EX-G PRO(親指操作タイプ)
- M-XPT1MRBK
M-XPT1MRXBK
- 34㎜
- 8
- 有線接続(USB)
無線(2.4GHz)
無線(BT4.0 Class2)
- 単3電池×1
- 500
1,000
1,500
- 3年
ELECOMのPROトラックボール第2弾、EX-G PRO。20年10月現在、据え置き型トラックボールとしては同社製最新型です。競争が激しい親指型なのであまり目立っていない気がしますが、実はかなりの完成度を誇る機種だと思います。
DEFT PROと同じくこちらも型番が「M-XPT1MRBK」と「M-XPT1MRXBK」の2つありますが、通信販売用と店頭販売用で分けられているだけで中身は同じ物だそうです。エレコムさんに確認取りました。これ、本気で検討してる人ほど気になるでしょうから、公式ページにきちんと記しておいたほうが良いと思いますけどねぇ。
本機の外観を動画で。回転台に乗せてただ回しているだけの動画で、視点も固定ではありますが360度見られます。静止画よりこの方が伝わる情報もあると思うので参考にどうぞ。
はじめに
私は親指型を使いこなせない不器用者なので、こちらEX-G PROレビューもそれが大前提になります。一応「EX-G親指操作型(左手用)」を所有していますので、他機種との比較はEX-G左手用を中心に、時々で他機種、親指型旗艦機LogiのMX ERGOなども例に挙げながらの話になるかと思いますが、使いこなせてはいないものの他機種も一通り弄ってきた後ですっかり舌も肥えてしまっていますから、レビュー前の時点で結構ハードルが上がっている気はします。
実機は20年10月に購入しました。20年1月の当サイト立ち上げ時に発売されていた機種の中では、このEX-G PROが最後に購入した機種になります。本当は夏頃に購入する予定だったのですがTurboRing2020(世を忍ぶ仮の姿でOrbit Fusionと名乗っている)が発売されそっちに気を取られていたせいもあり、秋にずれ込みました。
外見
パッケージはDEFT PROと同じ仕様の、マグネット開閉式蓋付化粧箱入りブリスターパックです。PROシリーズということで抜かりはありません。有線接続用のケーブル、単3乾電池が1本、独自無線用のレシーバがひとつに製品マニュアルという付属品。
最近のエレコム製トラックボールには保証書が付属していませんが、購入時のレシートがそのまま保証書になりますし、最近は販売店のほうで購入証明書的なものを発行してくれるケースも増えました。EX-G PROには3年保証が付属していますので、購入を証明できる書類は大切に保管しておきましょう。
筐体表面にはDEFT PROと同じシボ革ふうの処理が施されています。購入以前に写真で比較した限りでは少し違いがあるのかなと思っていましたが、実機を並べてみたところ同じ処理のようでした。質感には好き嫌いあると思いますが私は好きです。実用上も私のような脂性人間にとって有り難いことに、ツルテラ外装のように滑ることもなく、長期利用でハゲ散らかしてみすぼらしくなる心配もなさそうで安心です。
操球感覚
EX-G親指操作型からするとだいぶ操作球が上を向いて露出しています。EX-G親指操作型は、親指側の垂直に切り立った側面にボールを真横から埋めた感じ。対してPROは緩やかな傾斜面にボールが埋めてあり、個人的には昔のTrackManWheelに似ている気がして好感触なのですが、EX-G親指操作型を気に入った方が「ほう、上位版か、買ってみるか」と考えた場合にはどうでしょう、結構操作感違うんじゃないかという気はします。同じ設計思想で上位版として作られたというよりは、名前が同じEX-Gというだけで別の種類の親指型だと思ったほうが正しいような。通常版のEX-Gからの乗り換えや買い増しを検討される方は実機確認をお勧めします。
また、親指をホールドするような形でのサムレストは存在しません。本体は割と素直な、背の低いお椀を伏せたような型ですので、掌の窪みがそのまま沿う感覚です。操作球の制御感覚もいいですね、まったく不都合を感じません。さすが上位機種というか高級機を謳ってるだけはある。
EX-G親指操作型は本体真横の垂直面にボールが埋めてあったので、本体を握って保持すると自動的に親指が操作球に当たると思うのですが、PROは、親指付け根部を本体に乗せて、そこを支点にして操作球とボタンを扱う。握るというよりは置く感じだと。私はこのEX-G PRO型の方が好きです。
全長 | 全幅 | 全高 | |
---|---|---|---|
EX-G PRO | 135.0㎜ | 108.0㎜ | 47.7㎜ |
EX-G親指型 | 124.4㎜ | 94.7㎜ | 47.9㎜ |
メーカー公称の寸法ではPROのほうが通常版より若干ですが背が低く作られています。それでいてフットプリントはPROのほうがだいぶ大きい。巾で14㎜弱、奥行も10㎜強違うとなれば、ひとまわり以上大きい感覚でしょうから、そもそも握る・掴むようには設計されていないと思います。
