Pro Fit Ergo Vertical Wireless Trackball
Pro Fit Ergo Vertical Wireless Trackball
Pro Fit Ergo Vertical Wired Trackball
- 34㎜
- 7(9)
- 2.4GHz独自無線
Bluetooth*2
- 2.4GHz独自無線
Bluetooth*2
- USB有線接続
- 単3電池*2
- 単3電池*2
- USB給電
- 400
400〜800
800〜1,500
- 3年
発売当初「Kensingtonお前もか!」と思ったのが正直なところですが、使ってみると只の親指型ではなかった辺り、老舗の矜恃みたいなものを感じなくもありません。従来型とはちょっと違う親指型の新種と見た方が良い機種と思います。
着々とバリエーションも増えつつあり、入手から一年経過を機にページの書き直しに着手しました。
これまでにあまり見たことのない形をしていますので、写真で見るより動画で見たほうがまだ形を把握出来ると思います。上は幸塚トラックボール名物の定点全周動画ですがやはり掴み所のない形なもので、これを撮影するのも基準が判り辛く結構苦労しました。形が気になる方はご参照下さい。
従来の親指型を傾けた場合でも掌は機種本体に乗るのですが、本機は掌が本体に乗らないという、親指型に限らずトラックボール全体の常識からしても珍しい造りをしています。それでいて操作感覚にはまったく不都合がない、どころかこれが一番だと感じる人も居る。とても不思議なトラックボールです。
Pro Fit Ergo Vertical 有線トラックボール
有線版も登場しました。はやAmazonにも並んでます。いや、私はもう買い増す予定はございませんで。買ってもいいんですけど置く場所がなぁ。そっちの方が問題。
なんやかんやバリエーションも出てきたので、いずれこのページも整理しないといけませんや。とりあえずPFEVWT表記をどうにかしないと。どっちもWだし。「プロフィットエルゴ」「縦型」「ワイヤレスorワイヤード」「トラックボールorマウス」ってことで、PVT有線or無線、って感じでしょうかね。
21年1月早々ですが、どうやら白版が発売されるようです。まだ詳細全然判りませんので続報待ち。とか言って過去には満足に情報出ないままAmazonに並んだりしましたけど。わざわざ買い増す気は今のところありませんが、白、いいですね。黒版のどっしりした感じから随分軽やかになりました。これ買う前にOrbitScrollRingの白を買う方が先ですけど。私的には。
【追記】白版、Amazonで2月26日発売予定だそうです。黒版の発売から丁度1年。私が知らないだけな可能性もありますが、やっぱり満足に情報出ないまま倉庫に並びました。本当マイペースですKensingtonってところは。
入手までの経緯
このサイトを作ろうと思い立った19年暮れ頃に米国で発表され、翌1月に発売。当サイト公開後、いろいろと弄っていた20年2月に日本国内でも発売が開始された、当サイトにとっても因縁のトラックボールです。
Kensington社といえば古くからトラックボール界を牽引してきた第一人者で、もう一方の雄である「親指の巨人」Logicool社と競いながら、一部例外は存在したものの基本的には「左右対称」型のトラックボールを手掛け続けてきたメーカーで、その一貫した姿勢から老舗感も漂わせています。そのKensington社が遂に親指型を発売とあって、古くからのトラックボーラーには衝撃を持って迎えられた製品です。
日本国内で最初に流通し始めたのは3月の頭頃で、この第一陣は愛好家が群がりあっという間に在庫払底。その直後に訪れたコロナ禍の影響からか長らく再入荷がなく、一時はAmazonでも「入荷未定」扱いとなり、Kensingtonの親指型という違和感も含めて「幻のトラックボール」感が漂い始めた6月末、突如として入荷されました。
