GameBall Standard Edition

GameBall Limited Edition

Blue Sun Innovations
GameBall Standard版上からGameBall Limited版上から
操作球径
38㎜
ボタン数
5
接続方式
USB有線接続
給電方式
USB給電
読取精度
400
800
1,200
2,000
3,000
保証期間
1年
なし

有志が開発に乗り出して苦節5年超、21年夏にめでたくリリースとなった、トラックボール界で正式にそう宣言した機種としては世界初じゃないかな。ゲーミングトラックボール、その名も「GameBall」鮮烈なデビューです。

なにはともあれ幸塚名物全周動画。やはり注目度も高いようで、公開後わずか数日で、それまでうちのチャンネルで一番閲覧されていたDEFT PRO全周動画再生数を抜き去りました。

こちらはリミテッド版入手の一月後に購入しました、スタンダード版です。2台で結構な出費となりましたが、それでも満足度は高いです。はい。

歴史を変え得る珠玉の出現

私が購入したのはリミテッドエディション、といえば聞こえはいいですが、要は初期不良対応以外の保証が付属していない人柱版。お値段$138+輸入諸経費で2万円強と言ったところでしたが、それはともかく大変なトラックボールで、本機GameBallの出現で、少なくとも私の目に映るトラックボール界の風景は一変しました。

GameBall LimitedEdition パッケージ

私は、代々使用してきた愛機もそうでない機種も、どこかに欠点めいたものはあるけれど、それを補って余りある魅力があり、その不完全さ歪さも含めてトラックボールを面白がっています。GUIを搭載したパーソナルコンピュータ用ポインティングデバイスとしてのトラックボール。その括りの中で、自分の感覚や嗜好という、自分でも実はよく解っていないあやふやなものと相性が完全な機種なんてものは、恐らく存在しない。存在しないだろうけど、それを希求して止まない。そういう無い物ねだり娯楽の一環として、ゆるく楽しく付き合ってきた面があると思います。いや、もちろん実用には足りた上で、ですけど。

GameBallに対しても、最初は軽いノリで、ようやく届いたね〜長旅ご苦労さ〜んぐらいだったのが、試用始めると様子がおかしい。あれ。あれ? なんか、あれ? 何これ。何でこんなにスムーズに動くの? なんで開封したばっかりで慣れてないはずなのにそんな正確に動くの? あれ、なんでそんな当たり前に手に馴染んでるの?

もちろん、まだ入手してそう時間も経っていないので、使い続けることで不満も出てくるかも知れません。どうしたって時間が経たないと解らないこともありますから。ただ、数日使ってみた現在「こいつはどえらいトラックボールだ。もうこれ以前の機種には戻れないのではないか」と感じています。

GameBall LimitedEdition 斜め前から

他機種のページでも時折触れているのですが、トラックボール界にはゆっくりした竜宮時間が流れていて、極端な変化を見せることはほとんどありませんでした。そこに来て、いつものノリで気軽に開けた段ボール箱が玉手箱だったような。まぁ開ける前から私自身は立派なジジイなんですが、歴史の転換点はこうして突然訪れるものなのかも知れません。

GameBallは、コンピュータゲーマーのために開発された世界初のトラックボールマウスです。そのユニークなデザイン、ゲームに特化した機能、ハイエンドなコンポーネントは、現在市場に出回っている他のトラックボールとは一線を画しています。

GameBall公式サイトより一部抜粋翻訳

上はGameBall公式サイトの中にある一文ですが、看板に偽りなし。どころかこれでも控え目なぐらい。一線を画すどころの騒ぎじゃないと思います。

異次元の操球感

GameBallの操球感は当サイトでこれまでに扱ってきたトラックボールと比較しても間違いなくトップクラス。久しぶりに有線機をUSBポートに差し込んで、動かしてみたらさあ大変。ヌルんヌルで滑るように動く画面上のポインタは狙ったところ付近へまっすぐブレなく移動してくれますし、その移動する間の感触もヌルんヌル。最初にひと移動させた時点で明らかに従来の機種と感触が違う。もうそこで「あ。これは大変なことになる」と察するに十二分な手応え。

左から34mm球、GameBall38mm操作球、40mmOrbitFusion操作球
左から34mm(ELECOM替球)38mm(本機操作球)40mm(OrbitFusion球)単純な外見や表面処理等ではほとんど差がわかりませんが、据え付けて扱うとまったく異次元。

