DEFT

ELECOM
DEFT(赤球無線版)上からDEFT(赤球有線版)上からDEFT(黒球無線版)上からDEFT(黒球有線版)上から
型番
M-DT2DRBK-G
型番
M-DT2URBK-G
型番
M-DT1DRBK
M-DT2DRBK
型番
M-DT1URBK
M-DT2URBK
操作球径
34㎜
ボタン数
8
接続方式
2.4GHz独自無線
接続方式
USB有線接続
接続方式
2.4GHz独自無線
接続方式
USB有線接続
給電方式
単3電池×1
給電方式
USB給電
給電方式
単3電池×1
給電方式
USB給電
読取精度(カウント)
750
1500
保証期間
6ヶ月

市場からフィンガー型が見放されていた2015年。前年に発売したEX-G親指型で手応えがあったのでしょうか。「器用」の名を冠して登場したのがこちら、DEFTさん。右フィンガー型の新定番と呼んで差し支えない機種だと思います。

幸塚名物全周動画でございます。気になる場所など御座いましたら動画を止めて嫌になるまで眺めて下さいませ。動画のDEFTは赤球が載っていますがエレコム純正交換球に載せ替えたものです。

いそがしい現代人向けの

DEFT 幸塚電撃寸評

Blitzkrieg Review

文句のつけどころがない優等生、と言い切ってしまうにはすこーし癖もある機種ですが総じて優秀で、21年現在フィンガー型トラックボールの定番機と言って差し支えない機種だと思います。ホイールクリックも含めてボタン数8、スクロールホイールにはチルトも搭載しており、多ボタン派も納得のスペックでしょう。

小柄なトラックボールですので、小さいと感じる人も居るだろうとは思います。それでもモンゴロイド相手なら概ね問題なさそうと思いますが、身体の大きさのみならず末端の大きさも人それぞれですし、掌の大きさや指の長さも違うでしょうから「自分は手が大きい」という自覚がある方には実機確認をお薦めします。

女性の場合、一般的に手(掌)の幅は男性より小さい(狭い・細い)かも知れませんが、長さ、全長方向は決して短くないような気もします。掌の幅が狭い方向の形ならDEFTを扱うのにそんな不自由はしない……んじゃないかな。想像ですけど。いずれにせよ男性より女性のほうが、より安心して扱える大きさのような気はします。

メーカー希望価格はともかく、実売価格では安価での入手も可能な機種ですので、これぐらいなら四の五の言わずにまず買って試してみるのも一興、それが可能な実売価格も含めて、本当に優秀な機種だと思います。

DEFT ホイール側

後段でもごちゃごちゃ言ってますがそれは誰も読まないと仮定して、DEFTには20年夏に発売された赤球搭載版があります。もし貴方がトラックボール最初の一台としてDEFTを検討している慧眼の持ち主なら、価格は少し高くなりますが赤球版を購入した方が良いでしょう。あとはUSBレシーバ(ドングル)タイプの独自無線版と有線版の違いです。使用目的や予算に合わせてお好きな方をどうぞ。

そうではなく、34mm球を搭載したM570やM575など、エレコム社製品以外のトラックボールをお持ちで、それとは別でDEFTを検討されているのであれば、操作球を入れ替えて使うことが可能ですので、黒版でも構わないと思います。純正黒球の回転感覚に違和感を覚えるようなら、既存の機種から操作球を拝借して試して下さい。

「難しいことはどーでもいいからなんか一つお薦め挙げろ」という大将型の器をお持ちの方は、赤球の無線版(M-DT2DRBK-G)をどうぞ。このページ冒頭の製品写真とスペック欄で最初に表示される型がそれです。

どれを選んだにせよ「物理的に手の大きさが収まらなかった」というケースを除けば、まずまず性能を発揮してくれることと思います。


DEFTのことをもっと知りたい!

