MA-BTTB179BK
SANWA SUPPLY- 34㎜
- 5
- Bluetooth5.0
- 単3電池×2
- 400
800
1,200
1,600
- 6ヶ月
MA-WTB178BK
SANWA SUPPLY- 34㎜
- 5
- 2.4GHz独自無線(USBレシーバ)
- 単三乾電池×2
- 400
800
1,200
1,600
- 6ヶ月
MA-TB177BK
SANWA SUPPLY- 34㎜
- 5
- USB(有線)
- USB給電
- 400
800
1,200
1,600
- 6ヶ月
チルト? ヌルいこと言ってんじゃねぇ垂直だ。2020年は傾きを突き抜けて垂直の年でもあったのかと思います。バーチカルタイプで始まりバーチカルタイプで終わる(であろう)一年を締めくくるのは、サンワサプライのMA-BTTB179BKです。
複数接続方式で発売されると型番が増えてややこしいのですが、MA-TB17xシリーズと言えばいいのかな。400で始まる型番じゃないので、いずれ量販店の店頭にも並ぶのではないかと思います。私はいつも通りBluetooth版を購入しました。一応リスペクト祭でもありますので手始めに恒例の動画を一献。
初見の印象
ご存知の方ならひと目見て解る通り、Kensington社のProFitErgoVerticalWirelessTrackballのフォロワー機です。PFEVWTが発売されたのは今年(2020年)の2月末でしたから、9ヶ月ぐらいで後追いが出てきたというのは、とかくゆったりした竜宮時間が流れているトラックボール界ではかなり迅速と言って良いでしょう。
今年1月に当サイトを開設した際に発売間近の最新機種だったのがPFEVWTで「新機種の紹介ページを作るのっていいもんだ」などと呑気なことを考えていましたが、まさか5ページ/年も増やすことになるとは思ってもみませんでした。多少なりと復活傾向にあるとはいえ、こんなに賑やかなことは当分ないでしょう。
そんな2020年を締めくくる機種となるであろうMA-BTTB179BK。作ってるのはどこかな、台湾のメーカーかな。このアジア的おおらかさっていいんだか悪いんだかコメントに困りますが、それにしても堂々たるリスペクトっぷりで、リスペクト先と同等か下手すると高額の価格設定。それでいて接続方式ごとに3種類展開ですから、いやぁ凄い自信だ。ただ、オリジナルにはない有線接続が選べますので、PFEVWTが欲しかったけど無線接続しかないので見送った、という有線派にはいい機種かも知れません。
バリエーションは上記した通り接続方式別に3種類で、それぞれ型番も違いますが接続方式以外は基本的に共通。ボタン数は5とオリジナルより少ないですが、引き換えにすべてのボタンに静音スイッチが採用されています。
また、Bluetooth版はマルチペアリング対応で最大3台への接続が可能となっています。複数台の端末を利用される方にはいいですね。これからの時代はマルチペアリング機能も重要になって行くでしょう。
パッケージ
我が人生ではじめてサンワダイレクトを利用。無事到着しましてダンボールから出すと「おお」という感じで。なかなか主張してくるパッケージでご登場。基本マット印刷に製品写真部だけテカテカのコーティングを上から塗るやつです。マグネット式の蓋を付ければいよいよ見たことあるパッケージになる気がしますね。
サスティナブルがどうとか眠たいこと言わないのはいいんですが、こっちはこっちで多少処分に手間がかかるので、見栄えは悪くないですが後のこと考えると一寸面倒ではあります。
ご開陳
付属品はマニュアルと単3乾電池が2本。取り出す際、操作球に手が当たり、スルッという感じで動いたので「お、よさげ」と思いましたが、箱から出して眺めただけでまだPCに繋いでもいないのに早速「嗚呼」ポイントが。
操作球取り出し口がアビスのごとく深くてですね。仮に指を無理やり突っ込んだら、呪いの有無はともかく戻ってこれないでしょう。要するに指入らない(届かない)です。ここは貧相でもいいからPFEVWTの取り出しボタン的な機能が欲しかったと思います。そういや発表された段階では裏面の写真って無かったな……知ってたら買うのにだいぶブレーキがかかったと思うので、隠しおおせたサンワさんの勝ち。まぁ、消しゴム付き鉛筆の尻で突けば簡単に取れますので、まだいいや……。
いきなり裏面見せちゃいましたが、当然PFEVWTに似ているものの、ちょっと細いですね。あとで比較写真撮影してアップします。
本体外観