握る・掴むvs置く・載せる型の違いは、感覚的に気に入る気に入らないへの影響が大きいと思うんですね。個人的には、握る型は手の形が固定されてしまうのでその分負担(疲労)も大きく、それではトラックボールの利点を消してしまいかねないと思う一方で、「置いたらあとはご自由にどうぞ」だと、どう使えば上手く扱えるかわからない、という面もあると。そこの試行錯誤を、私なんかは喜んでやっちゃうクチですが、そんなことに時間をかけたくない人が居るのもわかる。というか、トラックボールはただ弄っているだけでも楽しいという変わった特徴がある入力機器ですが、所詮は入力機器ですから、入力行為が快適に行えなければ、ナンボ弄るのが楽しくても本末転倒ですし、そこを放り出して楽しいとか快感だとかで評価しても仕方がありません。
TrackManWheel(白)は、2020年現在のトラックボール界の主流、M570型の原型ですが、M570は小型化した結果、握る型に寄っていると思うので、この「背が低く広い置く型」は、後継が途絶えて久しい型じゃないかと思います。EX-G PROはその後継が途絶えていた線に現れたトラックボールのような気がして、HUGEもそうでしたが、エレコムさんはそういうところを敢えて狙って製品作ってるような気もします。
接続方式
接続方式は有線/独自無線/Bluetoothの3種対応。センサー感度もDEFT PROと同じ仕様です。この3種対応っていくらでもありそうですけど、結局このエレコムPROシリーズだけですね今のところ。私はBluetoothでしか使ったことありませんが、どれでも使えるおかげで購入前に運用スタイルで悩む必要がありませんから、あまり言及されていない気もしますがエレコムPROシリーズのとても良い点だと思います。
ボタン
ボタン内部にはオムロン製高耐久スイッチが採用されており、押した感覚は昔ながらの良いスイッチのそれです。最近は静音でないと駄目な人も居るようなので、その需要に対してはどうかと思いますが、私みたいな古い人間にはまったく違和感のない感触。いいですね。いいです。
ただ、これは私の好みの話ですが、EX-G通常版もそうだったように、ボタン部品は筐体天面部品と一体化した板バネ風の例の作りです。表面にシボ革風加工が施してあるおかげで滑る感覚もありませんから実用上はまったく不都合ありませんが、私はこの切りっぱなし風の作りがなんかスカスカしていてあまり好きではありません。実際に設置して使用する上では自分では見えないのでまったく問題ないのですが、写真撮影して見るたびに、ああ、ここが普通のボタンだったらなぁ、と思ってしまうところはあります。見た目の好みの話です。機能的にはまったく問題ありませんよ。
EX-G型運指
私は親指型を弄る際、マウスでもそうですが、左クリックを人差し指、ホイール操作を中指、右クリックを薬指という割当で扱います。そのいつもの感覚で薬指で右クリックすると、EX-G PROの場合は右クリックの更に右側のボタン(エレコムマウスアシスタント上では7番、ユーザーズマニュアル上では6番のボタン)を押してしまいます。
EX-G PROの左右クリックボタンとホイール周辺の造りは、EX-G親指型(M-XTxxRBK)の元となったEX-Gマウス「握りの極み」を継承しています。加えてEX-G親指型(M-XT2xRBK)には減速機能が搭載されているので、薬指は右クリックではなくその右隣のボタンを制御担当させるのが適当な気がします。
EX-G PROは比較的大柄な機種だと思いますが、写真の通り、左右クリックとホイール部はEX-G親指型とほぼ同じ造り。PROは薬指側が長くなっていますが、置く型なので人によって薬指側の定位置の振れ幅が大きくなる、それを吸収するためじゃないかな。大型化した戻る進むボタンも筐体の外側へ向けて大きくなっているので、左右クリックとホイール操作の基本的な感覚はEX-G親指型もPROもほとんど変わりません。
このEX-G型は、左クリック人差し指、ホイールと右クリックを中指で制御するとよりスムーズに扱えるように思います。この感覚で操作に慣れると、右クリック右横のボタンも楽に制御出来て、M-XT2の減速機能も自由に使いこなせる。減速機能非搭載のM-XT3型でも、薬指が有効に活用できればそれだけ任意の機能割り振りも捗るでしょう。
EX-G型のトラックボールをなんとなく引っ張り出して使っていると、身体が馴染むまでの間はこの薬指周りの役割分担がガチャガチャするのですが、EX-G型の運指を意識して扱うとやがてしっくり来る。普段はほぼ使う人の感覚に丸投げされている「どの指をどう扱うとより具合が良いのか」を考えるきっかけになります。楽器の運指みたいなものですね。
エレコムが暗に提唱しているように思えるEX-G型運指は、多ボタンを駆使したい人にはいい形だと思います。いや、自然とそうなっている人も多いでしょうけど、私はほら。最初に言ったように左人差し右薬人間なもので。左クリックボタンも狭めなおかげで人差し指左横の戻る進むボタンにも簡単に指が届いて押しやすい。DEFTと似たような感じでいいですね。今にして思えばbitraの親指型もこの形だったな。私が多ボタンを使わない人間なので正確なところが解らないのが残念ですが。
スクロールホイール
