M1

Generic
M1上から
型番
M1
操作球径
34㎜
ボタン数
5
接続方式
2.4GHz独自無線
Bluetooth5×2
給電方式
内蔵充電式電池
(USB-C充電口)
読取精度(dpi)
800
1,200
1,600
2,000
2,400
保証期間
18ヶ月
要登録

正体不明、謎の親指型トラックボール。恐らくは大陸製で、以前はジェリーコームさんが取り扱っていました。当時の型番はMT50。ノーブランド親指型で身構えてしまいそうですが、これがなかなかいいんですよ。

外観を確認したい方は幸塚名物全周動画でぐるっと全体をどうぞ。もうひとつは大ヒット国民的アクションゲームGetting Over It、通称「壺おじ」をM1でプレイしている様子を撮影したもので、ゲームを遊びながら本機についてグダグダと喋っているのが他でもない私です。大変お聞き苦しい内容で恐縮ですが興味のある方はどうぞ。ついでにチャンネル登録や高評価等頂けると幸塚感激します。

いそがしい現代人向けの

M1 幸塚寸評

M1を大雑把にまとめると、M570型の外装に、中身(機能)を2020年代風にしたトラックボールです。全5ボタンのうち左右クリックは静音型。内蔵充電式電池駆動で、充電口はUSB-TypeC。充電用のUSB-TypeA to Cケーブルが付属しています。USBドングル式の独自無線接続と、Bluetoothは2チャンネル搭載で計3台の端末に接続可能。接続切替スイッチと解像度変更スイッチどちらも本体上面に設置されているので、わざわざ本体を持ち上げ裏返さなくても切替が容易に行えます。

M1 斜め前方から

冒頭にも書いた通りかつてはJelly Comb社が販売していましたが現在は「売り切れ」となっているようです。

22年6月現在は、往時の型番「MT50」ではなく別の呼び名でAliExpressやamazon.comで継続販売されており、日本のAmazonで販売されている本機も「M1」という名前だけの謎に包まれたトラックボールですが、要はその、台湾や大陸のOEM/ODMメーカーが作ったものの販売権を取得した業者さんが販売している、あるいは製造メーカーが独自でブランドを立ち上げて展開し始めたというような感じではないでしょうか。現にジェリーコームさんの公式ページからProtoArcさん(EM01というトラックボールを販売しているブランドさん)へのリンクが貼られています。

M1、正面から撮影

販売形態に謎が多いとはいえ、近年のポインテングデバイスに求められているであろう機能は一通り備えており、その面では大変優秀です。「見た目で笑わないで、中身を見て!」と言わんばかりというか、ま実際これから先はそういう製品も増えてくるだろうなぁと思ったりもします。以下、今風だと私が感じる点を挙げます。

内蔵充電式電源(USB Type-Cポート)

バッテリー駆動機器でも内蔵充電池式が良いか乾電池式が良いか、使用場面や使用する人の要求によって評価は様々で、私は乾電池式の方が好きなのですが、内蔵式のほうがサイズを小さく出来たり出力を稼げたりという明確な強みもあり、また近年は充電ケーブルがUSB(TypeCだったりmicroBだったりしましたが)ケーブルで使いまわせること、スマホを常時携帯するようになったおかげで充電行為そのものがより身近になり、昔に比べて充電に煩わしさを感じることは減りました。

人によっては私のような充電に感じる煩わしさをハナから持っていない場合も多く、そういう人にとっては内蔵充電式でポートがUSB Type-Cというのは、それだけでも高評価ではないかと思います。バッテリーがヘタったらどうするかって? まぁ、そん時はそん時だ。

左右クリック静音

左右クリックには静音型スイッチが採用されています。その他の戻る進むなどは音がするスイッチなのが面白いなと。確かにメインの左右クリックに比べればその他のスイッチを使用する頻度はだいぶ落ちるでしょうし「珍しいボタンを押したよ音」みたいな感じなのでしょうか。どうせなら全部静音にしろという声も多そうな気はしますが、まぁそう言わんと。

M1 左右クリックと各種スイッチ図

3つの接続先

未使用時は本体底面に収納可能なUSB Type-Aドングル型の独自無線接続が1つ。そしてBluetoothでの接続が2つ。計3つの接続が可能で、しかも、本体上面のスイッチで切替が可能です。複数チャンネル対応機種はぼちぼち出てきましたが、切替スイッチが本体底面に設置されている機種も多く、こうして「切替スイッチがすぐ指が届く場所にある」機種は貴重です。この点だけでも支持される方が居られることでしょう。

M1 接続先表示ランプ

尚、最初にBluetoothで接続する際は、上の写真のようにチャンネルを2番に切り替えてから「」ボタンを長押しすると点滅が早くなり、ペアリングが開始されます。もうひとつ別の端末にペアリングする際は3番にしてから同手順。2番と3番がBluetooth、1番が独自無線です。

