bitra(人差し指操作タイプ)
- M-MT2BRSBK
- 34㎜
- 5
- Bluetooth4.0 Class2
- 単4電池×1
- 750
1,500
- 6ヶ月
- M-MT2DRSBK
- 34㎜
- 5
- 2.4GHz独自無線
- 単4電池×1
- 750
1,500
- 6ヶ月
19年11月に発売されたばかりのbitra人差し指操作タイプ。小型の筐体に34㎜操作球を搭載して、収納用のセミハードケースまで付属したモバイル型トラックボールです。
想定通りモバイル利用するとして、そんなケース要るだろうか? という疑問は残りますが、ケース、筐体含めてきっちり作られています。まぁそもそもが決して安価な製品でもないので当然と言えば当然ではありますが。ちなみにこちらは「人差し指操作タイプ」です。「親指操作タイプ」はまた別にレビューしています。
初見の印象
モバイル向けの人差し指型。市場にはOrbitMobileという先輩が居ますが、先輩はもう10年ぐらい前に世に出た製品ですので、性能は言わずもがな、すっかりBluetoothも普及した今の方が環境としても有利だと思います。それにしても本当に全種類制覇する勢いでトラックボール作ってるなELECOMさん。残すは大玉型ぐらいのもんですが、なんとなくそこには手を付けてくれない気もする。
カタログスペックを見ると、接続方式が独自無線型とBluetooth型とで併売。独自無線レシーバは本体収納可。このへん今時は普通の話ですね。34㎜操作球、静音スイッチ搭載、ボタン数5。ホイール付き。チルトはなし。静音スイッチ採用がここ最近の流行でしょうか。
- 静音スイッチ
私はQで静音スイッチを初体験しました。スイッチの感触って昔はそれだけで入力機器の格が決まるぐらい重要な部品だったんですが、実際に排出される音にまで注文がつく時代になったんだなぁと妙な感慨があります。そのうち音階がついて楽器になったりしてね。
実体験したところでは静音スイッチも特に悪い感触ではないです。私は音は気にならない、どころかかなりやかましい部類に入るメカニカルスイッチのタイピング音を聴いても「お〜頑張ってんな〜どこのスイッチやろかあれ」と思うクチですので、特に有難味も感じませんが、だからと言って静音が怖いわけでもありませんし、静音スイッチの感触にマイナスイメージもありませんので、どっちでもいいんじゃないの、というぐらいです。それよりなにより頑丈であって欲しい。
- 34㎜操作球
据え置きで使う場合は小型に分類される34㎜操作球ですが、モバイルでと考えると結構大きいサイズだと思います。同社製品DEFTで34㎜操作球はフィンガー操作に使用しても捨てたもんじゃないことが判明してますので、期待していいスペックになっていると思います。
bitra(人差し指型)操作感覚
34㎜操作球での制御ですが、いいです。十分扱えます。さすがに筐体が小型なので常用することはないと思いますが、私なんかより遥かに手の小さい方なんかは、もしかしたら常用出来るかも知れませんね。そのぐらいには扱えます。たまに外出先でPCを扱う必要がある場合、これまではその日の気分でDEFTやQを持ち出していましたが、これからはbitraになると思います。ケースは持って行きませんけど。
手の置き方ですが、基本的には掌を機器本体に預けない形になるだろうと思います。Qなんかと同じですね。私はマウスもその形で扱う人間ですので、使用を開始するにあたって違和感等は全くなくフツーに使い始められました。が。「掌を機器本体に預けてナンボ」の人は、最初はちょっと苦労するかも知れません。いずれにせよ、掌を浮かせるのではなく「指先と掌底部で支えている」感覚で保持することになるでしょう。
また、本体が小さいおかげで、本来の使い方ではありませんが、左手側に置いても割と使えます。その場合はスクロールホイールを左手薬指で扱う感じですかね。いや、使えるったって程度問題ですよ。左手で使えるって言ったじゃないか! と怒られても責任は持てませんので悪しからず。
でも、コントロールキーを小指の腹で押す動作が染み付いている人なら、この程度のヘンテコリンなボタン制御もまぁそう苦労せずにやれるんじゃないの、という気もするんですけどね。