秘訣は、と言っても「恐らくそうだろう」という話で、現在愛好家間で検証が始まっており、真偽のほどが解明されるには多少の時間も要するでしょうが「高性能センサー」と「比重の重い38㎜操作球」。この辺りが鍵ではないかと思われます。重いボールは慣性が良く働き、また、重さで回転が安定するので軸がブレにくくまっすぐにポインタを飛ばせる。そして高速回転をかけても高性能センサーが軌道を取りこぼしなく読み取ってくれる。このポインタ軌道の直進安定性と、小径操作球採用による指先制御での小回りの効き、両方を兼ね備えているので、なんかコンパクトカーの宣伝みたいになってきたな。とにかく長距離移動も短距離移動も、どちらも十二分な精度性能を発揮してくれます。

GameBallの操作球重さ47.1g OrbitFusionの操作球重さ40.4g
GameBallの38㎜操作球(左)は、OrbitFusionの40㎜操作球(右)より小さいにも関わらず、ずっしりと重さを感じます。この重さが操作時に効いてくるんですね。なんか、球が重いの軽いの言ってるとベアリングローラー機時代を思い出して「令和になったよな?」と不思議な気分。

動かしていてあまりにも直進性能が優秀なので、手ブレ補正でもかかってるのかなと思ったりもしたのですが、ゲームの世界では補正は嫌われるそうなので、そういうわけでもないのかな。門外漢に詳しいことはわかりませんが、ただ、とにかく安定してポインタを飛ばせます。

強く速く回しても取りこぼさずトラッキングしてくれるので、そもそもの解像度を落とした状態に設定して細かい作業に対応させつつ、長駆の要、例えば画面の端から端、あるいは並べたモニタの1枚目の左端から2枚目右端へ移動させる時などは強めに弾く。それでちゃんとまっすぐ飛んでくれる上に、転がす感触そのものも、とてもいいんですよ。私の鈍い指先でもすぐわかりましたから、推論の正否はともかく、誰でも触れば「これは今までのとは違う」とわかるでしょう。

操作球周り

操作球は露出が大きく、Marbleのように窪みに載せた上で、前後に二本突き出したフックでゆるく保持されています。本体底面から操作球の頂点まではおよそ51mm。裏面に貫通していませんが、上から摘んで簡単に取り外しが可能。操作球を外した状態で見ると結構薄く、手首に負荷のかかる高さではない。ただそこから少し高くなっている操作球に指をひっかけるように保持することになり、とても指がかりが良い分、慣れないうちはピーキー過ぎると感じるかも知れませんが、そこはそれゲーミングトラックボールですし、低解像度に設定してもポインタ追従性は抜群ですので、低解像度設定で使用して、高解像度というか速い動作が必要な際は自分の指先を大きく速く動かすことで実現させる、という使い方が出来ます。そういう極端な操作について来るだけの性能があるんですよ。

GameBall 横から 操作球あり
本体側面。斜めから撮影したものと比較すると随分印象が変わります。私も実際に入手して、公式の動画や画像で想像していたよりだいぶ小型薄型だったのでびっくりしました。
GameBall 横から 操作球なし
本体側面を操作球なしの状態で見ると、ほら、結構薄いでしょ。これでリストレストがリストをリフトしてくれますから、実際の感覚も結構薄いです。

従来機種を低解像度に設定して操作球をブン回すと、軌道が安定しなかったり、センサーが拾いきれずにポインタがその場で足踏みする症状が(実用上はほとんど問題ありませんが)普通に発生します。最近のmacOSには、高解像度モニタ上でポインタを見失った時用に、ポインタを小刻みに揺らすとポインタ表示が一時的に巨大化する機能があり、これがトラッキングのブレに反応して勝手に発動することで「あ、いまブレたな」と判ったりするのですが、GameBallは強く速く回してもこの機能が暴発しない。

その上で、先に触れたように指先が操作球に引っかかるので弾き操作がやりやすく、弾いた操作に対してポインタがちゃんと追従してくれる。私は遊んだことがないので想像ですが、FPSなんかだとそういう機敏かつ正確な操作が求められるんじゃないかと思いますので、この辺りはゲーミングトラックボールとして求められる挙動からこうなったのかなあ、なんて考えたりもします。

一方、Marbleと似た感じで、強く弾くのを勢い余って操作球が浮いてしまうこともあります。左右方向はあまり気にしなくていいですが、上下方向はちょっと跳ねるかな。とはいえワイドモニタ全盛の昨今、上下に激しく動かす場面は左右に比べれば少ないでしょう。私の場合、トラックスクロールを設定してながーいページを上下スクロールさせている時に跳ねましたが、そういうもんだと思って使っていればそのうち身体が勝手に跳ねない操作加減を学習してくれるでしょう。そういうもんじゃない?

