PERIPRO-706

PERIPRO-506

perixx
PERIPRO-706製品写真PERIPRO-506 製品写真
操作球直径
25㎜
ボタン数
3
接続方式
2.4GHz独自無線
USB有線
給電方式
単4電池×2
USB給電
読取精度(dpi)
800
保証期間
1年

独ペリックス製PERIPRO-706。25㎜操作球を装備したフィンガー型のトラックボールになります。昔懐かしの四角い左右対称筐体に操作球は小型の25㎜という辺りがなかなか個性的なトラックボールです。

思いっきり「フィンガー型」って言っちゃってますが、正確にはフィンガーでも親指でもどちらでも扱えますし、そのように作られていると思います。かつてのラップトップ搭載型トラックボールはフィンガー、親指、どちらでも扱っていました。キーボードの手前に置けば親指操作、横に置けばフィンガー操作、という感じだと思います。

ペリプロ706を使ってGetting Over It! しています。小さいような大きいような不思議なトラックボールですが基本的な性能は優れていると思います

ドイツ語ってもっとヴォとかヴェとかのこぶしが効いた音で始まるイメージがあるのですが、ペリプロ。えらい可愛らしい響きで。まぁこれは英語読みで、独語の発音だとヴォルフガングジークフリートとかになるんでしょう。ヴォルフガングジークフリートズィーベンヌルゼクス。ははーかっちょええな。そら邪気眼も疼くわ。

ペリックスと言えば、日本(のトラックボール愛好家界隈)ではトラックボール用の交換球が有名だと思いますが、トラックボールそのものも販売しており、親指型はもちろんのこと、大玉一体型キーボードもあったりと、硬質なゲルマン魂をザワークラフトの酸味で包んだような一筋縄では行かないトラックボールメーカーです。それら自社製品の交換用に球も販売してたところでそっちが先に有名になった、みたいな感じでしょうかね。

さて。持っているドイツ知識をあらかた使い切ったところで、実機を触ることにします。

PERIPRO-706

初見の印象

外箱はマット紙に一部光沢コーティングされているやつで、磁石開閉式の蓋がついています。表面にはゲルマントリコロールな黒赤黄色に燦然と輝くDesigned by Germany。デュッセルドルフって書いてあるのかこれ。考えてみりゃ自己主張の強い組み合わせよね。警告色の黒黄に血の色と来たもんだプロイセン。

PERIPRO-706 パッケージ PERIPRO-706 パッケージオープン

開封してみると、想像していたよりは小型でしたが、いや〜いいですね。洒落っ気とかそういうノリを母胎に捨てて来たかのように直線的。外装は普通のプラ素材で、見て下さいこの偏屈そうな感じ。動作テスト用の乾電池も付属していないという無骨な感じがたまりませんや。ナタで荒っぽく断ち落としただけの肉塊を焚き火の中に放り込んで炭化した外側を削りながら食えみたいな。これからすると四半世紀前のTurboMouseでもまだ洒落てると感じるぐらい。いいです素敵です。箸の上げ下ろしまで手伝いますみたいな空気出してくるエルゴなんたらいう軟弱者より、私はこういうのが好きです。

PERIPRO-706 本体部のみ

そしてトラックボールにとって因縁のスクロールホイールは操作球の手前に設置されています。これも昔からたまに出現しては定着しないまま消えて行くけど定期的に復活する型ですね。近年だとサンワさんのTB-38がこの型でしたが、こちらは25㎜操作球との組み合わせ。ホイールはチルト式……みたいに書いてあったと思うんですが、これチルトじゃないよな? ちょっとそこはペリックスに問い合わせてみるとして、果たしてどのような操作感覚を実現しているのでしょうね。

Amazonの製品ページにはチルトホイール搭載のように記載されてたのですが、ペリックスに問い合わせてみたところ間違いだったそうで、現在は誤解を招きそうな記載は削除されています。大丈夫かワイマール。