公式の写真では察せなかった点で、本体表面がかなりザラザラした質感に仕上げられています。最近一般的なマット質感プラのものよりもう一段から二段、ザラザラ。いま手元にないので正確にはわかりませんが、記憶ではIntelliMouseOptical(白)がこんな処理されてたんじゃなかったかな。私はテカテカツルツルは苦手なので全然OK。多少は滑り止め的な効果も狙われているのかも知れませんね。手触り悪くないですし何より変な反射をしないので写真が撮りやすいったら。素敵。使い込んだらテカって来そうですが、未塗装樹脂なので味になるでしょう。
操作球を収容するすり鉢状部は、一体化されていたPFEVWTと違って別パーツ式なのに加えてフツーに光沢のあるプラ素材なのでちょっと安っぽく見えてしまいますが、親指の邪魔になるようなこともなく、実用上特に問題ありません。安っぽく見えるっつって実際に安ければともかく販売価格は(現時点では)そんなに差がありませんし、どうなんだよ思わなくもありませんけど。
接続方式
接続方式別で3種類がラインナップされており、私が購入して今回生贄になっているのがBluetooth型のMA-BTTB179BK。独自無線方式がMA-WTB178BK。有線式がMA-TB177BK。お好きな接続方式を選んでご購入下さい。
私はひとつの機体に接続方式全部入りにしちゃえよと思うクチなのですが、例えば有線派の人からすると不具合を呼びかねない余計な機能は百害あって一利なしでしょうから、単機能のほうが望ましいと。改めて冷静に考えてみりゃおっしゃる通りですので、こうして別機種扱いで、それでも3種類の接続方式を搭載して発売されているのは、なかなか親切なことですね。販売機種増やすのはそれだけリスクもあると思いますから。
Bluetoothでの接続は本体底面にあるペアリングスイッチから。まぁもう何でしょうねいちいち触れるのも馬鹿らしい程度には普通に認識されて動き始めました。電源投入時や読取精度変更時には舳先部分に埋め込まれているステータスランプが点灯点滅して知らせてくれます。このあたりの挙動は最早常識化してきましたが、Bluetooth版は3バンド搭載なので、チャンネルを切り替える度にこのステータスランプの色が青色LED→青緑→緑と変化します。青色LEDこそ普通ですが青緑と緑はこれまであまり見たことない色味で、なかなか特徴的。普通に使う分にはあまり見る機会がないのが残念。
ただですね。この切替は本体底面にあるスイッチで行いますので、多くの場合は機体を持ち上げて裏返して押すと思うんですよね。そうするとステータスランプが見えないので「いま自分がどのチャンネルを選択しているのか」を見失いがちです。先達のPFEVWTは接続先切替ボタンは本体側面に露出しているので、接続先を見失うことは考え難いと思います。その代わりPFEVWTは読取精度の切替スイッチが本体底面にあって、切替時にランプの点滅回数で現在値を表す挙動も同じですので、読取精度の現在値を見失いがちです。自分がどっちの機能をより重視するかは多少念頭に置いて選択した方がいいかも知れません。
- MA-BTTB179BK
- PFEVWT
TB17xは有線版があるので、自然とこうなったってのもあるかも知れませんね。ま、多少見づらいだけで、どちらも機能としては搭載していますから、慣れりゃなんてことありません。一応触れておこうというだけで重箱の隅、記事の嵩増しです。
ちなみに私は800カウントで利用していますが、1200カウントでも問題なく動かせたので、段階が細かく刻んであるのも悪くないですね。私は読取精度を頻繁に切り替えながら使うことはまずないので、どちらかと言えばPFEVWT方式が好きですが、世間的な需要は逆じゃないかと思います。
電源
私が購入したのはBluetooth版(MA-BTTB179BK)ですので電池駆動です。独自無線版も同じく単3×2。今回はパナループ使ってみました。電池ボックスの蓋は例の蓋。電池の全長より少し短いタイプです。傾けて入れるやつね。なんか中が結構スカスカであれっと思ったのですが、弄りたい欲のほうが先に立ったもので、そのへん詳しく見るのは後回し。電池室には取り出し補助用に長めのリボンが取り付けられていますので、電池を横断する形で下敷きにしておけば、取り出す際は引っ張ることで楽に排出できます。
手を添えた感覚と静音ボタン
手を添えた感覚はもちろんPFEVWTっぽい、垂直型トラックボールの感覚です。つってまだ2機種しかないですけど、いいですよ。まったく同じではありませんが、操作球の反応も良好。箱から出した状態でもうヌルんヌルでした。恐らくはまだ製造されて間もないからでしょうね。