私は親指型を使いこなせない不器用者なので、いくらKensington製とはいえ親指型ではなぁ、ということで当初購入する気はなかったのですが、うっかりこんなサイトを作ってしまったこと、また上記してきたサイトとの因縁もあり、入荷未定期間をステイホームで過ごしているうちに「入荷したら買おう」に気持ちが変化していました。当初は興味がなかった転入生が次第に気になり始めた乙女心的な雰囲気があります。うーわきもちわる。私が購入した時点での価格がだいたい8千円台の半ばでした。
初見の印象
マウスで流行しつつある「垂直型」掌が真下に向くのではなく、真横を向く形で入力機器を保持するスタイルを大胆に導入しています。おかげで操作球が横ではなく上へ向けて露出しており、操作球制御だけなら左手親指でも可能です。普通に左手を添えただけではボタンが押せないので本末転倒ではありますが、操作球を極力中心部に寄せたことで、左右対称が本道のKensington節をなんとか維持してみせた、と言えなくもありません。
本国アメリカでの価格設定は$79.99、同社製トラックボール、旗艦級のEM7とSBTよりは若干お安く設定されています。さすがに親指型に旗艦を任せるわけには行かなかったか。恐らくは直接の競合相手と目しているであろう、LogiのMX ERGOは20°の角度調整が可能ですが、果たして仰角60°を謳うPro Fit Ergo Vertical Wireless Trackballはどんな感じでしょうか。
それにしても名前が長いので略称を考えようと思います。思った以上にネットでも略称が固まらない感じなので、普通に製品名から頭文字を取ってPFEVWTと表記します。まぁその略称が云々なんて話になるには相応にユーザーが増えて話題に登らないことには……いや、やめておきましょう縁起でもない。
開封して実際に触ってみた印象はですね、思ってたより小さいなと。Kensingtonのトラックボールと言えば基本的にデカブツ揃いという印象ですからちょっと意外でした。形はとにかくユニークというか、初見の「なんですかこれ」感は他のどのトラックボールより強いかも知れません。
正面から見ると、今まさに氷をぶち割って進んでいる最中の、船体を傾けた砕氷船みたいです。
さて、いざ扱い始めるにあたり、通常の親指型の場合と同じく、本体のどこかに手を載せるべきなのか、それとも、手は机上に設置させて支えるのか。私は、本体右側面に手刀を落とし、そのまま本体に親指から寄りかからせる、という感じで扱っています。私の感覚では、手を支えているのはあくまで手刀部分で、本体にはわずかに寄りかかっているだけ。
手が大きい人であれば、手刀を落とす位置を本体から少し離す。手が小さい人は本体により近いところへ手刀を落とす。事前のイメージからすると随分小柄に造られているよう思えた本体サイズは、こうすることで手の大きさの違いを吸収調節するように考えられての造りように思います。手が大きい人は若干寝かせることで高さ調節が可能だが、小さい人が手を浮かせて使うわけには行かないので、小さい方に合わせて造ってあると。
もしそうだった場合、手が大きい人は小さい人に比べて掌の角度が少し水平側へ傾きますが、まぁそれぐらいは気にする必要はないでしょう。
ようしたもんで、自然に手を添わせるだけで操作球に親指が乗りますし、確かに腕の形はどこにも無理がかかりません。操作球はかなり深めに埋め込んでありますが、埋め込まれた操作球周辺はなだらかに抉られており、操作時も縁が邪魔になりません。
私は成人男性としては手が小さい方だと思いますが、本体右側の7つのボタン(チルトホイールの左右を含む)はどれも問題なく扱えます。ということで以下のページ作成は頑張ってこのPFEVWTだけで操作してみます。取り急ぎ右クリック、ドラッグ、ジェスチャ辺りは、特にやりにくいことはありませんね。
思ってたより使いやすいぞ?