  • PERIPRO-706 本体部のみ m570と比較
  • PERIPRO-706 m570と比較
  • PERIPRO-706 EM7と比較

大きさの比較にm570とEM7と並べてみました。リストレストが結構大きいので前後に長くはなりますが、本体部分は小さいです。ペリックスの交換球をお持ちの方なら御存知のこと、操作球の色は赤ではなく「梅しば」色です。

操作感覚

黒くて四角い箱に25㎜と小型の操作球にボタンとホイールを搭載した本体部と、その本体部とだいたい同じ大きさのゲル型のリストレストを装着可能。リストレストは取り外すことも可能で、取り外した状態はもう、箱。たまたまですがこのペリプロ706を購入する直前に国内サプライメーカーのリストレストを数種試していましたので、それらとの比較も後でやります。25㎜操作球は手持ちのトラックボール群の中ではbitra親指型と同じで、入れ替えも可能でした。

PERIPRO-706操作球をbitra親指型と入れ替え

でこの25㎜操作球。bitraの時にも触れましたが、なんとなく想像している以上に狙ったところへポイント可能です。この冬寒かったので手袋を装着した上でEM7をメイン機に据えていましたが、PCを買い換えてモニタ解像度が27インチ2560×1440pxと広がったこともあり、込み入った作業していると手に疲労が。私、ホットコーナーを良く使うんですが、右上左上右下とポインタを飛ばしていると段々と腕が怠くなるという症状に見舞われましてね。その点、25㎜操作球であれば小さくて軽いので、多少精度は落ちるとしても疲れる心配はないでしょう。

センサー解像度は800dpiの固定式。ペリックス曰く読み取り精度は800DPIと低めに設定されていますので、操作ミスを防ぎます。とのこと。なんか令和最新型っぽい怪しい日本語感がある気がしますが、800dpiって低めと認識されているんですね。私はそのへんが普通だと思ってました。

操作球の露出面は、上から別パーツで蓋をして固定している関係上、決して広くないと思いますが、ポインタを動かすのに不自由はしません。操作球を弾いてもおかしな挙動することなくちゃんとポインタ飛ばしてくれます。私の場合は人・中・薬指のどれか、あるいは2本で操作。片方の指は添えて動かしているような感じです。

操作球に蓋を被せて固定する形は久しぶりです。これが普通だった時代は本当にボール式のマウスをひっくり返しただけという風情がありました。ペリプロ706の場合、蓋部品を反時計回りに回すと外れる構造も昔ながらという感じですが、とっかかりになる凹みや穴などがないので、最初に開ける際はちょっと苦労します。

余談になりますが、この蓋、指を添えておくのに丁度いい形、大きさで、あまりに自然なものでついうっかり回そうとして「あ、これはスクロールリングじゃ無かった」ということが何度かありました。OrbitMobile先輩SBTのあの感覚って、なんかもう一捻り、二捻りすると、とんでもなく使い勝手の良いものになりそうな気がするけど、気がした状態のままもう10年経過してる。

PERIPRO-706操作球部寄り

ちなみにペリプロ706はmacOSは非サポートです。そんなこと言ったってHIDで動くだろということで繋いでいますが、あくまで非サポートの製品を自分の責任で動かしているだけですので、真似して動かなくても誰も責任は持ちませんよ。

ボタンとホイール

左右ボタンは「カチッ」「バシャッ」という、かなりハッキリした大きめの音。筐体が箱型ですしよく反響するのかな? スイッチは恐らくマイクロスイッチでしょう。どこを押してもキッチリ反応してくれます。付属の取説には300万回の打鍵耐久性と記載あり。とりあえずこの感触も音も私は好きなのですが、静音スイッチが好きな方にはこの音は歓迎されないでしょうね。センター(ホイール)クリックは少し重めかな。左右クリックほど高い音じゃありませんが、ここもしっかり音はします。

ホイールは少し小さめのものが使われているようです。回した感触はかなりハッキリしており、既存の機種だとDEFT PROのホイールに似てるかなぁ。大きさはまったく違いますが、なかなかしっかりした手応え。一般的には古風な感触と言ったほうがいいかな。私は好きです。

PERIPRO-706 ボタンとホイール部

操作球の真下に設置されたホイールをどう扱うかは人によって色々あるだろうと想像しますが、私の場合、回す際にフィンガー側は極力操作球上にそのまま置いた状態で、親指を掌側へ折り曲げる形で回そうとすることが多いです。霊柩車を見たら親指を隠せ、のあの形を想像してもらうと良いかと。

それから、手を全体的に横に動かして親指を中心に持ってくる形もあります。手首を(指先を)起こして、中指や薬指で回す形もありますね。正直に申し上げて、どの方式も決して使い良くはないです。他に良いやり方あるのかな……?