ボタンはすべて静音スイッチ採用で「コク、コク」という感触。私もこの1年ですっかりこの感触に慣らされまして、違和感まったくありません。左右クリックも当然どちらも静音なのですが、何か左右で微妙に音が違うような……気のせいかな。
最近は採用機種も増えてきた静音スイッチですが、BTTB179の各ボタンは……中でも特に静かな気がします。操作球左横の2つのボタンなんか、ちっさーく「コチ、コチ」って音ですけど、環境音に紛れたら完全に聞こえなくなるレベルじゃないかと。本体の構造も影響するでしょうけど、静音モデルが好きな人にはいい機種になりそうです。それでいてちゃんとクリック感はあります。
スクロールホイールとボタン
この機種最大の特徴と思われるスクロールホイール。ホイール部品はエレコムのDEFTやHUGEと似た感じです。感触も似ていて、回すと「ゴロロロロロ」って感じ。
うん。あのね。この位置に設けられている以上は人差し指で回すでしょ。人差し指、ホイール回しやすいのよ。このバーチカル型だと恐らく中指より断然回しやすいし、チルトもしやすい。これは気にいる人もかなり居ると思う。私も、ここだけ見ればいいと思う。
んだけど、スクロールホイール制御と左クリックをどっちも人差し指で行うとしたら、ちょっとどうだろ。慣れていないせいか人差し指先が躓くような感覚に陥ります。どうしたらいいものか。左クリックを中指、右クリックを薬指。これで扱うとその混乱する感覚はなくなる。つまり人差し指は完全にホイール制御専門にすると。
まだ購入したばかりですので断言は出来ませんが、BTTB179に完全に身体が馴染んだときは、自然と中指薬指で左右クリックをこなすようになっているかも知れません。中クリック代わりにホイールクリックを利用される方は多いように思いますが、それも位置的な違和感はともかくとして、多用される方ほど人差し指で押すほうが楽だと思います。一番肝心な左クリックを横へやって、ってのが本末転倒な気もしますけど。
しかし、大概ヘンテコな配置でもニヤつきながら触ってきた自分ですが、中指左クリックはなかなか新鮮。なんかどっかで経験したことあるような気もするけど思い出せず。ページを弄っているとすぐ元に戻って人差し指で左クリックしてしまいますが、本気で慣れようと思えばそんなに苦労せずに行けそうではあります。ただそうすると旧来の感覚に戻すのが大変そう。までも悪くないですよ。この機種の自然な持ち方なんでしょうけど、因果関係わかり易いですし。
一般の方がこれを入手して、多少なりと手間がかかるであろうクリック担当指の変更まで受け付けてくれるのだろうかという懸念はありますが、機能としては決して悪くないと思います。私はかなり気に入りましたけど、普段使っている形から離れれば離れただけ拒否反応も大きくなりますからねぇ……。
ソフトウェアによる機能拡張
ハードウェア的にはなかなかどうしての出来と感じているMA-BTTB179ですが、基本「3ボタン+ホイールがあれば満足」しちゃう私の感覚ですから、ハードルはそんなに高くないと思います。制御ソフトを入れて細かく設定を弄って、なんてこともほぼしない人間なのですが、まぁそうも言ってられんだろうと一念発起してサンワさんのソフトウェアを入れてみました。
まず公式からソフトウェアを落としてきてイントールする時点で署名がなんたらいう注意を促されます。この署名云々ってのをパスするのは、そんなに手間とお金がかかるものなんでしょうかね。出来れば有名サプライメーカーが配布するソフトはそのへんちゃんとしておいて欲しいものですし、プラットフォーム側もメーカーに仕様投げっぱにするだけじゃなくてちゃんと普及するよう努力せい。
なにかあっても文句は言わんよと同意してインストール続行。するとデスクトップにショートカットを作るかいみたいなことを訊かれます。え? マウスを制御するソフトウェアのショートカットをデスクトップに置くの? 普段は絶対そんなことしないんですが今回はなんか嫌な予感がしたので一応作成。なんやかんやで画面が立ち上がります。以下の画像がそれです。
こうして見るとユーザー側で設定可能なボタンは少ないですね。チルトの左右も設定不可と。割り振れる機能はまぁ一般的なものだったと思います。ボリューム調整とかもあったかな。その中に減速機能(画面上は低速モード)があったので使ってみることにしました。
設定で3番のボタンに低速モードを設定。押しながら操作球を弄ると確かに低速になっている。いいですね。あれ。この画面どうやって閉じるの。OKボタンとか閉じるボタンがないよ。色々と探ってみたところタスクトレイにあるっぽかったので閉じる。閉じると低速モードが効かなくなる。えっ?