DEFT 幸塚通常レビュー

ELECOM DEFT Review

人差し指操作タイプ

DEFTさんは、メーカーのエレコムによれば「人差し指操作タイプ」とのことです。

実際、小型の操作球を搭載しているので人差し指一本で制御することも可能なのかもね、とは思いますが、私は人差し指と中指で操作球を扱っています。私の感覚では出来れば薬指も使いたいぐらいですが、物理的にそれはちょっと苦しいので、まぁ普通に考えて人差し指・中指操作でしょう。特にフィンガー型初心者はまずこの二本指での操作を試して欲しいと思います。いきなり人差し指一本でというのはかなり難易度が高い、というかDEFTに限らず、私はトラックボールを人差し指一本では満足に扱えませんし、それで扱おうと思ったことも今日まで一度としてありません。

エレコム DEFT パッケージ「人差し指操作の常識を変える」

エレコムさん、パッケージ上で「人差し指操作の常識を変える」と宣言されてまして、大きく出たなと思わなくもないですが、実際、結構常識覆された感覚あるので看板に偽りはないと思います。ただこの常識ってのが何を指しているのか。私は「径が小さい球でもフィンガー制御行けまっせ」ということだろうと理解していますが、実際のところはどうなんでしょう。まさか本当に人差し指一本での操作を想定してるとか。

DEFT操作感覚

親指型の標準サイズとなっている34㎜の操作球を搭載したフィンガー型。ありそうで無かった構成のトラックボールです。つや消し黒の本体も相俟ってか、フィンガー型への古いイメージを持っている人間からすると、随分小さく見えます。イメージだけでなく実際にも割と小型で、私のような手の小さい人間にはいい具合です。大型の高級マウスには下手するとDEFTよりフットプリントが大きい機種もあるんじゃなかろうか。

そして、人差し指・中指で制御する34㎜操作球の具合はどうかというと、やはり先入観は捨てるべきですね。かなり良好です。もちろん小さい操作球ですから、例えば画面の端から端へ一気にポインタを移動させようとした場合に小さい分余計に転がさないといけない忙しなさはありますが、スペック表を見て想像する感覚からすると「これで特に問題ないよ」という程度には楽に扱えます。

分解能を切り替えて最大の1500カウントにすると、フルHDモニタ解像度の端から端へのポインタ移動させるのに操作球1/3回転弱でお釣りが来るようになりますが、こっちはこっちで細かい制御が難しくなるので、私の現在の感覚では750カウントで動かすほうが合っています。ただ、1500カウントに固定してしばらく弄っていれば慣れるだろうとも思います。この辺はトラックボールの性能というより、個々人の適応性能次第かと。いずれにせよ、34㎜操作球でもフィンガー制御で問題ないやん、という驚きがありました。

贅沢を言えば初心者向けにもう一段階遅い(低い)設定、400カウントぐらいがあれば良かったかなぁと思ったりもしますが、一応はゲーミンググレードのセンサーを搭載しているそうなので、精度的には良いものなのでしょう。私の指は低解像度フィンガーなのでその辺はぜーんぜんわかりませんけど。

ボタンレイアウトと感触

フィンガー型としては小ぶりなDEFTさんですが、ボタン数は8。全体的に小ぶりな作りなのによく詰め込んだものだと関心します。また、すべてのボタンはどれもキチンと設置されており、安っぽさも感じません。質感は悪くないです。

特徴的な右クリック

写真で見ても妙な形をしている右クリック、ピアノの黒鍵のようですが、これ、見た目以上に押しやすいです。いや、押しやすいと言うと語弊があるかな。「右クリックを掌るスイッチ」として扱いやすく出来ていると言うべきか。通常のボタンであれば上から押すしか反応させる手はありませんが、この右クリックボタンは立体的な造りをしているおかげで様々な方向から反応させることが可能です。

DEFT 右クリックボタン周辺1
DEFT 右クリックボタン周辺2
DEFT 右クリックボタン周辺3

中指を操作球と右クリックの間へ嵌め込むように置いた状態から、中指先に少し力を入れるだけでクリック成立。少し右横へズラすような動きでもそれを受ける形になっているのできちんと反応します。一番尖っている右側の角に薬指先の中心を置いて構えるのもいいですね。ピアノの黒鍵も上から押すだけでなく様々な方向から様々な指でアクセスしますが、ここの構造はKensington製EMシリーズのボタンも思わせる作りで、色々と工夫されている印象のDEFTの中でも白眉じゃないかと。こういう工夫って最近はあまり見かけなくなった気がしますが、それだけ製品が成熟してきた証拠なのでしょう。その点トラックボールにはまだまだ開拓の余地が残っていますよと。スイッチもオムロン製が使われているそうですから、耐久性にも期待できるでしょう。