接続方式と電源

私が購入したペリプロ706が独自無線接続方式、ペリプロ506が有線式となります。2.4GHz独自無線を採用したレシーバは本体裏面に収納が可能ですが、うちの個体だけかな。ツライチになりません。もっとも、レシーバが収納された状態ではトラックボールとしても機能しないわけですから別にこれで問題はありませんけど、本当にそれでいいのかブンデスリパブリックドイッチュランド。

PERIPRO-706 裏面 PERIPRO-706 裏面 レシーバ収納状態

706の電源は単4×2。本体裏面にON/OFFスイッチもあります。506は有線でUSB給電。

有線版終売

有線版(PERIPRO-506)終売がペリックスジャパンさんからアナウンスされました。貴重な有線版だったのですが、これも世の流れでしょうか。無線版の方は特に触れられていませんので継続で販売されるようです。

純正リストレスト

製品に付属の純正リストレストはゲル型、表面はジャージ素材のようで、手触りも柔らかさもいい感触です。ドイッチュ製品でジャージ素材っつったらアディダスとかプーマ製なのかと期待しますが、んなわきゃないですよね。あちらさん製造業は日本に負けず劣らず中国べったりっぽいですし。

最近私が試したリストレストでいうとエレコムDUXの感触が一番近いと思います。DUXのほうがゲルが柔らかくて、ゲル単体の感触ならDUXの方が気持ち良いのですが、トラックボールを扱う際の手首を支える目的では706リストレストのほうが適していると感じます。さすが専用品。

Twitterでリストレストを数種比較した際「トラックボールと組み合わせて利用する場合のリストレストは、感触云々よりも、背の高さのほうが重要」と感じたのですが、706リストレストは背も高くて、1.4カンフィーぐらいあります。試しに取り外した状態でDEFT PROと一緒に使用してみましたが、困ったな、カンフィーより706リストレストの方がいい気がする。感触を忘れられなくなる前に、試さなかったことにして記憶は封印しよう。

  • 純正リストレストとエレコムDUX

    純正リストレスト(左)とエレコムDUX(右)

  • 純正リストレストとエレコムカンフィー

    純正リストレスト(左)とエレコムカンフィー(右)

一方、ペリプロ706に純正リストレストを装着せず、カンフィーと組み合わせて使用しても特に不自由なく扱えます。カンフィーはカンフィーで本当に優秀な万能選手ですね。安いし。

ペリプロ706レビューまとめ

眺めていると時間が巻き戻るような感覚を覚える、古式ゆかしいフィンガー型のトラックボールですが、サンワさんのTB130のように、機能を絞って基本形を追求した機種じゃないかと思います。左右対称型はもう絶滅危惧のレッドアラートが鳴り響いていますから、そういう意味ではある種の郷愁を誘うトラックボールだろうとも。

特徴的な25㎜という小球での操作感覚に問題はなく普通に動かせますので、据え置き型の、ハッキリ言ってしまえばKensington型の左右対称機というよりは、かつてのラップトップに搭載されていたトラックボールを復刻した製品、という方が雰囲気は近いかも知れません。設置する場所によっては親指操作型にもなるので、これはどう分類したらいいんだろう。全指型とか?

中心線上に配置されたスクロールホイールは上手に使いこなせずにいますが、あまり苦にしていない方もいらっしゃるかも知れません。小球。四角い筐体。操作球周辺の意匠。なんかこう、見た目は古めかしいですが、次世代の左右対称型トラックボールのヒントが埋まっているような気がするトラックボールでスシボンバー。