この、扱い方次第で操作球が飛び出しかねないのは欠点だと考えられる方も居られるかも知れません。私は、跳ねない使い方に慣れてくれば問題ないレベルに落ち着くと思いますけどね。そういう意味ではMarbleを転がしこなした経験がある人は慣れるのも早いでしょう。

9月24日現在。入手からおよそ半月が経過し、今ではトラックスクロール操作時に球を跳ねさせてしまうこともなくなりました。個人差もあるでしょうし、操作が白熱して思わずというケースは排除出来ないかもと思いますが、以前に使っていた機種の操作時の癖なども影響するんでしょうね。GameBallに慣れることで気にならなくなる程度のことだろうと思います。

GameBall センサー部
センサーには、最近珍しいですね、蓋がされています。支持球はセラミックだかの白いもの、大きさは1.8mmとのことで、近年、他社製品の支持球は大型化傾向にありましたが逆に小さくなっています。

この、繊細な操作から乱暴な操作まで分け隔てなくきちんと拾ってくれるトラッキング能力は、既存のトラックボールが束になってかかっても歯が立たないレベルで傑出しています。さすがゲーミングトラックボールを公称するだけのことありますが、この精度性能、滑らかさは、ゲームの世界だけに限定するのは惜しい……。

ゲーミングではなくコンピューティング、ゲームほどの精度と耐久性は求めない日常のPC操作に関しても、このゲーミンググレードトラックボールを一度使ってしまうと、ちょっとねぇ。まぁこれは贅沢なのかも知れませんが、やっぱりなぁ。操作する上で重要なポインタ移動精度が頭抜けて良いのを経験しちゃうとねぇ。

ちょっと昔話になっちゃいますけど、トラックボールって、賑やかだった時代、20世紀末ごろですかね。その頃は「細かい作業が苦手」なんて言われてなかった、どころかむしろ得意と考えられていたよう記憶しています。また、ボールを転がした方向がそのままポインタ移動に反映されるので、マウスパッド上の平面とモニタ上の平面を脳内マッピングする必要があるマウスより仕組みが単純で、初心者や高齢者にはトラックボールの方が扱わせやすい、ポインタとそのコントローラとしてはトラックボールの方が理解させやすいとも言われていました。

初心者向け云々はこの際無視するとしても、細かい作業を決して苦にしていなかったトラックボールが、なぜ今は細かい作業が苦手と言われるようになってしまったのか。色々理由はあると思いますが、GameBallはその評価を覆すだけの力を持っていると思いますし、現時点で既にこれだけの精度を示している。やれば出来たじゃないですかと。GameBallはゲーミングトラックボールなので、コストのかけ方が違う? メーカー希望価格ではもっと高額に設定されてるトラックボールも普通にありまんがな。

恐るべきゲーミングの世界

私、あまりゲームをしないもので、ゲーミングの世界には疎い人間ですが、本機GameBallに触れる中で先輩方から色々と教えて頂きまして、というかほとんど三猫さんに教えてもらったようなものですが、私の場合「ゲーミングマウスの操作感覚を知らない人間が初めてゲーミングポインティングデバイスを使い、それがGameBallだった」という状況です。

この状態、ゲーミングマウスの感覚を知っている人間と比較すると、余計過剰に反応しちゃうんじゃないかと思うんですよ。自分で言うのもなんですけど。なので文中でも多少触れてはいますが、その辺がかなりモノを知らないジジイの言動であることをご了承下さい。

ゲーミングマウス界の話を聞いて、なるほどねと思ったのが、詳細な製品仕様がまず明らかにされていると。センサーだとかスイッチだとか。確かにその、競技(スポーツ)としてミリ秒を争う世界でしょうから、競技者は仕様を明らかにしてもらわないと買うに買えませんわね。

GameBallもゲーミングトラックボールを名乗っていますので、確かに製品スペックはかなり細かく書かれています。公式の記載から一部重要そうなところを抜き出して以下。

  • High resolution optical sensor (PixArt)
  • Omron switches
  • 1000hz polling rate

高解像度光学センサー(PixArt)。オムロンスイッチ。1000ヘルツのポーリングレート。

それぞれ自分なりにググってみたところ、このPixArtちう会社のセンサーはゲーミング界の定番みたいですね。センサーなぁ。デジタルカメラの世界でも結局センサーを自前で作ってるところが生き残るみたいな感じになりそうですし、視覚情報を最初にデジタル信号に変換する入り口として特に重要なんでしょうねぇ。

でまったく判らないポーリングレート。ポールと言われても野球の外野フェンスに立ってるあれかマッカートニーぐらいしか知りませんが、検索してみると出るわ出るわゲーミングマウスの情報がいっぱい。通信頻度とでも言えばいいんでしょうか。要はその、より細かく現在位置の情報を送信し、それがポインタの動きに細かく反映されていると。1000Hzはゲーミングマウス界主流の数値だそうですが、なるほど。私が最初にGameBallを扱って感じた「フレームレートが上がったようだ」てのは気のせいじゃなかったんですね。操作時のヌルヌル感はかなりこれが影響してそうです。