この右クリックが壊れるという話も耳にします。確かに華奢なのでそういうこともあるかもねとは思いますが、指を載せた重みで反応させるぐらいの感覚で扱えば、内部のスイッチにも優しいですし、我が身への負担も減ります。巷には親の仇みたいにクリックボタンをぶっ叩く人、改造されたての本郷猛みたいに力加減がわからず握り潰す勢いで扱う人も居て、まぁそういう扱い方をしても「右クリック」という目的が達成出来ればそれでいいんですが、ただ、その積み重ねとして肩が凝ったりだとか、相手がDEFTでなくても部品が壊れてしまう可能性は高くなるでしょう。何を隠そう私自身がよくボタンを壊す人間ですので、そのへんは自戒も兼ねて。

また、私の場合ですが、普段は相手がマウスであろうがトラックボールであろうがほとんど使うことのない人差し指左横のボタンを、DEFTの場合は使えています。感覚的な話で恐縮ですが、筐体が大きい機種でここのボタンを扱おうと思った場合は意識して人差し指をそちらへ動かす必要がありますが、DEFTは普段から当該ボタンに人差し指が「触れている」程度には近くにあるので、押すのが苦にならないのだと思います。また、触れているからと言っても、意識してクリックしない限り誤爆が発生したことはありません。

とにかくボタンを「搭載されているだけ全部使う!」という人であれば、DEFTは筐体がコンパクトなおかげで各ボタンに指が届きやすく、おすすめだと思います。全体的にコンパクトでよくまとまっていて、男性と比較すれば手が小さくて当然の、女性にもお薦めできる機種だと思います。

一方で、手が大きい人、指が長い人にとっては窮屈なレイアウトに感じられてしまうこともあるでしょう。「自分は手が大きい」という自覚のある人がDEFTを検討する際は実機確認を特に強くおすすめします。そうでなくても実機確認はした方がいいですが、したいと思ったら即できるわけでもありませんからね……。

ホイール周り

ホイールは小型(薄型)のものが搭載されています。カリカリ感は普通。細めのホイールで、最近の小型マウスに似たようなサイズのホイールも見受けられます。小さいと言っても径はある程度は確保されているようなので、回しにくさはありません。ホイールクリック、チルトに関してはどちらも若干硬めかな?

DEFTホイール巾

DEFTのホイール巾。だいたい4㎜前後でかなり細身です。平べったいホイールには昔某トラックボールで負わされたトラウマがあるのですが、傷口に塩をすり込むことにならないよう祈るところ。本当言うとホイールの直径も測りたいんですが、分解しないと無理なので……。そのうちやろうとは思いますが買ったばかりのトラックボールを分解するのは忍びなくてですね。

DEFT PROホイール巾

比較にDEFT PROさんにお越しいただきました。DEFT PROのホイール巾は70㎜前後。DEFTホイールのおよそ1.75倍ですから、親指の指先でも体感出来る違いがあります。でも、だからって扱いにくいとかはないですよ。「ああ、なんか細いな」という程度です。

m557ホイール巾

比較にマウス界からm557さんにお越しいただきました。こちら、63㎜前後と。写真撮影に苦労してるので寸法は多少の誤差があります。m557は小型のマウスですがそれでもこのぐらいの巾はあるということで、DEFTホイールの細さを察していただけるかと思います。

難点と言うほどでもありませんが

良いことばかり言ってると信者乙されそうなので少し懸念点も。この小さな筐体に8つものボタンを搭載し、それぞれちゃんと使えるという奇跡のような配置となっていますが、詰め込んだおかげで若干窮屈なところもあります。キチンとした姿勢で右手を載せて使用する分には何ら問題を感じませんが、本体が小さいおかげで、机上から膝上に移動させて動かす、みたいなことをやっちゃうことがあり、そういう場合に左クリックが「あれ?」となることがあります。クリック時に芯を食う場所が、見た目よりも狭いとでも言いますかね。

左クリックボタンは横長の板バネ式ですが、外見のイメージよりクリック可能範囲が狭く、正しい姿勢でホールドしている際はまったく問題ありませんが、上空に掌を浮かせた状態から指先だけを垂らしてクリック、みたいなちょっと普段と違う押し方をしようとすると、うまく反応してくれなかったりします。ボタン部がほぼ同じ構造のHUGEも同じような癖があったりします。