接続方式:スマホにも繋げます(Bluetooth版)
- 独自無線版
希望価格ではなくオープン価格ということですが、メーカー自称の実勢価格は¥6,578(税込)。Bluetooth版より千円ほど安い価格設定です。独自無線はBluetoothより汎用性は落ちますが、USB端子に差すだけという手軽さは相変わらずの強みだと思います。私はBluetooth版を買いましたが、手軽さを重視する方であれば独自無線版もアリ。Bluetooth版と比較して実際の販売価格(4千円台前半)がだいぶお安くなっているのもメリットでしょう。
- Bluetooth版
Bluetooth版はスマホでも使えますし、最近はよく売れるようになって来たんでしょうか。メーカー自称の実勢価格は¥7,678(税込)。実際売られている価格も6千円台前半ぐらいで、なかなかいい値段します。bitraに限らずBluetooth搭載のトラックボールは全般的に実売価格が高めで、結果として元々高級機かつ高価格設定機種と似たような価格になってしまい、高級機の方にお買い得感が出てくるという妙な傾向が現れているように思います(20年7月現在)
bitra裏面。電源スイッチ、解像度切替スイッチ、Bluetoothのペアリングスイッチがあります。電池ボックスの蓋は最近珍しいスライド式になっていますが、小型化のため蓋も筐体の一部にする必要に迫られたのでしょう。独自無線版の場合はレシーバを電池の右上にある空間に収納出来るよう穴が空いているはずです。
最近の機種に多いあの電池ボックスの蓋、壊れそうなやつ。あれじゃないだけで随分コストがかかっている気がします。
当然ちゃ当然ですがBluetooth版はスマホにも繋げます。手持ちのiPhone11に繋いで少し弄ってみました。OSとの兼ね合い次第ですが、私の環境ではiOS(13.5.1)からボタンへの機能割振りも可能なようでした(未検証)
スマホぐらいのサイズだと外部入力機器を繋ぐメリットはあまり感じられませんが、タブレット大になって来るとまた違います。最近はスマホ、タブレット、ラップトップ、このあたりは境界が曖昧になって来たので、スマホ系のモバイル端末へ接続できるのは、製品の付加価値として有力、今後は必須になるかも知れませんね。
そして思ったのですが、bitraのようなモバイルタイプこそ、無線は複数接続機能が欲しいです。左手での補助使用などでメインPCに繋いでいて、スマホに繋ごうと思った場合はメインとのペアリングを解除してスマホと再接続、という手間がかかります。普段からその状態であれこれ機種を乗り換えながらというのは、あまり現実的じゃないですね。Bluetoothが届く範囲から離れてしまえるのであればいいですが。
ボタンとホイール、クリック感覚
ボタンは「初見の印象」でも触れましたが、静音スイッチ採用です。感触は……悪くないですね。あくまで私の感覚なのであまりアテにはならないのですが、Qの静音スイッチとは感触が違うような、同じような。仮に部品が同じでもボタン部の作りで多少感触も変わるでしょうから正誤はともかく、これなら感触にうるさい人でもそんなに気にならないかも知れません。結構カッチリ作られてる感もあります。
ボタン数は5。私には必要にして十分な数ですし、このサイズの入力機器に8つも10もボタン積めと言っても酷な話でしょう。チルトはありません。ホイール部はDEFTとそっくりな作りで、ホイールの縁に金属製のカバーがかけてあるのか、それともプラスチックかゴム製の芯を金属部品で挟んであるのか。DEFTはその中心の部品には滑り止め的にギザギザが掘ってありますが、bitraのホイールには溝がなく、つるんとしています。でもギザギザがないからといって滑ったりはしません。厚みもDEFTのホイールと同じ3.8㎜。ホイール径は……外から見ただけではわかりません。DEFTと同じような、少し小さいような。
カリカリの感触は普通〜弱め、ぐらいかな。写真を見てもらうとわかると思いますが、ホイールは微妙な角度で設置されていて、こんなちまっこいのに、なかなかいい塩梅です。これはチルト機能を搭載しなかったおかげかな?