そうしてデバイス操作時の情報をより細かくPC側に送っているので、その分パワーが必要で、結果としてゲーミング界では有線が主流。という感じなんでしょうか。私、これまでは無邪気な無線派でしたが、GameBallのすばらしいヌルヌルを経験して、もしそれが有線ならでは、もしくは無線だとしても乾電池では出せない高出力が必要で専用の充電池が必要などの事情があるとすれば、これまでのトラックボール評も認識を変えないといけません。というか見識が狭かったということですね。本当に申し訳ない。

過不足なく使いやすいボタン類

ボタン数は全部で6、うちひとつは解像度切替を制御するボタンなので、通常のボタンは5。また、HID設定をトラックボール側が持っており、OSに影響されず、左右センター、戻る進むの5機能、ちゃんと動きます。HIDに準拠する気があればね。

更にはボタン機能の左右反転も本体だけで設定可能となっています。ゲーミンググレードを謳う機種なら珍しくない、どころか本家マウスの方ではボタンのカスタムまで機器側で出来るやつもあるそうですが、今のところGameBallはそこまでの機能はありません。公式の今後の対応に期待しましょう。

ボタン類は本体側面に設置されており、基本的には握り込む方向で制御しますが、握り込み方向と押下方向に両対応したボタンもあります。このボタン部がまた、ボタン単体の造りも配置もどちらも見事です。

GameBall 左斜め後方から

ボタン部は大雑把に言うとかつてのTrackballExplolerの親指側みたいな感じで、あれが左右両方についていると思えば近いかな。TBEのボタンも凝った造りしてましたが、本機はそれを更にレベルアップさせた印象です。

本体形状が左右対称型で、ある程度はエルゴノミクス的な考え方も反映されているのでしょうが、割と素直な形だと思います。私は「指を窪みに嵌め込む」ような形をとにかく苦手にしているので、こういう素直な形なのは本当にありがたい。

ボタン部 右手親指側から
右手親指側から。私の場合こんな感じ。

ちなみに私の感覚で自然に手を置くと、親指は下段ボタンの先端、上段ボタンとの継ぎ目付近に当たりますが、上段を誤爆することもなく確実に下段ボタンを押せますし、感触も普通に良い。写真のとおりボタン下部には折れ目があるので自然とそこに引っ掛かりますし、目視しなくてもおよその位置が掴める。握り込みの深い浅い、指の長さ、ボタンを押し込む親指の部位が先端か腹か等々の違いで実際に当たる部分は人それぞれだと思いますが、それぐらいのことはメーカー側も想定の上でしょう。下段ボタンで都合が悪ければ上段ボタンや中ボタンを使っても良く、またそれぞれのボタンは、どれをメインキーとして扱っても遜色ないよう造られています。抜かりはありません。

ボタン部 右手小指側から
右手小指側から。中央ボタンは黒鍵ですね。

解像度切替機能

解像度切替機能、工場出荷状態では右側の中(黒鍵)ボタンです。初期設定が800だったかな。3秒長押しで切替となり、ロゴマークが点滅して現在値を教えてくれます。また、通常操作時に解像度切替ボタンをクリックすると一時的に解像度を1/3に落としてくれます。もう一度クリックで解除。他のトラックボールで言うところの精密モードとか、そういうやつですね。フィンガー型のトラックボールで一時減速機能積んできたのは本機が初だったかな?

まーしかし至れり尽くせりで、既に世に出ていて相応に理がある機能は可能な限り積んでいる感じです。

タッチスクロールセンサー

GameBallの操作球周辺には、タッチスクロールと、本体後部ロゴとボタンの隙間から漏れるイルミネーション色の設定スイッチ、ボタン機能の左右反転スイッチなどがあります。

GameBall 設定スイッチなど
タッチセンサー周り(右手使用時)

上、大雑把に図に起こしました。左右のグレーの帯がタッチスクロールセンサーで、この図の状態で右手用の設定では、右側のスクロール帯が上下、左側のスクロール帯が左右スクロールを受け持ちます。上部のアイコン、実際に据え付けた状態で自分から見て操作球奥側、これがボタン設定の左右反転スイッチ(3秒長押しで発動)兼スクロールモード切替スイッチ(後述)。下部のアイコン、設置状態では操作球手前側。これがイルミネーション設定スイッチ。いずれもタッチ式。

イルミネーション色々。私は基本、消灯して使ってますけど、ボタンの隙間から漏れてくる光はちょっといいですね。ボタン部品の隙間にシビアにならなくていいでしょうし、一石二鳥?