見た目はDEFT PROのそれと同じように見えましたが、弄ってみるとだいぶ違いました。EX-G PROのホイールはカリカリの手応えが弱目に設定されており、心なしか画面上のスクロール感覚もこっちのほうがスムーズな気がします。恐らく何某かの改良が行われ……ているにしては、DEFT PROとそんなに発売間隔に差が無いんですよね。2ヶ月しか空いていません。
例えばDEFT PROを発売したあとに反響を受けてこのホイールに、というのは時間的にちょっと厳しいんじゃないかとも思うので、EX-G PROのホイールは最初からこういう感触にするべく開発されたのではないかと想像しています。当然、DEFT PROも同じで、毀誉褒貶の激しいホイールですが、あれはあれで、ああいう感触にしたくて作ったものなのだろうと。
私はどちらのホイールでも実用上は問題を感じていませんが、どちらが好きかと訊かれたら、EX-G PROのホイールに軍配を上げます。MX ERGOのプレシジョンホイールには敵わないまでも、善戦している、試合になるぐらいの出来はあると思います。実際、プレシジョンホイールを目標に据えて開発されたんじゃないかなぁ、という印象です。
ただ、購入したのが最近ですからね。発売当時の、昔のロットは違ったりしたかも知れませんし、販売中も微妙に改良など行われている可能性もゼロではありませんので、なかなか難しいですね。断定はできませんや。
操作球取出口
操作球取出口は小さめですが、なんとか小指の先が入って押し出せます。私は手は小さいですが指には肉もついてて太いんじゃないかと思うので、私の指が通るなら多くの人の指も通るだろうとは思います。最小でも小指の先で押し出せる程度は確保しておく必要があるという考えが、操作球取出口としては珍しい四半円形に現れているのではないかと。正しい認識だと思います。
トラックボールはハードに使えば使っただけ(個人差はあるにせよ)清掃の頻度も増えます。操作球取り出しに指以外の道具が必要なトラックボールは、私的にそれだけで落第です。
まとめ
EX-G PRO。エレコムの、2020年秋時点での据え置き型トラックボール最新機種なだけあって、欠点が少ない優秀な機種だと思います。機能的にこれといって不満も見つからず、私的には見た目の好き嫌いぐらいしか不満を述べる点がありません。常用していないので正確には不明ですが電池がどれぐらい持つのか、ぐらいですかね、気になる点は。どなたか常用してらっしゃる方が居たら是非教えて下さい。
これで、探せば定価よりもだいぶ安い価格で入手可能ですから、コストパフォーマンスは異常に高いと思います。物理的な故障に見舞われたとしても3年保証も付いてますからね。恐らくですが普通に優秀なため不満の声もほとんど挙がることなく、結果として埋もれてしまいつつある機種なのかなと。あばたもえくぼとか悪名は無名に勝るとか色々言いますが、トラックボールってどこか尖っていた方が話題になる気はしますからね。
いずれにせよ、最低限の品質は軽くクリアした製品ですので、後はもう本当に自分に合うか合わないか、感覚の話になると思います。EX-G PROは、握る型ではなく置く型だと思うので、その点注意が必要だとは思いますが、EX-G親指型からの乗り換えや買い増しを検討されている方は特に、実機確認することをお薦めします。同じシリーズと位置づけられているだけにちょっと厄介な気はしますが、そこを間違えなければ欠点の少ない良い機種で、なんというか、さすが「PRO」という印象です。これからするとDEFT PROはちょっとPROっぽさが少ないかなぁ。どっちも悪い意味では言ってないですよ。
EX-G PROもDEFT PROと同じで、AmazonではAmazon公式とマーケットプレイスの2箇所で販売されています。店頭販売用と通信販売用で型番が違うので別の製品として扱われているようですが、中身は一緒だと思います。多分。
マーケットプレイスはだいぶ安いので、特段の事情がない限りはマーケットプレイスで購入する方がお得です。ただしあくまでマーケットプレイスでの販売ですので、初期不良品への対応や送料等は店によって異なりますから、よくご確認の上でご購入下さい。
保証対応はどのみち自分で直接ELECOMに申請することになるので、その点は購入窓口での差はありません。エレコムのPROトラックボールズは3年保証も製品の大きな魅力のひとつだと思いますので、購入証明が長期間保存できるAmazonはこういう時本当に便利です。
白眉は後ろから2番目の「マット球」。これだけが艶消し処理が施されたざらざらした球で、当然滑りません。が、滑らないおかげで操作精度が上がります。他の色と違い艶消し球だけは使用感が大幅に変わる、ある種の改造グッズみたいなものです。個人的には大昔のゴム巻きシャフトローラー機のような感覚があって、これはこれで十分使える球だと思います。普段扱っていて「滑りすぎる」と感じる方は試してみるのも一興。一度は販売終了になりましたがユーザーの熱い要望に応えて復活しました。やったね!
一番最後の箱入り娘はエレコム純正の34㎜交換球です。色は赤ですがペリックスの赤とはまた色味が違います。