なるほど。どうやら設定を有効にするにはこのソフトウェアを立ち上げっぱなしにする必要があるのですね。それでショートカットってことか。なるほどなるほど。最小化も出来なさそうなので、ずっとこの画面がデスクトップに鎮座してるのかな。自己主張強いですなぁ。大した機能も積んでない癖に。なんもそんなとこだけ現代人風にしなくてもいいだろうに(風刺)
うっかり「左手モード」にチェックいれると、確認も何もなく即座に反映されるので、右クリックが左クリックに入れ替わっていることに気づくまで往生しましたし、こうして弄ってみると……今までエレコムのマウスアシスタントに対して苦言呈して来たけど、左クリックだけは必ず設定してからでないと他を弄れなくなってたり、よく出来てた。ごめん。今までいい過ぎた。
ええ。まったくもって期待はしていませんでしたが、それにしても凄い出来ですねこれ。その辺の野良ユーティリティのほうがなんぼもマシなのはまぁこれに限った話じゃありませんが、ソフトウェア方面は本当になぁ……。Kensingtonもひでーもんだし、ハードウェアとソフトウェアの完成度を両立させるってのは難しいんでしょうね。まぁこのソフトはまだバージョンも若いですし、今後に期待ということにしておきましょう。
あと、低速モードですが、3番のボタンを押しながら操作することで発動する設定にして試しました。でも3番のボタンって位置的に親指でホールドしますよね。親指トラックボールで親指をボタンのホールドに使って、さてどうやって動かすんだこれと一瞬固まりました。結果、人差し指一本で操作球動かして低速モードを満喫しましたが、このトラックボールは設定次第で人差し指型にも化けるんですよ。凄いですよね。
PFEVWTとの比較
正直に言うと出たばっかり買ったばっかりの機種を他機種と比較するのはあまり好きではなく、出来るだけ機種単体で紹介しようと思っているのですが、どーしても比較用の機種を引っ張り出してしまうのは私の技量不足によるものです。一応は初心者や入門を検討している人向けのサイトのつもりなので、他の機種と比較なんかしたところで混乱するだけでしょう。既に畜生道に堕ちている人はナンボ悪く書いたところで買うんですから余興でいいんですけど、この機種で入門を検討されている方には本当に申し訳ない。でもやってしまう。
比較写真の通り全体的には細身ですが、パームレスト……と言っていいかな、掌というか親指の付け根が乗る部分が、BTTB179は結構高く、逆にPFEVWTは操作球からここにかけては結構低く、なだらかな傾斜になっています。BTTB179のほうが比較的単純な形をしていて、PFEVWTはかなり複雑です。
ですが、単純だから悪いとか複雑だから良いとかの話でもなく、BTTB179の感覚も特に悪くありません。どっちが良いかは完全に個人の身体の造りと好み次第な気がします。なにしろ基準になる場所がない、掴みどころのない形なので写真撮影しても比較が難しく、大まかに雰囲気の違いを感じるぐらいにしておかないと、写真だけ見ても実際の感覚はなかなか伝わらないと思います。腕の問題もありますけど。
言えるのは、どちらの機種も親指で操作球を制御してポインタを動かすことに関して、まったく不都合ありません。私個人的には実はBTTB179の方が動かしやすいような気もするのですが、微妙な差なので、どちらを渡されても不平不満が出ない程度の差だとは思います。
明らかな違いはBTTB179のホイールとボタン周り。これも決して悪くないです。ホイールをぐりぐり回すことだけを考えればBTTB179のほうが優れているとすら思います。が。旧来の左右クリック受持との感覚の兼ね合いで、慣れないうちは指の動作がバグります。