操球中のホイール無効?

日夜、快適に使用中のGameBallのタッチスクロール機能ですが、減塩さんの報告によると、操作球を弄っている際はホイール機能が無効(遅延?)になっているそうで、私も当該ツイート拝見して試してみました。私が遊ぶ数少ないゲームの中で一番FPSっぽい操作をするマイクラにて、左フィンガーで操作球をグリグリしてポインタが動いている状態を維持しつつ右薬指でタッチスクロール……。あ本当だ。確かに、機能しない。

世間には、この仕様で問題ないというか、実際私も言われるまでまったく気付きませんでしたから、気づかない範囲で問題なく使用しているユーザーと、減塩さんのように、その機能がないとゲームプレイ上差し障りがあるユーザーとが存在して、忘れちゃいけませんこの製品は「ゲームボール」なのです。そういえば球とホイールを同時操作出来ないと困るみたいな話は以前にも別のトラックボールの話題で耳にした記憶があります。

減塩さんがGameBall公式に問い合わせたところエリックさんから返信が来て曰く「開発段階の要望から現在の仕様になっているが、同時ホイール有効の要望もあるのでオプションとして組み込む予定」とのこと。やりますねGameBall。減塩さんには快くツイートの埋め込みを許可して頂きました。本当にありがとうございます。詳しくは上、当該ツイートのスレッドを参照下さい。

GameBallが開発中で写真だけ公開されていた頃の私の印象は「Orbit Wireless Mobile先輩だなぁ」でした。OrbitWM先輩にパームレストがついた感じと。で実機入手して、およそそんな感じでしたが、OrbitWM先輩に搭載されていたタッチスクロールセンサーはですね、ちょっとコツが要るというか人を選ぶというか指先のコンディションにシビアというか、若干気難しいセンサーでした。

Orbit Wireless MobileとGameBall

一方GameBallのタッチスクロールセンサーは、OrbitWM先輩のセンサーで感じた不満がほぼ総て解消されています。凄いです。タッチスクロールでこんなに快適にスクロール可能なのね。SlimBlade Trackballのように擬似スクロール音が出るわけではないので、感覚的にはスルスルスクロールですが、最近そっちに慣れ始めていたおかげもあり、全く不満ありません。

タッチスクロールセンサー部
タッチスクロールセンサー部

左右のスクロール帯は別々に取り付けられていて、それぞれで左右と上下のスクロールを担当するのは上で説明した通り。OrbitWM先輩のページで、そう動けばいいのにって書いたんですが、ねぇ。どうせならそうするよね。聞いてますかKensingtonさん。御社の機種だってもうちょいやる気出していればここに到達出来ていたはずだと思いますよ私は。

あ、でもわかんないな。昔のTrackballWorksではそうなってたとか、最新のKensingtonWorksでは機能追加されたとか、あるかも知れん。確認する元気はない。以上!

またこのスクロール機能にはもうひと工夫ありまして、linearとcontinuousの2つの動作モードが選べます。リニアは普通になぞった距離分だけ画面がスクロールする、通常のスクロールホイール機能をタッチセンサーで模したもの。コンティニュアスは、簡単に言うと指置きっぱなしでずっとスクロールしてくれる機能で、使いこなせばせかせかと指を屈伸させる必要がなくなります。

コンティニュアスの操作例としては、1時に指先を置いて2時まで移動させてストップで低速継続スクロール。1時に指先を置き3時までスライドしてストップで中速度継続スクロール。1時に指先を置いて5時までスライド、ストップで高速に継続スクロール。そういう感じです。起点は1時に限りませんよ。文字だけじゃわかりにくそうなのであとで図にでも起こします。

コンティニュアスモードの操作例図
コンティニュアスモードの操作(雰囲気)

それでは反応が良過ぎると感じる場合は、置いた指先はその地点から動かさずに、力の入れ具合を上か下に変える、ぐらいの感覚でも動いてくれます。少し試してみると具合も理解出来るかと。

ただねぇ、GameBallの場合操球感が頭抜けていいから、トラックスクロールを使った方が速いしなにより気持ちいい、ってのはある。好き好きで選ぶと良いかと。私は今のところ、通常時(web閲覧時など)はコンティニュアスとトラックスクロールを適当に使い分けてる感じですが、マイクラをやる時なんかはリニアにした方がいいかなぁと思っています。

