛失した場合は半死……いや、後述する複数端末接続と切替も出来なくなるので、九死に一生かな。ともかく皆さん独自無線レシーバは無くさないようにしましょう。中古で売り払うにしても、接続方式が独自無線のみの機種でレシーバを紛失した個体は修理もほぼ不可能で、部品取りにしか使えなくなります。これはトラックボールに限らずマウスでもそうで、ロジのUnifyingだけが例外。
操作球周り
操作球は一般的な赤ラメの34mm。支持球は最近ぼちぼち目にする、あの真っ白なセラミックだかのやつです。滑りは良好で、ポインタ制御に違和感はありませんが、支持球が小さめなのと、単に埋めてあるだけであまり気は使われていない雰囲気なので、汚れの蓄積にはあまり強くなさそう。また、上で述べましたが、排出孔が狭いのと、操作球の埋め込み角度の関係か、操作球取り出し時に裏から棒状のものを突っ込んでもつっかえる感じがあって、若干排出しにくいです。勢い余って操作球をすっ飛ばしてしまわないよう注意が必要。
5ボタン
ボタンは5つ。メインの左右クリックはカチカチと普通に音のする(恐らく)マイクロスイッチ、左クリック左横に縦に2つ並んでいる拡張スイッチは恐らくタクト、ホイールクリックも同じだと思います。いずれも音がするタイプですので、静音型をお求めの方はご注意下さい。
メインの左右クリックはマイクロスイッチ搭載かつ、ボタン部が別部品で構成されており、押し心地いいです。拡張スイッチ(戻る進むボタン)は平べったい造り。いずれも21年現在では標準的なもので、余程こだわりがない限りは過不足のないものだと思います。使ってみても特に不満ありません。
スクロールホイール
ホイールはカリカリの感触あり、刻み感覚はちょっと広めかな。中央部が盛り上がっていない平べったいやつで、ゴムの滑り止め的な部品が巻かれています。回すとカタカタ音がしますし、ホイールクリック用の遊びも少し多めに取られているのかな、ちょっと建て付けが緩い気もするので決して高級ホイールとは呼べませんが、極々普通のホイールではあると思います。web漫画読んでた時はいい具合にスクロールしてくれました。刻みが細かいやつだと、1刻み回した感覚と実画面のスクロールに違和感あったり……しない? まぁその辺は私の感覚や環境も影響してそうなので断言は出来ませんが、本機のスクロール感覚は私にはいい感じ。
それから、筐体天面はそこそこの角度で小指側へ向けて傾いているのに、ホイールは設置面に対して垂直に取り付けられています。
近年の他社製品だと傾きに合わせてホイールも若干傾けて設置してあったりしますが、実際に使ってみたところでは……うん。私は特に不都合は感じません。好き好きだとは思いますが、中クリックを多用される方は下手に傾いているよりはこっちのほうが押しやすい……なんてことはないのかなぁ。本当に人それぞれ、好みもそれぞれな感じですかね。傾けてあると「凝ってるな」とは思いますが、実用上どこまで利点があるのかは、私には正直わかりません。小型のホイールだと面に沿って左右均一に露出していないと扱いづらいでしょうが、本機ぐらいのサイズなら特に問題なさげ。
このスクロールホイールは、チルト機能も搭載しています。親指型トラックボール界には本家本元ロジさんが発売しているM575という鉄板中の鉄板機種があり、M575はほとんど弱点のない機種なのですが唯一挙げるとすればこのチルトホイールがないこと。故に他メーカーが親指型で鉄板機種との差別化を図るにはチルトホイールを搭載するのが一番わかりやすく、「チルトホイールがないとダメ」という人は、いかに鉄板機種であろうともM575は選外となり、ここで初めて、鉄板外の機種に選ばれる芽が出てくる、と。
しかし、最近はそのロジさんがチルトではない横スクロール機能を模索してる感ありますからね。中クリックと兼ねると両方の機能において感触も損ねるでしょうし、耐久性も損ねるかも知れません。チルトホイールの出現から普及を共に過ごしてきた人には「チルトホイールとはこういうもの」と認識が出来上がっていますが、大雑把に言うとホイールの上下はトラックボール的、左右はスクロールレバー的で、両者感触が絶妙に融合しておらず、上下はまだしも左右はスクロールレバーよりだいぶ感触が悪いと私は感じています。指一本で画面を縦横にヌルヌル動かせるスマホ普及以後に使い始めた人にとっても違和感のある機能かも知れません。今後どうなって行くでしょうね。
その他スイッチ
主に使用される5ボタンについては先に取り上げましたが、本機にはその他にも特殊機能を受け持つスイッチがあります。
電源スイッチ 兼 接続選択スイッチ
まずは電源スイッチ兼接続方式選択スイッチ。本体天面、ホイールの下(手前)側にあります。電源スイッチが表面に露出しているのは大変珍しいですが、それには理由もあって、基本的にはそんな頻繁に弄るものでもないからですよね。