先に、人差し指は完全にホイール制御だけを受け持つのがこの機種の自然な形なのではないかと述べましたが、一方でそれやると人差し指が常に高く位置することになり、これはこれでちょっと疲れるような。垂直型の場合でも指先は下を向いている方が負荷は低いような気がします。あたしゃエルゴノミクスの専門家でもなんでもないので「そういう気がする」程度の話ですけど。ただ、これは手が大きければ問題にはならないとも思います。
いかんせんまだ世界にこの2機種しか存在しない、垂直型の親指制御トラックボール。どちらの機種にもそれぞれに良さがあり、どちらかの機種が明確に劣っているような感じもありません。オリジナルにはオリジナルの良さがあり、フォロワーはフォロワーなりに工夫してきた印象で、これはなかなか甲乙つけがたい。
MA-BTTB179BK レビューまとめ
12月13日午前に到着後、現在(15日0時過ぎ)まで、このページの更新作業を主として使い続けています。結果、人差し指スクロールホイール制御はとてもいいものです。BTTB179から手を離してキーボードを打つ。キーボードから手を離してBTTB179を握り直す。この動作の際に人差し指がホイールの上に自然と乗るまで身体が慣れてくると、特にこの人差し指ホイール制御は具合いいです。とにかく回しやすくてストレスがない。こっちに慣れてくるとPFEVWTの中指ホイールがセピア色に見えてくる。
その他、静音スイッチの名に恥じない静音っぷりや、本体掌が触れる部分のマット処理、マルチペアリングなど想像していた以上の完成度で、こういっちゃ何ですがちょっと困惑しているぐらい。サンワさん……ですよね? あの、虫も殺さないような顔しながらストリームを販売されていたサンワさんですよね?
男子三日会わざれば刮目して見よと申しますが、うーむ。いやこれ、2020年の最後を締める機種としてもよく出来ていますよ。MA-BTTB130の時にもちょっと思いましたけど、変われば変わるものなんですね。
まぁ指が入らない操作球取り出し口やコメントに困るソフトウェアなんかのウイークポイントがちゃんと設けてある辺りに「やっぱりサンワさんだ」という謎の安心感もありますが、私がよく言う普通に使えるレベルには軽く到達しています。人差し指ホイールに静音スイッチ、有線版というPFEVWTにない特徴もありますので、なかなか面白い存在だと。「なにを言われたって結局買う」トラックボール畜生仲間の皆さんは是非買って試してみましょう。畜生仲間ではない人も、もし店頭にデモ機が置いてあるようなら試してみて下さい。悪くないと理解してもらえると思います。
初心者でこの機種を検討されているという方。そんな人は既に魂が初心者じゃないと思いますが、全体的にちゃんとまとまった機種で、使い物になります。大丈夫です。ただし、ホイールを人差し指で制御しつつ左右クリックをどう扱うかという点はかなり指先が混乱します。混乱しても別に扱えますが、その点は御理解の上で手をお出し下さい。混乱を乗り越えた先には、これまであまり経験したことのない快適な操作感覚が待っていることと思います。私もまだ少し混乱しますが、スムーズに扱えた時は、いいです。乗りこなしてやった感があります。
惜しむらくは、製品の発表から発売までずっと、世間の耳目はERGO M575に集まりっぱなしというタイミングの悪さでしょうかね……。あっちがドラフト一位の鳴り物入りで入団して来て新人王を取りそうな感じなら、こっちは育成上がりでまったく注目されてないけど、レギュラー奪るかもよ?