昔のラップトップに搭載されていたタッチパッドにも、単純なコンティニュアス(指置きっぱなしで継続スクロール)機能はあった覚えがありますが、速度調整つきは初めて触りました。最初は少し戸惑うかも知れませんが、ちょっと使っていると慣れてきて、便利に感じる人も居ると思います。普段、どのぐらいスクロール機能を酷使しているかにもよるかな。

webページはモバイルファーストになり、SNSはタイムライン表示という旅恥かき捨て形式が主流となったおかげで、上下に長くなる傾向が著しく、最近は昔ながらの指でカリカリするホイールではちょっと辛い状況も出てきました。自分のサイトを読み返していて「なんでこんなに上下に長いんだ、作ったやつはアホじゃないのか」と思うこと、ありますからね。悪かったな! スマホの場合スクロールは普通に加速が効くので、あれを基準で考えても、スクロールホイール機能そのものが過渡期に差し掛かっているのだと思います。かつてこのスクロールホイールに絶滅寸前まで追い詰められたことを思うと、トラックボール好きとしてはなかなか感慨深い。Logiは贅沢なMagホイールという必殺技持ってますが、このタッチセンサー式も煮詰め方次第でいい勝負繰り広げるようになるかも知れませんよ。Magホイールより安価に出来そうだし。

ちょっと話が逸れましたが、ガジェット好きな人ほど、このタッチセンサーによるスクロールは「大丈夫かよ」と心配になるのではと思います。それがね。大丈夫なのよ。なんてったって懐疑派としては私もかなりのもんだったと思うんです。OrbitWM先輩で経験もありましたし。まぁ、騙されたと思って使ってみない。驚くと思うよ。驚かなくても責任は持ちませんけど。それはガジェット好き目ヒトバシラー科の不文律。

本体外観など

GameBallとHUGEとOrbitwSRとM570

GameBallはですね、普通にレビューしようと思っても触れるとこ触れるとこすべて「凄いなぁ良く出来てるよこれ」と関心させられます。そんな中で本体構造、ここだけはどうしても各人それぞれの好みが評価に大きく影響する。良し悪しより好きか嫌いかで分別されることが多いと思うんです。

私の場合は40㎜球搭載の左右対称型、初代Orbitを購入してトラックボール界に入門したので、なんというか、そもそもの相性が良すぎるんですね。なので評価が過剰に高くなっている恐れはあります。が。GameBallオーナーになった人たちがTwitterなどで感想を呟いているのを見る限り、大球ユーザーだった人もだいぶ懐柔されている様子なので、フィンガー型トラックボーラーなら恐らくは誰でもある程度満足する形に仕上がっているようには思います。

OrbitとGameBall

親指ボーラーの場合はわかりません。なんちゅうか親指型は前提からして左右対称なにそれなトラックボールだと思うので。ただ、親指型は人口も多いですし、中には人柱気質の人も居るでしょうから、追々情報出てくるでしょう。多分。

本体上面

本体上面……というかボタン部以外はサラサラした材質のプラ素材が主で、これあの、サンワさんの155とか130に使われているのと同じ素材じゃないかな。なんていう樹脂なのかは不明。ゴム引き処理とは違う気がするけどねぇ。ゴム引き処理には加水分解実績が山ほどあるので、もしそうなら心配ですが、これはこれでこういう素材なんじゃないかなと期待混じりで考えています。手を置いた感覚、私は大好き。

本体後部、パームレスト部へ向けてはV字型に細くなって行き、掌の「て」の皺。あのRの部分で挟み込むようにしてホールドし、掌底部はイカのエンペラにそっくりな羽で受けます。これがねぇ、すんごい良いの。購入して最初に手載せた瞬間から、いいわぁ。我が青春のOrbitを思い出すわぁと。それでいて背は結構低いので、指の付け根が本体の背中に邪魔されることなく、各フィンガーが自由に動かせる。見た目の好き嫌いはともかく、機能的にすごくいい。私には合いすぎててなにか言う気にもなれません。気になっている人に対しても、私の感想は参考にならないでしょうね。「いい」と「すごくいい」しか言ってない。

左から34mm球、GameBall38mm操作球、40mmOrbitFusion操作球
本体後部から。Orbitよりよっぽどオービターっぽいんだよねぇ、Orbit党員としては複雑。

汚れ取りなど

操作球はつまんで簡単に外れますが、貫通型ではないので汚れを溜めてセンサーの仕事を邪魔してもいけないので、相応にお手入れは必要でしょう。そこは性能と引き換えでしょうね。支持球周りはちょっと汚れが引っかかる感じがあるのでそのつもりで。また、操作球保持用の二本のフックにも多少汚れが溜まります。まぁでもなんせ球が簡単に外せるのでお手入れは楽です。

例えば私はGameBallで「Getting Over It with Bennett Foddy」俗に言う「壺おじ」を遊びましたが、操作に失敗して転落した時は一息つく意味も込めて、操作球周りの掃除をして心を落ち着けていました。無事に登頂を終えても私のGameBall操作球周りは綺麗な状態でしたよ。おかげさまで。