ただ、それはイレギュラーな使い方をした場合の話で、基本的にはきちんと据え付けて使用するものですから、デメリットと呼ぶほどのことでもありません。「そういう傾向があると思うよ」程度のことです。後発のDEFT PROは、あれはあれでまた癖のある機種ですがボタン部品はすべて独立しているので、妙な姿勢からボタンを押してもまず問題なく反応してくれます。それと比較するとちょっと融通は効かないかもね、という感じはありますが、なんせいい具合に小型なおかげで、こんなことに気づいてしまう程度には、持ち出したり移動させて適当な姿勢で扱いたくなってしまう、良い機種の証拠でもあると思います。同じ癖があるHUGEは本体が大きいため、持ち上げて膝上に移動させて、みたいな使い方をするケースも少ないので、この癖が表立って現れることもほぼありません。

DEFTさんを斜め後方から。ここから見ると往年のフォルクスワーゲン・ビートルみたいな雰囲気あります。

ベテランのDEFTに見る経年変化

ベテランDEFTと新人DEFT 比較写真1

先頃、半ジャンク品として売りに出されていたDEFTを安価で入手しまして、試してみて思うところがあったので追記。入手した個体は購入後およそ5年経過しているとのことで、だいぶ初期の型でしょう。前のオーナーさん購入からずっと使用されていたそうですが、ボタン類に不具合は発生していません。丈夫な個体ですね。ただ、手持ちの比較的新しいDEFTと比べると、ホイールの感触がちょっと経年劣化してる……かな? みたいな感覚があります。

なんと言ったらいいかな。ホイールを回した感じが少し粘っこいと言うか。たまたまこの前にEX-G PROのページを弄っていたもので、またぞろEX-G PROのホイールは軽いですから、その落差で私の感覚がニュートラルじゃないのも影響あるとは思いますが、手持ちのDEFTと比べてもちょっと感触が重い気がします。また、やはり少しカタつきます。まぁこれは5年も使えば当然だと思いますし、壊れているわけではなくちゃんとホイールとしての機能は生きています。ずっとその個体を使っていれば気づかないレベルでしょう。おまけに元々がチルトホイールですからね、これは仕方がない。

その代わりと言っちゃなんですが、操作球の動きは軽快そのもの。ほぼ新品状態の私のDEFTより軽快です。やっぱ慣らし効果みたいなものはあるんですね。

この中古の個体、元々は分解(可能なら修理も)しようと思って購入したのですが、いざ到着してみれば割と普通に動いており、得難い「5年のキャリアを誇る個体」なので、経年変化を見るのに役立っています。

ベテランDEFTと新人DEFT 比較写真2

中古ジャンク扱いで数百円で入手したDEFT(左)と、既有のDEFT(右)には混乱防止にペリックスのゴールド球を載せています。5年使用したというベテランのDEFTはパームレスト部にアタリが出て少しテカりが。こういうの、いいですね。ここだけでなく全体的にアタリが出ていますが、変な塗装処理なども施されていないので経年変化が味になります。

細かい使用環境までは窺えませんでしたが、発売の割と早い時期から2020年師走まで、ボタン類に問題を起こさず働いたということで、高耐久スイッチの採用は伊達じゃないようです。一方で右クリックがすぐ壊れるという話も耳にしますが、まぁ、壊れるときは壊れます。なんでもそうです。

DEFT PROとの関係

DEFT PROとDEFT 並べて上から撮影

名前から察するにDEFT PROはDEFTさんの上位機種。そう思っていたことが私にもありました。しかし実際のところはどうでしょう。確かに基本的なボタン配置などは似ていますが、トラックボールとユーザー間に結ばれた感覚は非常にデリケートなものです。DEFTを気に入った方が「上位機種なんでしょ?」とDEFT PROに手を伸ばしたとして、必ずしも望む結果が返って来るとは限りません。同じことはEX-G親指型と同PROの間にも言えるんじゃないかと思います。

私の実感では、この両者に共通しているのは「右フィンガー型」という点だけ。それぞれに特徴のある別の機種で、そこにHUGEも加えて、ELECOM社製フィンガー型トラックボールズ、小(DEFT)中(DEFT PRO)大(HUGE)ぐらいのノリで考えておいたほうが、不幸な出会いを産まないでしょう。