しかし本機はスイッチが表面に露出しているので、当たり前ですが電源オンオフが手軽です。お気に入りの機種を外に連れ出す方には、電源オンオフが容易なのは歓迎され……るんじゃないでしょうかと言おうとしたけど、取り扱いが容易すぎて、カバンの中で勝手にオンになってたりすると逆に嫌われるからなぁ。電源スイッチが自分で意図してオンオフしないと言うこと聞かない仕様になっていることが多いのはそういう事情からだと思いますが、本機はその一般的な仕様をガン無視した形です。
でも、これはこれで悪くないですよ。使うところを気をつけていればいいだけの話ですし、私みたいに机上に転がっているトラックボールを時々取り替えて使ったりする人間にとっては、物凄くいい。思ってた以上に良い。電気のスイッチなんかをマメに消さないと気が済まない人にはおすすめの機能ですね。ちなみに私、ちょっとその傾向あります。
最近はメーカー公式動画も増えてきましたが、サンワさんのビデオはなんというかVHS時代のハウツーものみたいなノリが実にノスタルジック。これに安っぽいBGMとかSEがついてたら満点だったんですが、そんなとこで満点取るよりは製品そのものの質でどうぞ。
Kensingtonの動画なんかとは全然違いまして、もうちょい筐体そのものにフォーカスしてほしいと思うところもあるのですが、基本は取扱説明書の動画版でしょうからね。これで正解です。私みたいな人間の話を聞いたところで売上にプラスにはなりません。
また、その電源スイッチはオンオフとは別でレバー式のスイッチも兼ねています。一番上(自分から見て奥)がオフ。真ん中がオン。ここまでは普通のスイッチですが、そこから先(手前側)はレバー式スイッチで、レバーを引くことで独自無線接続とBluetooth接続の切替え、Bluetoothを選択した状態でレバー長押し(長引き)でペアリングスイッチにもなっています。色々芸があって面白い。
このレバー式スイッチはミツミのスクロールレバーのようなものなので、古くからのユーザーにある種の郷愁を呼び起こす機能も備わっています。いずれにせよ、電源のオンオフと接続方式切替は、他のどの機種よりも手軽で扱いやすいと思います。
ひとつ注意点。一度電源をオフにして再投入した際、前回の接続方式を維持してくれない場合があります。実はこれ、私の環境では正確なところがわからず、Bluetoothで繋いでいる状態から電源オフにして、再投入で何事もなくそのままBluetoothで繋げることもあるんですが、独自無線接続に切替わってしまうこともあり、その場合は1回レバーを引いてBluetoothに切替える必要があります。切替が簡単なのが幸いしてほとんど手間に感じることはありませんが、挙動がよくわからなかったので一応記しておきます。OS(Bluetoothホスト)側の事情もあるかも知れません。
読取精度切替スイッチ 兼 低速モードスイッチ
これが本機最大の特徴、かつ、これを希求されている方が居る機能かも知れません。操作球側に設置してあるボタンで、普通に押すと読取精度が800→1,200→1,600→2,000→2,400と、例によって一方通行のロータリー式で切り替わって行きます。この後触れますが減速モードも入れると6段階の精度変更が可能。豪勢です。現在値はステータスランプの点滅数で通知。この辺りは最近の、読取精度変更機能があるトラックボールのお約束ですね。
そして、ポインタ制御速度を最も遅くすることで精密操作に対応する「減速モード」は400cpiらしいのですが、このモードだけは親指側ボタン+拡張スイッチを押すことで発動します。発動すると操作球の先に設置されているステータスランプがピンク色に妖しく発光。この機能はモード解除しない限り持続します。
減速モードの発動は、親指側ボタン+手前側拡張スイッチ、解除は親指側ボタン+先端側拡張スイッチ。現在値がどこにあっても一発で減速モードに突入させるため、他ボタンとの組み合わせが必要になったのでしょう。
このモード切り替え、正確には「親指側ボタンを押したまま、拡張スイッチを押す」ことで発動します。親指側ボタンに元々備わっている機能は読取精度切替なのですが、通常の精度切替は「ボタンを押し、離したときに切替発動」で、押したまま、ホールドした状態では発動しません。ホールドした状態のまま拡張スイッチを押すことで、減速モードの入切を制御するというカラクリです。なんか格ゲーのコマンド説明みたいになりましたが、そうしないとそれぞれ別の機能が発動しちゃうからね。上手いこと収めたもんだ。
その正体
実は本機、IONE ELECTRONIC TECHNOLOGY社の「LYNX-W12BTG」です。こんな種明かししたところでどうなるもんでもないのですが、知ってしまった以上触れざるを得ないので仕方ありません。
サンワさんってな随分と昔から世界各地のトラックボールを買い付けて来ては販売しており、我々物好きの元へトラックボールを届けてくれるトラックボーラーの大先輩でもあります。MA-BTTB1もMA-BTTB179も台湾のメーカー製、現行品ではMA-BTTB130だけが出所不明で実はちょっと知りたい気もするのですが、詮索してもしゃーないのでわざわざ探したりはしていません。ま別にOEMだろうがODMだろうがこっちゃ基本的に問題なく使えるなら大歓迎でございますので、今後とも買い付けよろしくお願いします。ソフトウェアのサポートだけはもうちょいなんとかして欲しいとも思いますが贅沢は言いません。