分解の様子

世間には気の早い方も居られまして、到着早々分解画像がTwitterに上がっているのを見ると、改めて「世の中にはすげぇ人たちが居るものだ」と思います。お陰様でウチのGameBallは購入したままの姿を留めているわけですが、折角ですので紹介させて頂きます。

分解は個人の責任下で行うものであり、結果いかなる悲劇に見舞われようともすべては自分の責任であることを御留意下さい。なんかあっても誰も責任取りませんよと。

お二方ともに熱烈なSlimBladerなんですが、すっかりGameBallにお熱のご様子。まぁでもいいよねSBTもGameBallも左右対称型だからどっちかを左に置いて使えますし。あたしゃデフトプラーなもんで、DEFT PROが机上で寂しそうにしているのを見るのは辛い……。

GameBall底面はポジドライブで留められているそうです。さすが欧州製。ポジドライブ採用のPC周辺機器って私は初めて見ましたが、困ったなぁ、ポジドライブも買わないといけないじゃないか。あ。ポジドライブってのは一般的なフィリップス(プラスねじ)にちょっと歯を増やしたみたいなやつです。国内では今のところ旧車ではない欧州車か、IKEAの家具ぐらいでしか見ませんね。フィリップス(プラスねじ)が「+」で、ポジドライブが「米」こんな形をしてます。似た形な上に認知度が低いせいもありプラスドライバで回してナメてしまうなんてことも耳にするので、腕に自信のある方以外はポジドライブ買ってからにしましょう。

『GameBall ショック』

幸塚トラックボールでは原則として「日本国内において、一般的な手法で入手可能なトラックボール」を取り上げています。本機GameBallは21年8月末時点でまだ日本国内での販売は未定となっており、入手には本家サイトから直接購入の上、日本までの配送の手配を自分で行う必要があるため、取扱原則的には外れているのですが、滅多に新型が出ないフィンガー型でもあり、なにより歴史を変え得る機種ですので、取り上げないわけには行きませんでした。

GameBall LimitedEdition。製造はグレートブリテン。発送もイギリスからでした。リバプールの風がランカシャーからロンドン入りしたキャッチアズキャッチキャン色のマージービートでブルーアイドソウルな感じが幸塚の琴線を掻き鳴らしながらダートフォードを経て大西洋を超え米国へ上陸、北米大陸を横断してサンフランシスコからベイブルース(Bay Blues。Babe Ruthではない)をバックに太平洋を跨ぐという英→米→日リレーで日本国の地方都市にある幸塚宅へ着球したのは日本時間令和3年9月の9日。発注したのが8月25日でしたので、半月かかりましたか。うわあ。ついこの間注文した気がするのにもう半月も経ってるのか。

私はゲーミングの世界に疎いのですが、世間的にはごく少数ながら「トラックボールでゲームをしたい」という人も居られるようで、いや、私も唯一楽しんでいるマインクラフトはトラックボールで遊びますが、もっと精密な操作が要求されるFPSをトラックボールでプレイされる方もいらっしゃいます。

PCゲームの世界はコンシューマが強い日本よりも海外の方が盛んでしょうし、トラックボールでゲームをという要求もあったのでしょうが、かといって大手ゲーミング機器メーカーがその声を拾って云々するほどの市場とは見られなかったのでしょうね。そこで有志が「無けりゃ自分で作る」とばかりにあれこれ血の滲むような苦労をされて発売に漕ぎ着けたのがこちら、GameBallというわけです。製品としてはBlue Sun Innovationsなる会社のトラックボールということですが、恐らくこの会社自体がその血の滲む過程で出来た会社なのでは。現時点では扱ってる製品GameBallだけみたいだし。

そういう経緯で今日に至る、要はインディーズのトラックボールだったことから「多少アラがあっても容認。完成、販売に漕ぎ着けたその意気を買う」ぐらいのノリで入手しましたが、あのう。欠点が。欠点が見当たりませんよ? 正直侮っていました本当にごめんなさい。というか他の大手メーカーも裸足で退散する出来だと思います。有線機にメインを任せることはもうないだろうと考えていましたが、あっさり掌を返すことになりそう。「GameBallショック」とでも形容したいこの衝撃。もし貴方がフィンガー型を常用するトラックボーラーで、興味を惹かれるようであれば、諸々手間とお金はかかりますが是非入手してこの衝撃を味わって下さい。きっと私が大袈裟に騒いでいるわけではないこと、理解して頂けるのではないかと思います。