ただこれも小中大と分別すると「じゃ一番中庸っぽい真ん中に」と考える人が居そうですが、この3機種の中では中球のDEFT PROが一番扱う人を選ぶ機種じゃないかと思います。

私は現在DEFT PROをメイン機にしています。DEFT PROは、ポインタを操る性能やボタンの感触等にはまったく不満ありませんが、それ以前の段階の、手を置く際の感覚、位置調整が気難しいトラックボールで、ユーザー側がDEFT PROに合わせる必要がある印象です。一方でDEFTはDEFT側がユーザーに合わせてくれるというか、やっぱなんかこう色々と当たりが優しい気がする機種でして、自分が使う場合はともかく、他人に薦めるとなるとどうしてもDEFTの方を推してしまいます。

DEFT レビューまとめ

小ぶりな筐体、フィンガー型にしては小さい操作球。扱っていて「なんかこの感覚、初めてじゃない気がするんだけどなぁ」と考えていたのですが、ページをまとめていて思い出しました。かつて私も愛用していた「QBall」です。QBallを愛用し、そして死別に終わったであろう多くのユーザーで、今でもトラックボールに未練があるQBallやもめは是非、DEFTを試してみて下さい。QBall最大の特徴であった小型の操作球+ベアリング支持というあの操球感覚にはさすがに及びませんが、その他の点はなかなか似た感覚を持っていると思います。

もちろん、はじめてトラックボールに興味を持った方にもお薦め出来ると思います。このページを更新するまでDEFTをお薦めには入れていなかったのですが、一時期は下落傾向にあったDEFT PROの実売価格が高止まりしていることもあり、DEFT PROをおすすめから取り下げてDEFTを推挙しようと考えています。そのぐらい、初心者が最初に手を出すのに、価格と性能のバランスが取れたトラックボールだという認識です。

また、本文でも少し触れましたが女性にもお薦めできる大きさだと思います。私が使ってみた限りでは欠点らしい欠点は見当たらず、強いて言うなら接続のためにUSBポートがひとつ埋まってしまうことと、あとは「手が大きい人にはどうだろう?」という想像上の不安しか思いつきませんでした。

この完成度で価格はPROの半分ですから、保証期間が6ヵ月しかなかったとしても、まぁ、納得です。出来ればM570Tのように追加出費すると保証期間が延びる的なサービスを追加してくれるとより安心ではありますが、ELECOMさん、その辺なんとかなりませんかね。例えば、スイッチをすべてオムロン製にして接続方式にBluetoothを加え、保証期間を伸ばしてその分価格を上乗せした機種を(本来それがDEFT PRO名乗るべきと思いますが)DEFTとかそういう名前で発売するとか。

とにかく、ボタン類はすべて別パーツとして取り付けてありますし、筐体を持ち上げて軽く振ってみても(操作球が浮く音は別として)カチャカチャと安っぽい音もしません。本当にいい機種です。おすすめです。

インターネット老人会員が贈る

DEFT 幸塚針小棒大評

機種レビューは上までで終了しまして、ここからはDEFTという機種を取り巻く環境などについて、色々と思うところを述べます。21年現在、「DEFT」で検索すると普通に「DEFT PRO」を取り扱う内容の方が多くヒットしちゃったりで、web世間では後発のHUGEとDEFT PROに興味の多くが移っているように見受けられます。

確かに発売から丸5年が経過し、世間的には古い機種という印象もあるのでしょうが、ことトラックボール界においては5年なんて「ようやく試用期間が終わったかな」ぐらいのものです。また、後発の機種が続いてくれたおかげで比較して見えてくることもあります。

エレコム DEFT パッケージ外観

DEFTの存在意義

冒頭にも述べた通り、風前の灯だったフィンガートラックボール界に、一筋の光明として降臨したのがDEFTさんです。その後、HUGE、DEFT PROと連続してフィンガー型トラックボールが誕生したのもDEFTあってのことでしょう。つまり本機は、私のようなフィンガー型スキー人間にとって「中興の祖」と呼びたくなる重要な機種なのです。

ま実際に中興が成るかどうかは、今後製品とユーザーが増えるか否か次第の道半ばだと思いますが「もしこの世にDEFTなかりせば」を考えた場合、本機の存在はとても大きく、2020年代の右手用フィンガートラックボール定番機と呼ばれる資格を有している数少ない機種だと思っています。