以上、M1に搭載された今風の機能を紹介しましたが、それ以前に基本的なトラックボールとしての出来も大変優秀だと感じています。特に操作球周りの出来は秀逸で、回転の滑らかさは親指型全機種中でも上位に食い込む出来と感じます。

特にこの、トラックボールにとって「肝」だと言っても良い操作球の回転の滑らかさ。これまではなんだかんだ言って老舗2社、LogiとKensingtonが頭ひとつ抜けている印象でしたが、最近は老舗2社の機種を、そこだけ見れば上回る機種も出現しています。それでも老舗の製品は細部の造りの良さや全体のバランスでやはり強いという印象に落ち着くのですが、本機M1に関しては全体で見ても決して負けておらず、それでいて実売価格もかなりお安くなっています。

唯一「ん?」と思う点は、解像度(分解能/カーソル速度)の設定が若干高め、ということです。一番低くて1,000カウントで、私はそれではちょっと速いなぁと感じます。私が親指型を使う場合は400〜600カウントぐらいが欲しいと思うので、この点は問題かなと思いますが、ソフトウェアで補正するなりの対処が可能なことでもあります。価格と性能のバランス的に初心者にも薦めて良いトラックボールだと思いますが、その際はこの解像度の点だけ注意して頂ければと。初心者ほどカーソル速度は遅めに設定して慣らした方が良いと思います。

2023年3月現在、旧モデルで唯一の「ん?」ポイントだった解像度が5段階に拡張され、800dpiにも対応したモデルが販売されています。業者さんに確認取りましたがアップデートされたとのことで。すごいね。欠点なくなっちゃったよ。

インターネット老人会員が贈る

M1 幸塚針小棒大評

M1 パッケージ

M1。日本で販売を担当している業者さんは正直よくわかりませんが、モノはしっかりしています。日本語取扱説明書も付属しており、また、LINE経由で登録すると18ヶ月の製品保証もつくようです。私も親族との連絡用に限定して使用させられているLINE経由で登録しましたので、業者さんと幸塚はもうズッ友跳び越して親族だね。酷使して何度も交換依頼してやるつもりだから覚悟おし。

よく似ている? ちょっと違う

M1 ななめ後方から M570 ななめ後方から

本体上面、手のひら側が触れる大部分は、最近よく見るようになった艶消し黒で、GameBallやEM01(当サイトでは未掲載)などと同じく、元は透明なプラ素材を塗装している? みたいな処理だそうです。これのおかげで接続方式を表示する1〜3番の番号表示が発光するわけですね。手触りもサラサラしており悪くないです。

外観は見ての通りM570とよく似ていますが、実際に手を載せてみると「ん? なんか微妙に違う」と感じる。実際ちょっと違っていて、全体的にすこーし大きくなっている印象があります。特に手のひらが当たる部分、M1はM570と比べて少し盛り上がっていて、それが影響してなのかM570で親指を動かす際の感覚と微妙な差異があります。これを許容出来るかどうか。私は「うんまぁちょっと違うけど、これぐらいならいいんじゃない」と感じましたが、私はそのへんかなり鈍感です。というかもうよっぽど奇天烈な奴が出てこない限り「こりゃ無理だ」と感じることはない気がしますので、私の感想は、元々その気はありましたが、いよいよもってアテにならなくなって来ました。

Amazonでの表示価格は4千円弱ですが、クーポンが付属したりセールにかかったりするので、タイミング次第では3千円台半ば〜前半ぐらいで購入することも可能でしょう。3千円台の前半で購入出来るようなら相当にお買い得なトラックボールで、仕様面での好き嫌いはあると思いますが、致命的な欠点も見当たりません。

なかなか立派な日本語マニュアルと、USB typeA-Cの充電用ケーブルも付属

M1本体側の充電ポートはUSB type-C

本体裏面には電源スイッチと、レシーバ収容所には磁石も仕込まれていて、単に嵌め込むだけではなく磁力でも緩めに固定してくれる二段構え。なかなか芸が細かいですね

箱の内面に貼られているシール。QRコードを読んでLINEから友達登録すると18ヶ月の保証が付与されます。「ユーザー登録」じゃないところは時代ですね。若干日本語が怪しいのはご愛敬

直情径行、M570系の最新式

M1とM570

本機M1は、Logi社M570系のトラックボールだと思います。

御本家のM570は既に退役して後継のM575に道を譲り、M575はM575でまた一段上の使いやすさを実現している大変良い機種だと思っていますが、M570とは微妙に違う操作感覚があります。先に述べた本体形状の微妙な違いからくる感触の差がひとつ。そしてもうひとつ、MX ERGOから採用された解像度可変式センサーの効果。M575の搭載センサーも解像度設定が自動で可変します。大雑把に言うと、センサー、ハードウェア側に加速度の設定を持っていて、それがカーソルを動かした際の感覚の違いに影響する。