まだ入手して1週間にも満たない使用時間ですが一旦ここでレビューを出しておきます。当分はちょこちょこ更新することになるでしょう。間違いなく。

GameBall開封直後の写真

リミテッドエディションは数量限定にも関わらず「普通に買える」状態が続き、見ていてやきもきしましたが、ようやく売り切ったようで、今後は通常版に切り替わります。お値段$148。通常版は操作球が黒になり、本体も(恐らく)黒一色での成形。1年保証が付属します。現地時間9月28日から通常版発売とのことです。

なんとなくですが日本市場って世界中で見ても割とトラックボーラー生息しているほうじゃないかと思うんですね。bsiもそこを除外してどうすんだよと思わなくもないですが、ま、ファーイーストですからその辺は仕方ありませんや。世のトラックボーラーズ、なんとか買い支えてやってくれませんか。本当に凄いトラックボールなのは間違いありませんから。

GameBall StadardEdition

公式ページ

海外通販(個人輸入)

GameBallは大変残念なことに現時点では日本への発送に非対応なので、購入したい場合は転送業者を利用する必要があります。Standard版、Limited版ともに英国からの発送でした。私は米国拠点の代行業者を使用したので英→米→日の輸送路となり、購入から入手までにかかった時間はおよそ2週間といったところ。英国近隣に拠点を持つ業者を利用した場合は発送も速く、英国から空路ユーラシア大陸超えで、1週間〜10日前後ぐらいでしょうか。ただし、速いには速いなりのお金がかかります。

GameBall購入~到着までの流れ

タッチホイールの件でもお世話になりました。減塩さんが、個人輸入時の細かい手続きや費用などを公開されています。個人輸入を検討される方は必見、そうでない方は後学のためにも是非どうぞ。

詳しくは上のリンクから飛んで減塩さんの記事に目を通していただくのが一番ですが、簡単に説明しておくと、本体代金が$148、英国GameBall大本営から英国転送拠点までの送料。それに加えてVAT、怪獣退治の専門家みたいな略称ですが、消費税みたいなもんですね。その対象になっちゃうので20%取られる。ビリングアドレスは日本なんだから対象外にせーよと言いたくもなりますが、その程度で回避されたらそれはそれで脱税し放題でしょうしまぁ仕方ない。148*1.2=177.6に英国域内送料。更にそこから転送業者さんによる手数料と日本までの送料、という形になります。

私が購入した米国経由方式の場合、機種本体代金$148に、英国のGameBall大本営から私が指定した受取場所(米国の転送業者拠点)への送料が$16ぐらい。でその米国の拠点から日本まで、転送業者さんの手数料も含めて$44ぐらいで合計$208。大西洋→北米大陸横断→太平洋越えと2つの大洋を股に掛ける大捕物で、およそ2週間ほどかかりますが、その分少し安いかな。日本に持ち込む際の関税が乗るか乗らないか、結構ギリギリ。

GameBall北米経由個人輸入概要図
北米経由方式のイメージ
そんなつもりは毛頭ないんですけど本当に教科書じみた絵面になって来ましたねうちのサイト。もっとイラストとか入れたいんですというか最初はそのつもりで挿絵も描いてたんですが「トラックボールのページにトラックボール以外で作ったデータを並べるのはいかがなものか?」とトラックボールの神様から天啓を受けまして、結果、ペンタブレットなどで作成したデータは全てお蔵入り。「写真だけは仕方ないのでカメラを使うがそれ以外はすべてトラックボールで作る」ことになりました。カメラ付きトラックボールなんてものが発売されるようならカメラもそれに切り替えますが、撮影したデータの補正やトリミング、動画データなども含めてうちのサイトはすべてトラックボールでポイント作業したデータで出来ています。サイト全体で「これぐらいの作業は出来る」サンプルだと考えて頂ければ幸いです。

海外通販で転送サービスを使う場合、支払いを行うタイミングが2度ほどあって、最初はまず製品そのものを購入した代金と送料などですね。そこから数日空けて、転送所に到着した荷物を日本まで発送してもらうための手数料と送料、という感じになりますが、この2度あるいはそれ以上に別れて発生する支払いが曲者で、製品代金とその他の料金を別々に考えちゃうというか、購入そのものは済んでおり自分のものとなった荷物が転送業者の手元に保管されている状況がさながら誘拐犯に囚われた我が子のように思えて一刻も早く「たまごをかえしてください」の小美人ザ・ピーナッツ状態となり身代金ならいくらでも払いますから! で結果トータルで支払った額面を見て愕然みたいなことになりがちですのでご注意ください。ま、その間のちょっとしたハイになる感覚は、それはそれで楽しいものなので、いっそ娯楽だと思って諦めた方がいいと思いますし、GameBallそのものは支払った額と苦労に見合うだけのモノだとは思います。

まぁあたしゃこういうの詳しくないですし、何かあっても責任は持てませんが、大まかにはこんな流れで個人輸入することになります。

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