ただでさえ選択肢が少ないフィンガートラボ界に彗星の如く現れた期待の新球というだけでも蝶よ花よ扱いをしたくなるのが正直なところ、その事実だけでもエレコム本社がある大阪へは足を向けて寝られない上に、日本メーカー製、オラがクニのトラックボールですから、レビューに当たる際も心情的に下駄を履かせてしまいがちです。先に触れた中興の祖感も含めてある種の湿った感情心理は間違いなく作用していると思うので、予めそこは念頭に置いた上でこの針小棒大評を読んでいただければと思います。

つまり私の言うことは決して公平ではありませんよと。

とはいえそのホームタウンディシジョンを極力排除して見ても良くできた機種だと思いますし、フィンガー型の新定番という私の評価は変わりません。なんだかんだ発売から既に5年が経過していますが、致命的にどーしようもないという評価は耳にしたことがありませんし、悪様に罵っているような評価が存在したとしても、そういうのは機種側でなく評価を下す側に何らかの不具合が発生しているケースだと思いますので、一定以上の水準はクリアしているし、ある程度の耐久性も実証されていると見て良いと思います。「自分の感覚と合い、使い始めることが出来さえすれば」最長で5年分ぐらいの運用実績はあると考えて良いでしょう。

加えて、ネット通販界での実売価格もおよそ3千円前後と、比較的お安い価格帯にあります。まぁそれでも1千円台のマウスしか購入したことがない人からすれば目玉が飛び出るような高額製品に見えるかも知れませんが、手腕への負荷軽減代だと思えば、どうでしょう。安いもんだと思いませんか。人体の部品って、一度壊すと買い替え効かないことが多いですよ。

初見の印象

発売当時「うぉぉぉおおおい人差し指型か!」と驚いたトラックボーラーが多数居たであろうと想像します。私も驚きました。純粋な新型という意味ではもう長いこと存在すらしていなかったに等しい、多ボタン搭載フィンガー(人差し指)型の完全新型。EX-Gに倣い無線型と有線型の併売。なんでしょうね製品写真も心なしか気合入ってる気がします。マットブラックを基調とした精悍なたたずまい! 有線がいいいや無線がいいとうるさい連中も「好きな方を買え」で黙らせちゃう! そしてスイッチにはオムロン製採用と来たもんだ。長いこと待ち望まれていたスペックではありませんか!

しかし、しかし。搭載されているボール径を知って「うぅぅぅん……ぅん……」となったトラックボーラーも多いことと思います。34㎜は、フィンガー型には小さいんじゃなかろうか。ELECOMさんったらトラックボーラーをジェットコースターに乗せるのがお上手で。

ところが、現物を使用したり、後続の機種や開発情報なんかが出てくるにつれ、色々と「私が間違っていました」という事実が明らかになって行くわけです。

未入手時の印象

ELECOMさん、気合い入れてたんでしょうね。こちらDEFTやEX-Gは量販店に行けばデモ機が置いてあることも珍しくなく、ああでもないこうでもないと撫で回していました。私の感想としては……と言ってもデモ機を弄った程度の当時の印象ですが、やはり34㎜ではボールが小さいと。操作球の露出も少ないので、人差し指以外の指を添えるスペースも少なく、部品共通化させてコストダウンを図ったなとイヤ〜な見方をしていました。

「国内メーカーのトラックボールねぇ……」という印象は、古くからのPCユーザーであればあるほど持っていたことと思います。とはいえ時間の経過とともに中華製造品も多少マシにはなったという印象に変化しつつありましたが、メイドインジャパンが粗悪品の代名詞から一応ちゃんとした製品と認識されるようになるまで四半世紀ほどかかったとして(バック・トゥ・ザ・フューチャーのドクとマーティの会話参考)メイドインタイワンは言わずもがな、メイドインチャイナも世に出てそれぐらいの時間は経過しています。普通に考えれば成長速度は20世紀より早くなっているでしょうし、国内メーカーの意識も変わったのでしょう。その気配は00年代末頃にサンワサプライが発売した複数のトラックボールで見て取れたと思っていましたが、EX-G親指型以降のエレコムトラックボールはですね……未だに昔の外車信仰みたいなこと言ってる古くからのユーザー。まぁ、騙されたと思ってひとつ買ってみない。