高解像度のモニタを使用する。更には高解像度パネルを複数枚並べて広大な作業環境を確保している状況で、旧来の非可変式センサー搭載機で画面の端から端へ一気にポインタを飛ばし、また反対側へ戻すような操作を多用する場合は、トラックボール側の解像度(カーソル速度)を上げることになると思いますが、そうすると今度は細かい作業を行う際にオーバーラン気味になり、それでは困るので解像度を落とすと今度は長距離移動がまどろっこしく……という感じで、やがてゲシュタルト崩壊を起こします。

そうならないためにも、指先で調節する操作球回転の強弱に応じて解像度(カーソル速度)が適切に可変するほうが、日常のコンピューティング用途として多くの人が使う環境には適しているだろうと思いますが、一方でゲームを制御する場合なんかでは、その加速度設定が邪魔をして「同じ距離を動かしたのに、その移動入力時の強弱で到達距離が変わる」ことになってしまうので、ゲーム目的だとこの加速度設定はほとんどの場合において邪魔者扱いされているようです。

ゲーミング用途のマウス方面でも実力者のLogiさんがそれを知らないはずはありませんので、MX ERGO、そしてM575については「そんなこた百も承知の上で」可変式センサーを積んだのでしょう。私もGetting Over Itというゲームを色々なトラックボールで遊んでいますが、可変式センサーを積んだM575の場合、強制的に付属してくるM575ハードウェア側の加速度で苦労した経験がありますので、ゲーム目的だと決して益にならないのはなんとなくわかる。

一方で日常のPC作業時でテキストの一部を選択する際などは可変式の方がだいぶ扱い易いと感じているので、Logiさんがゲーミング方面ではなく、日常使用を重視したのも理解できます。

元々あまりゲーム用途には向いていないと言われることの多いトラックボールですが、MX ERGO以降のLogi機はその中でもゲーム用途ではなく日常のコンピューテイング用途へ、より接近していると。しかし一方でM570を使用してゲームをプレイされている方は、もちろん数多くはありませんが目にすることはあります。その方面ですと、MX ERGOやM575よりも、解像度が自動で変更されない本機M1のほうがM570の感覚に近く、もちろん外装の形も似ていますので、M1の方が相性が良い人もいらっしゃるでしょう。また、操作球の滑らかな動きに関しては私はM570よりM1のほうが優れていると感じています。

ただ、上でも述べましたが解像度の設定が1,000スタート、M570と比較するとほぼ倍です。私が日常で使う限りではちょっと速いのですが、ゲーミング用途だとそれぐらいは必要なのかも知れませんね。

繰り返しになりますが、2023年3月現在、旧モデルで唯一の「ん?」ポイントだった解像度が5段階に拡張され、800dpiにも対応したモデルが販売されているので、ここで懸念している点は片づいちゃったんです。

また、そこまで数は多くないだろうと思うものの、上記して来たような、またそれ以外でも存在するでしょう微妙な感覚の差が影響して、M570からM575へ乗り換えられなかった人も居られるようなので、そういう方への選択肢にもなれるかも知れません。

恐らくですが店頭で販売されているような機種ではないので、購入を検討する場合は一か八かになると思いますが、センサーの挙動が直情径行型であることを理解した上でなら、その他これといった弱点は見当たらない、良い機種だと思います。M570をそのまま2022年版にしたような機種だと理解して頂くのが一番判り易いのではないでしょうか。あと、身体が気持ち大きくなったね、という感じで。

M1 斜め後方から

M1

M1、一部店舗も取扱あるかも知れませんが、基本的にはネット上で販売されているトラックボールだと思います。その中でもやはりAmazonで群を抜いて安く提供されており、黒球版も登場しました。ただ、23年3月時点で赤球版は解像度の選択肢が5段階に拡張されていますので、赤球版のほうをお薦めします。購入時はそのへん注意してご確認ください。
24年現在世界で最も普及しているであろう34㎜操作球には交換球が存在します。最も代表的な交換球が独ペリックス社の交換球で、カラーバリエーションがあるので着せ替え的にコレクションしている人も結構居られるようです。最盛期はもう少しバリエーションありましたが最近は厳選モードに入った模様で一部消えたりもしていますので、詳細はリンク先でよくご確認の上ご購入下さい。
白眉は後ろから2番目の「マット球」。これだけが艶消し処理が施されたざらざらした球で、当然滑りません。が、滑らないおかげで操作精度が上がります。他の色と違い艶消し球だけは使用感が大幅に変わる、ある種の改造グッズみたいなものです。個人的には大昔のゴム巻きシャフトローラー機のような感覚があって、これはこれで十分使える球だと思います。普段扱っていて「滑りすぎる」と感じる方は試してみるのも一興。一度は販売終了になりましたがユーザーの熱い要望に応えて復活しました。やったね!
一番最後の箱入り娘はエレコム純正の34㎜交換球です。色は赤ですがペリックスの赤とはまた色味が違います。

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