まとめ
今時の、特に親指トラックボールは競争のおかげもあってか、どの製品を購入しても「右に回転させてるのにポインタが明後日に動く」なんてことはまず無いと思いますし、あったとしても機種全体の不具合ではなく個体差だと思います。少なくともこのサイトに掲載している機種については、まったく使い物にならない機種はありません。また、仮に不具合個体を引いたとしても、メーカーに連絡すれば割と簡単に交換対応など行ってくれることも珍しくなくなりましたので、昔ほど購入前に不退転の決意をする必要はなくなりました。
そんなこんなで本機購入、到着後、早速PCに接続して、このページの編集、撮影した写真の補正やトリミング、動画データの編集、htmlファイルの編集など本機で行いましたが、まったくもって普通に編集出来ています。もちろん手を置いた感じは他機種とは違う本機の感覚ですが、親指型トラックボールとして極端に尖った造りでもなく、極めて普通の感覚。スペック表的にも実際に使用してみた上でも、平均点はちゃんと満たしており、不満点は特に見当たりません。
と、そうなってくると、あとはもう個人的な感覚に合うか合わないか、という話になってしまいます。私の場合はかなり合っている方で、なんだかんだ2週間ぐらい使っていても、私が個人的に親指型に対して持っている苦手意識以外のところで不満を覚えたことはありません。普段使いにおいてはこれでいい。緊急事態において他の機種に登板願う際も、スイッチを簡単にオンオフ出来るので役目を譲るのも実に手軽と、私が運用する上でとても相性がいいと感じています。
しかしじゃあ、皆にとってもそうかと言えばそうでもないのがトラックボールの……という節はもう書き飽きた感ありますが、他の言い回しが思いつくでもなし。それでなくてもメーカー直販限定という販路の細さです。ネット上で直販から購入するような目の肥えたユーザーの場合、他にもっと注目されている機種もありますので、なかなかここまで手が回らないのではないでしょうか。店頭に出してあれば、手を置いてみて、気に入って購入に至る人が居ても不思議ではない機種だと思うのですが。
搭載機能的には、接続先切替の容易さ、読取精度選択の幅の広さという特徴があり、そこに利点を感じる方にはおすすめですが、敢えて本機を選ぼうと思ったとしても購入前に試せないので、勝手にトラックボールが増えて行く病罹患者さんはいいとして、そうでない人にいきなりこれを買わせ……る? スペック表に現れにくい手乗せ心地が良いので、そういう方面を重視する人にもおすすめしたいのですが、こればっかりは実機を試してみるまで解りにくいという。なんか最近まとめでは同じことばかり言ってる気がしますが、しゃーない。そういうもんだ。トラックボールってな。
トラックボールの、使う人の手に合う合わないの判定材料は無限なので、スペック表を見る限り突出したところはないが、とにかく自分の感覚と相性が良かった、ということが起こり得ます。そういう意味でもある程度の種類(数)が市場に存在しているのは大切なことで、本機のような機種が存在することは、候補生も含めたトラックボーラーにとって重要なことです。うーん。そうなんだけど、するとやっぱり実機参照が難しい直販のみってのは、色々厳しいよねぇ。私は気に入っているんですが、その点が惜しい。実に惜しい。
私が購入した際は直販で週末クーポン使って3,500円弱。その価格ならまぁいいかと思える人は、試すだけの価値はある機種だと思います。その結果がどう転ぶかは、ごめん。私にはわからない。
400-MATB155。22年の4月に終売となってしまいました。5ボタン+チルトつきホイール、BTと独自無線の2系統、本体上面で接続方式切替や解像度変更も行えるなど、スペックも豪華な割に価格も安めに設定された良い機種だったのですが、実売1年半ほどで姿を消すことに。以下の動画は販売終了を受けての追悼Getting Over Itです。
実売期間が短かった上にサンワダイレクト限定機だったこともあって、入手されたユーザーも決して多くはないと思いますが、お持ちの方はご存知のことでしょう。大変良い機種であったということを。さらば、400-MATB155。
白眉は後ろから2番目の「マット球」。これだけが艶消し処理が施されたざらざらした球で、当然滑りません。が、滑らないおかげで操作精度が上がります。他の色と違い艶消し球だけは使用感が大幅に変わる、ある種の改造グッズみたいなものです。個人的には大昔のゴム巻きシャフトローラー機のような感覚があって、これはこれで十分使える球だと思います。普段扱っていて「滑りすぎる」と感じる方は試してみるのも一興。一度は販売終了になりましたがユーザーの熱い要望に応えて復活しました。やったね!
一番最後の箱入り娘はエレコム純正の34㎜交換球です。色は赤ですがペリックスの赤とはまた色味が違います。