恐らくですが市場で売れていると言えるトラックボールは親指型だけだったでしょうし、実際ELECOMさんも最初に発売したのは親指型だったわけで「フィンガー型はそこそこ大きいボール搭載してこそでしょ!」なんていうのは、私みたいな小姑がいの一番に考えることですからね。

EX-G TRACK BALL MOUSE 開発者インタビュー

最初にこのページを作成した際には存在を知らなかったのですが、ELECOMさんのトラックボール開発者インタビューが公開されています。それによると、開発に当たったデザイナーさんは、EX-Gマウスの開発で得たノウハウをもっとニッチなところで活かしてみたかったとのことで「隠れトラックボーラーだった開発者がマウスで結果を出せたので、満を侍して」みたいな話ではないそうです。そうして開発した結果現在はトラックボーラーになったという美しいオチもついているようでちょっと感動しましたが、結果的にかも知れませんがそれ(トラックボールへの知見がない状態で開発に臨んだ)で正解だったと思います。こういうのは愛好家の意見を聞いたところでロクなことになりません。ソースか。かつて「さよならジュピター」という映画があってだな。例えば私みたいな了見の狭い人間が開発に口を出していたら、開口一番「ダメだダメだ。そんな小さな球じゃダメだ」と言い出したに違いありませんから、その時点で現在のDEFTは生まれ得なかったわけです。

特にこの、トラックボール界の中でもフィンガー派の世界は、MicrosoftのTrackballExploler終売以降、DEFT登場までの10年近くの間これといった定番製品が存在せず「ぼくのかんがえたさいきょうのとらっくぼーる」像だけが肥大化した結果、この項の冒頭、発売当初に私が感じた懸念めいたものに化けて行ったわけです。実にお恥ずかしい話ですが、こうして晒し者にしておけば、あるいは他山の石となることがあるかも知れません。

DEFT(赤玉無線版)

DEFT(赤玉有線版)

小球搭載フィンガー型として誕生したDEFTも齢5を数え、リニューアルというか改良というか、なんかよくわかっていませんがとりあえず赤玉になっただけでもだいぶ雰囲気が変わりますね。赤玉版の登場で実売価格もちょっと持ち直していますが、それでも比較的お求めやすい価格でありがた……いと思うのはトラックボール好きだけか。エレコムさんには「トラックボール販売が好調で増収増益」みたいなことになって欲しいですし、御新規さんには1円でも安く入手して欲しい。人生と書いてままならないと読むものですが、なかなか上手くは行きませんことよ。

DEFT(黒玉無線版)

DEFT(黒玉有線版)

DEFTには、M-DT1DRBKとM-DT2DRBKといった調子で2つの型番があります。前者は店頭等で販売されている通常パッケージ版、後者が通販用の簡易パッケージ版。価格は変わらず。中身も同じもののはずです。この簡易パッケージ版はEX-G親指型にもあるはずです。私が購入した左利き用EX-Gはそうでした。

DEFT以降の同社製トラックボールは結構気合の入った化粧箱に入れて販売されているので、その開封の手間を減らす目的というかエコ配慮というかその辺の話でしょうかね。いずれにせよ相応に数が出る製品でないとこういう設定は行われないと思うので、DEFTはそれなりに数が出ているのではないかと思います。そうであって欲しい。

20年現在世界で最も普及しているであろう34㎜操作球には交換球が存在します。最も代表的な交換球が独ペリックス社の交換球で、カラーバリエーションがあるので着せ替え的にコレクションしている人も結構居られるようです。ちょいちょい新色が追加されたり、逆に消えたりもしていますので、詳細はリンク先でよくご確認の上ご購入下さい。白眉は後ろから2番目の「マット球」。これだけが艶消し処理が施されたざらざらした球で、当然滑りません。が、滑らないおかげで操作精度が上がります。他の色と違い艶消し球だけは使用感が大幅に変わる、ある種の改造グッズみたいなものです。個人的には大昔のゴム巻きシャフトローラー機のような感覚があって、これはこれで十分使える球だと思います。普段扱っていて「滑りすぎる」と感じる方は試してみるのも一興ですが、よく欠品している商品でもあります。一番最後の箱入り娘はエレコム純正の34㎜交換球です。色は赤ですがペリックスの赤とはまた色味が違います。

  • 2020年1月18日