なんでしょうねこの、日陰者の中にも日陰者界なりの人気者が居て、日陰者界の中でも更なる日陰者の中に希望が生まれた、みたいな感じ。個人的な感情でものっそい肩入れしそう。
MA-BTTB179BK 入手以前の評
サンワさんフットワーク軽いですねぇ。新型は親指垂直型トラックボールと来ましたよ。どこかで見たことあるとかそういうのは置いとくとして、おかしいな。こんなに更新作業に追われるサイトになるはずじゃなかったんだけど。
言わずと知れたKensingtonのPro Fit Ergo Vertical Wireless Trackballリスペクトということですね。すんません雑に「発売」って書いてしまってましたけど、まだ発売されていません。当然手元に実機もありませんので、PFEVWTを使った感覚を元にあれこれ考えてみようと思いますが。手始めに恒例の動画を一献。
発売前注目点
PFEVWTが発売されたのは今年(2020年)の2月末でしたから、9ヶ月ぐらいでリスペクト完了です。作ってるのはどこかな、台湾のメーカーかな。このアジア的おおらかさっていいんだか悪いんだかコメントに困りますが、それにしても堂々たるリスペクトっぷりで、リスペクト先と同等か下手すると高額の価格設定。それでいて接続方式ごとに3種類展開ですから、いやぁ凄い自信だ。ただ、オリジナルにはない有線接続が選べますので、有線派でPFEVWTが欲しかったけど無線なので諦めた、という人にはいい機種かも知れません。
バリエーションは上記した通り接続方式別に3種類で、それぞれ型番も違いますが接続方式以外は基本的に共通。ボタン数は5とオリジナルより少ないですが、引き換えに静音スイッチが採用されています。
また、Bluetooth版はマルチペアリング対応で最大3台への接続が可能となっています。複数台の端末を利用される方にはいいですね。これからの時代はマルチペアリング機能も重要になって行くでしょう。
あと目を引く違いはスクロールホイールの位置で、随分と上に付いてまして、人差し指で制御するんでしょうねこれは。写真で見る限り、常識外の位置に鎮座しているので精神の落ち着きを失ってしまうホイールですが、PFEVWTを握ると確かに人差し指はこの辺に来るので、見た目の印象より扱いやすいかも知れません。人差し指でホイール操作といえばかつてのクリオネちゃんやTM-400なんかもそうでしたから、前例がないわけではありませんが、垂直型ではまだありませんからね。立派な個性になると思います。
それにしても、左右クリックボタンの中心部にホイールがないとのっぺりしてますよねぇ。そこだけ見ればホイールが無かった時代のマウスを思い出します。最新の垂直型に、忘れ去られつつあった人差し指操作ホイールを載せて。いいですねこういう混ざり具合。
この角度から見るとクジラみたいですね。PFEVWTはスリットが本体に垂直に入ってましたが、こちらは操作球の外周を辿るような形で入ってて、この写真がよりクジラっぽいというか。あと、やっぱ「ergonomic designed style」は印刷されてるんだなぁ。スタイリッシュ横文字入れとかないと担当者のクビが飛ぶって冗談じゃないのかも。
なんだかんだ言いつつちょっと欲しかったりするんですけど、額が額なだけに二の足踏んでいます。9月のTurboRing2020(世を忍ぶ仮の姿でOrbit Fusionと名乗っている)輸入事変からこっち結構散財してますし、まさか年間で新機種が5個も出るなんて夢にも思わないじゃないですか。DEFTとEX-G親指型の赤玉版も入れたら7種ですよ。ちょっと考えられない。なんだか怖いな。この調子で年末にエレコムの左右対称大玉が登場なんてことが起きても、最早驚きませんよあたしゃ。
オリジナルはかなりいいですよ
親指型は大家のLogi製品を筆頭に競合も多いおかげか、新製品も注目されにくくなっているんじゃないかと思います。さすがに本家本元が発売するM570の後継機M575は注目されると思いますが、それ以外の機種は出来の割にあまり話題に登らないというか。私が試した限りでもEX-G PROなんかはもっと話題になってよさそうな出来してると思うんです。
PFEVWT も同様で、TrackMan族ではない親指型としてトラックボール史上を眺めても珍しい親指型だと思いますし、操作感覚も決して悪くありません。個人的には親指型の中で一番気に入っているのですが、TurboRing2020(世を忍ぶ仮の姿でOrbit Fusionと名乗っている)発売時の騒がれっぷりからすると、2月のPFEVWT発売時は静かでしたよね、世間は。
そのPFEVWTをリスペクトしたMA-BTTB179BKです。この独特の形を世間に認識してもらうためには、こうして後に続く機種も必要だと思います。
白眉は後ろから2番目の「マット球」。これだけが艶消し処理が施されたざらざらした球で、当然滑りません。が、滑らないおかげで操作精度が上がります。他の色と違い艶消し球だけは使用感が大幅に変わる、ある種の改造グッズみたいなものです。個人的には大昔のゴム巻きシャフトローラー機のような感覚があって、これはこれで十分使える球だと思います。普段扱っていて「滑りすぎる」と感じる方は試してみるのも一興。一度は販売終了になりましたがユーザーの熱い要望に応えて復活しました。やったね!
一番最後の箱入り娘はエレコム純正の34㎜交換球です。色は赤ですがペリックスの赤とはまた色味が違います。