DEFT PRO(右フィンガー型)を常用しているところからの買い増しですから、スクロール操作とポインタ操作を間違えたりしながら数時間作業してみた結果ですね。私が「親指型トラックボール」に抱いている印象から想像していたよりも、だいぶ具合がいいです。
特に右クリックしながらのジェスチャ操作なんかは、私の場合は普通の親指型よりもPFEVWTの方がやりやすい。私は右クリックを薬指で行いますが、上から下に圧をかけてクリックし続ける(ホールド)動作よりも、右から左へ横の圧でホールドする方が容易に感じられ、その右クリックホールドと組み合わせて親指で操作球を扱うのも、こっちの方が制御しやすい気がします。M570やEX-G親指型 でジェスチャーを行う際はどうしてもカクカクした動きになるのですが、PFEVWTの方がスムーズに軌道が描けます。最初に良さを感じたのはこの点です。
ジェスチャがやりやすいということは、ドラッグもやりやすいということですので、その点はこれまで利用してきた親指型のどの機種よりも私には合っているのでしょう。
接続方式
接続方式は、受信機をPC本体にUSB接続する独自無線方式が1つと、Bluetoothが2つ。Bluetoothは以前調べた時は4.2だとどこかで見た気がしたのですが、KensingtonWorksは堂々と5.0と言ってるし、5.0なんでしょうね。無線感度はどれも良好です。あとは、どれほどの省電力性能があるのか期待したいところです。
一応公式には18ヶ月とか言ってますから……半分と見積もって9ヶ月。ほう。9ヶ月持ってくれるなら私は文句ないですが、果たして。
無線の接続切り替えは、本体手前側の、押そうと思わないと押せっこない場所のボタンに割り振られていますので誤爆の恐れはまずないと思います。切り替えそのものもスムーズで、ペアリングさえ済んでいればすぐに切り替えが可能です。また、電源OFFからONにして実際につながるまでのラグも少ない気がします。
左から独自無線、Bluetooth1、Bluetooth2。下のボタンを長押しでチャンネル切り替え。独自無線の場合はレシーバを端末に挿し、チャンネルをセットすることで接続。Bluetoothの場合は利用したいチャンネルを選んでから、本体底面のペアリングボタンを押すことで接続開始。
本体底面。落涙型というべきか艦底型というべきか。操作球排出ボタン、独自無線用レシーバ収納口、電源スイッチ、解像度切替ボタン、ペアリングスイッチに電池ボックスと色々にぎやかです。汎用の電池式なのは個人的に大歓迎。専用バッテリーだと劣化した際の交換が困難なので、専用バッテリーの寿命≒製品寿命になってしまいます。
底面の操作球取り出しボタンを押すと、棒が下からひょっこり伸びて操作球を押し出してくれます。なかなか愛嬌ある機構ですが、ペン等別に道具を準備してで突っつく必要がないので、大変便利です。
こういう機能が欲しかったんだよねと思いましたが冷静に考えてみると昔は操作球取り出しボタンついてる機種あったな。ここまで便利な代物ではなかったけど。
この操作球を収めるカップ部品は閉鎖空間でどこにも貫通していないので、汚れはマメに取り除いた方がよさげ。
独自無線&複数Bluetoothで簡単に接続機切り替えが可能なのは、私にはありがたいです。ただ、有線接続が選べたほうが良かったという人も居るかも知れませんね。有線式の垂直型をご所望の方はMA-TB177をご検討下さい。有線版も発売されましたので、御所望の方は有線版と、MA-TB177も併せてご検討ください。
ボタンとホイール、クリック感覚
ボタンは、チルトホイールの左右も含めて9。独特なレイアウトなので、旧来の親指型では考えにくかった操作球の右側にもボタンが配置されています。ただし、操作球右側の2つのボタン制御はほとんどの場合親指が受け持つことになるでしょうから、当然操作球と同時には扱えません。
メインの左右クリックはボタン部品が独立しているタイプで、スイッチの感触も「カチッ」という、昔ながらの感触。メイン以外のボタンは構造上の問題かも知れませんが感触はメインの左右クリックとは違って「コリッ」という感じ。決して静音タイプではありませんが、感触は似ています。
ボタン部品は独立式。気分的な話ですがボタンはやっぱり独立式の方が好きです。感触は特に秀でているわけでもなく普通ですが、掌が縦の状態で扱うこともあり、旧来の部品と同じでも身体に返って来る感触は違ってくるかも知れません。人体ってなデリケートで困ります。
ホイールは、中央部、ホイールを橋だとすると一休さんが渡る部分に、ゴム(柔らかめの樹脂?)の履帯的な部品が巻かれているタイプです。カリカリの手応えは結構しっかりしています。ホイールクリックとチルトの感触は少し柔めかな。
読取精度
解像度は3段階の調整が可能で、400dpi、400〜800dpi、800〜1500dpi。私は中間の400〜800dpiで利用しています。本体底面のスイッチを押すと本体上面のステータスランプが青く点滅して、選択した解像度がどれかを教えてくれます。1回点滅が400。2回点滅が800、というような感じ。