DEFTやDEFT PRO、HUGEもそうですが、左クリックボタンはホイールの下側にあります。一方bitraはホイールの下スペースがかなり狭いので(自分から見て)ホイールの先に左クリックがあります。
この左クリックも結構制御しやすく、左クリックボタン部のくぼみに親指の先端を置くと、親指第一関節寄りの腹が自然とホイールに触れます。触れますがホイールクリックが暴発することもなく、それどころか親指を微妙に上下させることなく、左クリックに当てていた親指をそのまま折り返せばスクロールホイールが回せます。
かなり小型であるが故にこういう作りになったのだろうと思いますが、苦肉の策と言うにはよく出来ており、なかなか使いやすい。私は普段DEFT PROを利用しているので、左クリックを押そうとするとどうしても親指をホイールの下へ動かす癖がついていますが、bitraの左クリックはそれもある程度はカバーしてくれて、癖で押そうとしても一応反応はしてくれます。が、正しい押し方はやはり親指を動かさずに先端で、ということになると思います。
読取り精度
読取り精度は750/1500の切替式。本体底面のスイッチで切り替えます。私は750で使用しています。普通に使えています。超大型モニタとか複数パネル環境だったらどうだろうとは思いますが、そんな環境だったら大きいトラックボールなりマウスなり使うでしょうし、モバイル型ですからね。必要にして十分な精度だと思います。
ソフトウェア制御
エレコムマウスアシスタントさん(Mac版)。なんとも昔懐かしい香り漂う画面構成ですが、機能さえちゃんとしてくれるなら無理して今風にする必要も、無駄に洒落っ気出す必要もありません。
例えば右手側にDEFT PRO、左手側にbitraを置いて使うとします。それぞれのトラックボールはそれぞれボタン機能をカスタムしている。その場合、基本的に動かすだけならどちらのトラッボールも扱えますが、エレコムマウスアシスタントでカスタムした設定は、マウスアシスタントに「いまどっちを使っているか」を設定しないと有効になってくれません。DEFT PROを有効にすればDEFT PROに設定したカスタム機能が有効になりますが、その場合、bitraのカスタム設定はお休みとなります。どっちにもいい顔をしない、二股をかけることをしない誠実なソフトウェアということですね。見た目ばかりでなく中身も古風です。
「基本は右手側のトラックボールを使うけど、たまに左手側も使うよ。なので、左手側のトラックボールは右クリックと左クリックを入れ替えてるよ」という自分を中心軸にボタンをシンメトリに設定している人は、両手使いユーザーにはそこそこ居るんじゃないかと思います。そういう人の場合、このエレコムマウスアシスタントの実直誠実仕様はちょっと困ったことになるかも知れません。
これはMac版だけかも知れませんし、基本的に右手用しか販売していないエレコムさんですから左右で使用するのは想定していないのかな? でも左手用EX-Gがあるしなぁ。私は基本的にカスタムしないので困ってはいませんし、右手用も左手用もどっちもカスタムしまくって使うんじゃ! という需要があるのかもわかりません。Window版はどうなっているのかも、そのうち調べてみることにします。
ただ、入力機器の制御ってOSの結構深いとこを触ることになるのか、だいたいどのメーカーも排他利用を推奨してますものね。他社製ドライバが入ってる場合はアンインストールしろと言われることも多いですし。エレコムマウスアシスタントさんなんか、前のバージョンが存在することすら許してくれなくて、古いの消さないとアップデートさせてやらないとまで言われました。実直誠実にして厳格。うちのMacはエレコムマウスアシスタントにKensingtonWorksにワコムのドライバも入ってるし、かろうじてロジだけ入れてませんが、これも先々どうなることやら。
そもそも使う側の要求がニッチ過ぎていちいちそんなとこまで対応してられるかと言われれば、返す言葉もありません。「トラックボールを作って販売してくれているだけでもありがたい」この気持を忘れてはいけませんので、同時使用については置いとくとして、ボタンのカスタムそのものについても、もうちょいキーの組み合わせに自由があればもっと喜ばれるだろうになぁ、という感想です。エレコムさんこっちも頑張って下さいね。私は応援していますよ。いや、本当に。
bitra(人差し指型)まとめ
最初にも言いましたが、エレコムさんトラックボールを作り慣れてきた感があります。手の小さい女性ユーザーなんかは、静音スイッチも搭載していることですし、常用することも可能かも知れません。持ち出して使うにしても最低限以上の使い勝手は確保されていると思います。個人的には、DEFTをより小型にした機種、というイメージを持ちました。質感も悪くないです。モバイル用にトラックボールが欲しいと思っている方は、そもそもbitra(人差し指型/親指型)かOrbitMobile先輩しか選択肢がありませんが、そこはそれ「3つもある!」と思ってください。ほら、幸せな気持ちになって来たでしょ。その中から最も自分の感覚合う機種を選ぶことになりますが、特にフィンガー型を好む人であれば、bitra人差し指型は有力な候補になると思います。
白眉は後ろから2番目の「マット球」。これだけが艶消し処理が施されたざらざらした球で、当然滑りません。が、滑らないおかげで操作精度が上がります。他の色と違い艶消し球だけは使用感が大幅に変わる、ある種の改造グッズみたいなものです。個人的には大昔のゴム巻きシャフトローラー機のような感覚があって、これはこれで十分使える球だと思います。普段扱っていて「滑りすぎる」と感じる方は試してみるのも一興。一度は販売終了になりましたがユーザーの熱い要望に応えて復活しました。やったね!
一番最後の箱入り娘はエレコム純正の34㎜交換球です。色は赤ですがペリックスの赤とはまた色味が違います。