写真は電源ON時のステータスランプ点灯の様子。
緑色のLEDって前世紀はこればっかでしたけど、ここ20年ぐらいは青色のが多かった気がしますね。久しぶりで新鮮です。見づらいですがチャンネル切り替え表示部の白色LEDも同時に点灯しています。
底面の解像度切替スイッチを押すと、写真で緑に光っているところが今度は青で点滅します。点滅は長くても3回で終わってしまうので写真撮影が困難。青色は目に刺さってくる気がするので、一時的な点滅以外にはあまり使用して欲しくないと思っていました。この機種はそのへんよく出来ています。
想像ですが電池容量が怪しくなった時はここが赤で点滅なり点灯なりしそうな。もしそうならカラフルですねぇ。
ソフトウェア制御
今時は、単純に入力機器を繋ぐだけなら専用のドライバは必要なく、PCに接続さえすればOSが勝手に認識してくれますが、その場合あくまでOS標準の入力機器として認識されるので、ボタンのカスタム等は最低限しか設定できません。込み入った設定をしたければ、各メーカーが配布している制御ソフトウェアかサードパーティ製ソフトウェアが別途必要です。
PFEVWTの発表と合わせるように刷新されたKensinton社製ソフトウェア「KensingtonWorks」昔はMouseWorksだったのがTrackballWorksになり、そしてKensingtonWorksへ。まぁ名前なんてどうでもいいんですちゃんと制御してくれれば。
特にPFEVWTはKensington社製トラックボールとしては破格のボタン数9を誇ります。各ボタンは以下の写真のような形でカスタムが可能ですが、どこまでカスタムするかの要求は利用する人次第なので、KensingtonWorksで足りるかそうでないかもあくまで利用する人の要求次第ではあります。
実際の設定項目は天地が決まったサイズ内で展開され、はみ出している分はスクロールで表示しますが、画像1枚で済むように無理やり展開させた状態を作りました。設定項目は色々とあるのですが、一番込み入った設定になりそうな「マウスとキーボード>キーボードショートカット」を例に取ります。
ここでは、Win、Alt、Shift、Ctrlのモディファイヤキーとその他のキーを組み合わせたショートカットが設定可能になっています。Mac版もそのうち調べますが今はちょっとMac版の動作が怪しいので。
キーバインド設定のほか、設定を適用するアプリを選んだり、設定をクラウドに保存したりという機能が備わっています。保存先は標準でGoogleDriveとMicrosoftのOneDriveが準備してありました。
これは、設定をカリカリにチューンする人にとっては確かに重要な機能だと思います。昔は自分仕様に仕上がった設定ファイルを大切に大切に保存してましたものね。それが今ではクラウドに保存しておけば、いつでもどこでもネットに繋がりさえすれば手に入るし、万一ファイルが壊れてもロールバックも可能だったりすると。仮にローカルストレージが突然死しても設定は残る。いい時代になりました。
まとめ
ProFitErgoVerticalWirelessTrackballは親指型トラックボール界の新種だと思いますが、なんでしょうねやっぱりどこかにKensington風味があるというか、Logiの親指型とは微妙に違う感覚があります。親指型を利用される人の中でジェスチャに苦労される方は、PFEVWTだともう少し楽に制御出来るかも知れません。角度が60°あるからというよりも、操作球が上を向いていることの方が操球感覚に強い影響を及ぼしていて、つまりそれが、私が感じるところのKensington風味のような気もしています。
この感覚、M570を物理的に傾けると同じになるのでしょうか。手持ちのM570を空中で傾けてエア操作してみた限りではやっぱりなんか違う気もするので、そのへんは追々考えてみることにします。
いずれにせよ、感覚の入力機器トラックボール、その中でも親指型は特に繊細だと私は思っているので、親指型ユーザーなら誰にでもお薦めとは言い切れないと思いますが、よく出来た親指型であることも間違いないと思います。親指ボーラーだけど最近マンネリだなぁという方は是非一度お試しを。私も時々使っていますが、いいトラックボールですよ。
白眉は後ろから2番目の「マット球」。これだけが艶消し処理が施されたざらざらした球で、当然滑りません。が、滑らないおかげで操作精度が上がります。他の色と違い艶消し球だけは使用感が大幅に変わる、ある種の改造グッズみたいなものです。個人的には大昔のゴム巻きシャフトローラー機のような感覚があって、これはこれで十分使える球だと思います。普段扱っていて「滑りすぎる」と感じる方は試してみるのも一興。一度は販売終了になりましたがユーザーの熱い要望に応えて復活しました。やったね!
一番最後の箱入り娘はエレコム純正の34㎜交換球です。色は赤ですがペリックスの赤とはまた色味が違います。